寄稿エージェント: 宗万 周平
不動産業界の出身者がIT企業に転職する事例が増える中、今回はなぜそのようなテンションが増えているのかについて解説をした上で、実際の実例も含めてご紹介していきたい。
なぜIT企業の転職が増えているのか
不動産業界からの転職が増えている理由は、不動産という大きな市場に対するスタートアップの進出が本格化しているからである。
プロップテックと呼ばれる不動産系スタートアップが 台頭し、不動産出身者もキャリアチェンジを求めている層が一定数いるため転職トレンドとして顕在化している。
実際に不動産市場は国内でも有数の市場規模を持っており、AIやVRなどといった技術によって大きく革新が期待される業界であり、今後もこのトレンドは続いていくと考えられる。
実際の実例としては、不動産業界からWeWorkやOYO、ビットキーなどの資金調達企業への転職が挙げられ、 成長が鈍化した場合には、当該企業の採用活動はおさまってくるものの、今後新たなスタートアップが、採用積極化するタイミングで新たなキャリアチェンジの事例が増えていくことになると考えられる。
不動産出身者の見られ方とは
転職市場では、不動産系の出身者は、業界知見と新規開拓の営業力を評価されることが多い。
一方で、個人営業要素が強い傾向にあったり、品質管理などの営業以外の職種についている場合もあるため、 転職先が今までは不動産業界に縛られることも数多くあった。
ただし、直近の技術による変革により、不動産系のIT企業に転職する実例が増えるとともに、その先の転職は不動産に限らず数多くのスタートアップから声がかかるようになっている人材も多い。
もちろん、生活の拠点やビジネスの拠点となる不動産業界のやりがいというのも大きなものではあるが、キャリアチェンジを考える場合には、 近年の転職トレンドは大きなチャンスになると想定される。
実際にプロップテックの企業からは、営業力もさながら不動産業界の複雑な仕組みや仕事の進め方についての理解がある事は、非常に評価されている上に、実務でも知見が役立つため、 企業側としても不動産業界出身者をやや優遇する傾向にある。
キャリアチェンジのリミットを知る
一方で転職トレンドとは関係なく、キャリア形成上のマイルストンは把握しておくべきである。
一般的には20代の中盤で大きなキャリアチェンジは限界を迎えるが、今回のように不動産業界知見を生かせる前提であれば30歳前後までキャリアチェンジの幅を広げることができる。
もちろん全く関係のないHRTech企業やFinTech企業などに直接行くには若い年次で移る必要があるが、 不動産知見など生かせる要素があるのであれば30歳でもキャリアチェンジが可能である。
このように、ご自身の持っているスキルや経験を鑑みた上で、 今後のキャリアプランを作ることをお勧めしたい。
市場トレンドなどの外的要因をご紹介したが、ご自身の経験を生かした新たな挑戦やキャリアの広がりを考える一助となれば嬉しい限りである。