長期的な女性のキャリア構築を成功させるポイントとは

長期的な女性のキャリア構築を成功させるポイントとは

かつての日本社会では、女性が働いてキャリアを構築していく動きは弱かった。

それが現在では、終身雇用の崩壊・労働人口の減少などの社会情勢の変化により、女性やシニアを含めて全員参加型の社会でなければ、社会を安定的に維持するのは不可能である。

それゆえ女性のキャリア構築に関しても、以前よりも積極的に話題にのぼるようになった。

そこで本記事では、女性のキャリア構築について、現状の課題・解決策などを解説する。

長期的なキャリア構築について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてほしい。

労働力調査から見る女性労働人口の増加について


平成28年、国から「一億総活躍社会の実現」が発表された。

「一億総活躍社会の実現」の概要は以下の通りだ。

・若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会   ・一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会   ・強い経済の実現に向けた取組を通じて得られる成長の果実によって、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、それが更に経済を強くするという『成長と分配の好循環』を生み出していく新たな経済社会システム   引用:一億総活躍社会の実現 |首相官邸ホームページ

日本国内の就業者数は、2022年(令和4年)平均では前年より10万人の増加となっており、男女別の内訳は男性は12万人の減少であるのに対し、女性は22万人の増加である。

労働力人口が減り続けているなかでも、就業者数が増加しているのは、女性やシニアが労働力として社会参加を果たしている結果といえる。

女性やシニアを含めた全員参加型の社会でなければ、社会を安定的に維持していくことが難しくなっているのは否めない。

また、企業単位で見た場合でも、女性の労働力の活用は安定的な経営に不可欠な要素となりつつある。

これまでは、子育て・介護といったライフイベントの際に、自身のキャリア形成を中断せざるを得ない場合が多かった。

しかし、近年では制度面での整備が進むことによって、これまでよりは一定程度の改善が見られている。

参考:労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の要約|総務省統計局

女性の離職率・復職率の現状とは

今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会(第8回)が発表している「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」を示した資料を参考に、女性の復職率を紐解いていく。

資料によると、約7割の女性が第一子出産後も継続就業していることが理解できる。

雇用形態別に見ると、正規職員は育児休業による継続就業が進んでおり、パート・派遣は低水準にあるものの、近年上昇傾向にある。


また、厚生労働省の「雇用動向調査」によると2022年(令和4年)の離職率は男性13.2%、女性16.9%で、女性とパートタイム労働者は入職超過、男性と一般労働者は離職超過となっている。

女性の離職率の推移を見ると、2020年からの2年間は15%台に落ち着いているが、2007年以降から長らく17〜18%台で、男性との差異は4〜6ポイントまで開いている年もある。


女性は入職率・離職率とも男性と比べて大きく上回る傾向が強く、職に就く女性が多い一方で、離職する人も多いという状況が見てとれる。

参考:第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況|今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会(第8回)

参考:令和4年度雇用動向調査|厚生労働省

労働市場における女性の離職・入職の背景

女性の離職・入職の背景には、いくつかの特徴がある。

離職の背景

離職の背景は以下の二つが特徴的だ。

  • 非正規雇用労働者に占める割合の差
  • ライフステージの変化に伴う離職

非正規雇用労働者に占める割合の差

2021年における非正規雇用労働者の割合は、男性が21.8%に対し、女性は53.6%で、働く女性の半数以上は非正規雇用である。

非正規雇用では一時的に人材を補うケースが多く、雇用が不安定なこともあり、短期での離職につながりやすい傾向が見られる。

参考:2-7図 正規雇用労働者と非正規雇用労働者数の推移(男女別) | 内閣府男女共同参画局

ライフステージの変化に伴う離職

結婚・出産・育児・介護などの、生活の変化に伴い離職の選択を迫られることが多い。

ライフステージの変化から離職を余儀なくされる女性に対し、支援の受け皿が十分でないことも大きな課題である。

入職の背景

入職の背景は以下の三つが特徴的だ。

  • 世帯年収の減少
  • 労働意識の変化
  • 制度の拡充

世帯年収の減少

長く続く日本の不況は、共働き世帯を増加させ、女性が入職するきっかけとなっている。

厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-(102P)」によると、全世帯の平均所得は、1994年の641.1万円から下がり続け、2018年には514.1万円まで減少した。

収入減少を補うために、共働きを選ぶ世帯はこれからも増え続けていくと考えられる。

参考:令和2年版 厚生労働白書|厚生労働省

労働意識の変化

かつては結婚・出産したら、女性は退職するのが一般的だったが、時代とともに労働意識は大きく変化している。

現在では、一定の育休期間を終えれば、仕事に復帰する価値観が広まってきている。

同時に、家事や子育てに対する男性側の意識の変化も、共働きの増加に影響を与えた。

家事や育児は「性別関係なく、どちらかできるほうがやればよい」という意識が浸透しつつあることも、女性の入職者が増加した背景の一つだ。

制度の拡充

夫婦が仕事と子育てを両立し、不景気と少子化の改善を図れるように、国・行政はさまざまな政策を打っている。

国は改正男女雇用機会均等法や改正育児・介護休業法の施行など、さまざまな施策を実現してきた。

労働に関わる制度の拡充は、働く女性を受け入れる素地となり、共働き世帯がさらに増えていく要因の一つとなった。

仕事かプライベートか。両立を実現するためには早期にキャリアプランを組み立てる


ライフイベントの時期・回数は人によって異なる。

世界情勢も日々変化しており、計画通りに進めることも難しい。

だからこそ、仕事かプライベートのどちらか一方を諦めるのではなく、両立させるために事前に考えておく必要がある。

キャリアプランにおいては、「いつ(何歳で)」「どのような業務を(職種)」「どのような形で(雇用形態)」という視点に立ち、足元でどのような選択をするのかを考えるべきだ。

例えば、結婚して子育てをしながら仕事を続ける場合は、「結婚したとき」「出産したとき」「子どもが大きくなったとき」によって、時間の使い方が変わる。

結婚後は、パートナーと一緒に住むために住まいが変わることによって、通勤時間が増える恐れもある。

さらに子どもが生まれると、保育園の送迎や育児にかける時間も増えてしまう。

パートナーや両親などに子育てのサポートを頼んだり、会社の支援制度を活用したりして、今まで通りの仕事をできる人もいるが、それが難しい場合は転職も視野に入れなければならない。

20代であれば比較的「職種を変える」選択も可能だからこそ、早期に自分の将来像や強みを把握し、スキルアップを図るべきだ。

20代での経験が、ライフイベント後から老後と数十年先まで影響を与えることを理解しておくことが望ましい。

結婚や出産などのライフイベントを意識して、「働く女性」としての価値を高めるキャリアプランは今後より重要度を増すだろう。

長期的なキャリア戦略を考える際には、転職のプロであるエージェントが多数在籍するASSIGN AGENTをぜひ活用していただきたい。

ASSIGN AGENTとともに、理想的な将来像を実現できる方が増えることを願う。