寄稿エージェント: 龍崎 優磨
IT分野のリサーチ・アドバイザリー事業を行う米ガートナー社が毎年発表するハイプサイクル。
今回は、そのハイプサイクルの変遷を見ながら、今後注目すべき技術分野を考えていきたい。
「ハイプ・サイクル」とは
ガートナーは独自に、新技術への期待度を縦軸、時間を横軸とした二次元のグラフ上に、新技術の要素をマッピングし、新技術の成熟度や採用度を可視化した図を創り出し、ハイプ(hype: 誇張)・サイクルと呼んでいる。
ガートナーの定義によると、ハイプ・サイクルは5つの段階に分けられる。
- 黎明期:
最初期、技術の飛躍的全身から始まり、新製品の発表やイベントが報道され関心が高まる。 - 流行期:
世間の注目が大きく、過度の興奮と非現実的な期待が生じる。
成功事例もあるが、失敗事例の方が多いとされる。 - 幻滅期:
過度な期待に応えられず急速に関心が失われた状態。 - 回復期:
関心がなくなりつつも、いくつかの事業で少しずつ世間に利点や適用方法が広められる。 - 安定期:
広範に宣伝され、受け入れられる。
技術は安定的に供給され、第二世代以降へと進化する。
このようにして、ハイプ・サイクルでは新技術がそれぞれどの段階にあたるかが可視化される。
次章では実際に直近の変遷を確認していこう。
直近5年の変遷
最新版の2020年のハイプ・サイクルでは、
また、2021年~2025年を「システム刷新集中期間(DXファースト期間)」とし、経営戦略を踏まえたシステム刷新を経営の最優先課題として計画的なシステム刷新を断行するように提案。
さらに、不要なシステムの廃棄や、マイクロサービスの活用による段階的な刷新、協調領域の共通プラットフォーム活用などでリスクを低減していく対策を推奨している。
同期間、レガシーシステムを刷新する動きやDXが推し進められれば、システム刷新に関するプロジェクトが増え、そのような内容に関わるエンジニアが増えていくだろう。
その状況下で、中期的にエンジニアが活躍するためにはどのような備えが必要だろうか。
XXXXの隆盛とXXXの安定化
システム刷新やDXを行う上では、
①複雑化された既存システムの構造や仕様を理解する力
②新たなシステム・ツールを組み合わせてより良い状態を実現する力
が必要である。
また、前述の通り、「2025年の崖」を生む要因のとして挙げられたのは、先端IT人材の不足と、旧技術を活用可能な人材不足だ。
そのような状況の中で、その両方の力を持つ人材が強く必要とされることは容易に想像できる。
そのために、先端技術と旧式の技術の知見を両方とも蓄えていくことをお勧めしたい。
現職では、なるべく新しい技術に関与したり、そのようなプロジェクトに参画できるよう自己研鑽や自身を売り込むことを心掛けたい。
また、旧式の技術については、自身で学習できること以外に、実際的な知見も蓄積したいところである。
実際に触れることは難しい場合、現職の上司や歴の長いエンジニアに質問するなどして知見を高められると良い。
今回は「2025年の崖」を起点に、エンジニアとしての市場価値の高め方を提案させていただいた。
来る「2025年の崖」を克服する動きが活発化する中で活躍できるエンジニアになる方針も、キャリアの選択肢の一つとして考えてみてはどうか。