寄稿エージェント：北 駿弥
今回は、人気の高いマーケティング職へのキャリアチェンジについて解説をしたい。狭き門であるマーケティングへの転職だが、なぜ難易度が高いのか、どうすれば可能になるのかといったことについて紹介をしたい。
マーケティングプロセスの全体像
まずは、一口にマーケティングといっても様々であり、簡単な整理から行いたい。切り口は様々だが、今回はマーケティングプロセスを軸に整理を行うと、
リサーチ：
市場調査、消費者調査、競合調査などを行う
ターゲティング：
ターゲットセグメントの特定やターゲットインサイトの検討
ブランドコンセプト：
商品やサービスの価値を表現するブランドコンセプトを決定する
施策検討/実施：
TV CM、ウェブ広告、記者発表など各マーケティング施策の内容検討や実施を行う。
KPIトラック：
活動した結果を数値として集計し、分析改善を行う。
これらの活動について事業会社側で担当する方と、支援会社側の立場で支援する方がいる。
例えばリサーチの領域で言えば、マクロミル、インテージなどのマーケティングリサーチが支援会社にあたり、ウェブ広告などの施策検討実施では、サイバーエージェントやセプテーニなどのウェブ広告代理店が支援会社に当たる。
事業会社側の担当はブランドコンセプト決め等の中核はシニア層が担当することが多く、外資系メーカーのネスレなどではコンセプト決めは役員クラスが担当することすらある。
各マーケティング施策の検討/実施やKPIトラック等は、若手の役割になることが多い。
このような全体像の中で、異なる職種からどこのマーケティングのポジションに入っていくのかを考える必要がある。
なぜマーケターへのキャリアチェンジは難しいのか
人気のあるマーケティング職だがキャリアチェンジを成功させる方は、かなり少ない。
業務的な難易度ももちろんあるが、最大の要因は、ポジションの少なさである。
営業職やコンサルタント職と異なり、マーケ側のポジションは人が多ければ多いほど売り上げが上がると言う構造になっていない。
そのため、大企業でもマーケティング担当者は10名程度しか存在しない、と言うこともよくあり転職市場におけるポジションの絶対数が少ないため、採用要件も厳しく狭き門となりやすい性質がある。
建設的なステップが必要
完全なる未経験からマーケティング職へ転職するためには、ステップを踏む必要がある。
一定の経験者を求める傾向が強いマーケター色のポジションに置いて少しずつアプローチを受けるようなキャリアプランを描くべきである。
今回は代表的な2つのアプローチの仕方を紹介したい。
1つ目は、業務領域が広いベンチャー企業に入り、社内異動を活用するという方法だ。
ベンチャー企業の中では、本人の意向を汲み取り柔軟に役割を変える企業が一定数存在している。
そのため、最初は営業職として結果を出すなど、自身の経験を生かした貢献をした後に、マーケティングのポジションに移っていくと言う進め方が可能である。
マーケターのポジションは、企業のブランドがどうかと言う観点ではなく、売り上げや利益を上げることができるのかと言う実力重視の選考基準になっている場合が多い。
そのため、ベンチャー企業のマーケターであっても、実力を養っていけば、マーケターとしてのキャリアパスを拓いていくことができる。
2つ目はマーケティング関連の支援会社に転職していくという方法である。
プランナーとして転職する場合には、もともとマーケティングの経験者である場合が多いので、ここではセールスポジションから入っていく場合について考えたい。
営業経験を持っていればマーケティング関連の新会社に入る可能性は十分にあり、関連協会に就職することは難しくない。
この道でマーケターを目指す場合には、1つ注意点があり、営業として活動しながらマーケティングの知見を高める意識を持ち続けることである。
広告代理店であればプランナー、リサーチ会社であればリサーチャーなど、マーケティングの中身を考えるポジションの人間が別にいるため、関係構築だけに終始することもできるが、クライアントのマーケティング活動に踏み込んだ提案ができるよう、自身で精力的に活動する必要がある。
ここでマーケティングの中身を理解した提案力を鍛えることができれば、クライアントのマーケティング部門にヘッドハントされたり、マーケターとしてのキャリアに進んでいくことができる。
過去に私が支援した方の中でも、リサーチ会社の営業職から、マーケティングコンサルの部門に転職し、現在では事業会社のマーケターとして活躍されている方がいらっしゃる。
このように、直接的にキャリアチェンジすることが難しい場合にも、ポテンシャル転職が可能な年齢であれば、ステップを踏むことでキャリアの方向性を転換することができる。
マーケターに限らず、転職からのキャリアチェンジを考える方にはぜひ参考にしていただきたい。