キャリアは「やり続けられること」から考えよう

キャリアは「やり続けられること」から考えよう

寄稿エージェント:三辻 宏弥

転職活動の中でやりたいことは何ですか?と聞かれることはある。自己分析をしていく中で整理しておくべき重要事項だが、明確な回答がある人は少ないのではないだろうか。今回はこの問いに対する考え方をご紹介したい。

やりたいことを見つけるのは難しい

まず覚えておいて欲しいのは、やりたいことを見つけることはそんなに簡単ではなく、悩んでいる人は意外と多いということだ。人生の様々なタイミングにおいてやりたいことを考えることはあると思うが、やりたいことが常に定まっており、全くブレない人は少数派だろう。

実際、転職活動のご支援の中でも、やりたいことが見つからない、わからない、そもそも自分の中にはない、と考えている人は多く、転職活動の初期段階で転職エージェントにこの手の相談をされる方はかなり多い。

また、転職活動の中では、様々な制約や家族との関係性もあり、自由に自分のやりたいことについて発想できなくなってしまっている場合もある。一般的には年齢が上がるにつれて思考の自由度は下がっていってしまうものだ。

本人としてはこれがやりたいかもしれない、と思ったとしてもワークライフバランス、年収、世間体などの本質とは違うところでいろいろなブレーキをかけてしまうケースは多い。

このように、やりたいことが見つけられず悩んでいる人はあなただけではなく、この問いに悩んでいる人は意外と多い。また、やりたいことは何か?と聞かれたときに自分の生涯をかけてやらなければならないこと、のように大きく考えすぎてしまい、考えることを難しくしまっているケースもある。

やり続けられることに目を向ける

では、やりたいことは何か?への考え方として、少し視点を変えて「やりたいこと」ではなく「やり続けられること」は何か、について考えてみたい。

やり続けられることは、特に誰かにやってほしいと言われたわけでも、何か大きな見返りがあるわけでもなく、継続的に続けられること、もしくはこれまでの人生の中で自分がやり続けていたことだ。

誰かに強制されるわけでもなく、なんとなく自分から行動していることが自分のこれまでの人生を振り返ってみると何かしらあるのではないだろうか。

例えば、誰かの相談に乗ることが好きで報酬がなくとも誰かの相談に乗ったり、SNSの投稿でリアクションをもらえることが楽しくて毎日何かしらの投稿をしていたり、自分の成長を感じることができるため筋トレを続けていたり、他の人はやらないけど、自分は自然と継続できてしまうことがある。

また、やり続けられることには自分なりのこだわりを持っていることが多い。継続的に実行していることで自然とやり方を少しずつ変えていったり、やりやすいように調整したりと勝手にPDCAを回していることが多い。

やはり自分が興味を持っていることに人は積極的に情報を集めようとするし、自然と知識やノウハウを自分の中でブラッシュアップしていく傾向にある。

やりたいことは何だろうと大きく考えてみる前に、自分が継続していること、もしくは継続できていたことを振り返ってみて、それが一体何なのか、なぜそれを継続して続けているのか、というところから自己分析を進めてみると最終的にはやりたいことを見つけることに近づいている。

やり続けられることは何か?という切り口からその延長線上にある大きな目標はどこにあるのかを考えてみるとその過程を歩むことがやりたいことに合致する可能性はある。

努力は夢中に勝てない

悲しいが、大人になればなるほど夢中になることは少なくなり、周りで何かに夢中になっている人も少なくなる。例えば、学生時代に部活に打ち込んでいたり、ひたすら勉強したりといった経験をしている人は多いかもしれないが、同じ熱量で仕事に向かっている人は正直少ないのではないだろうか。

しかし、社会人になっても夢中で何かに取り組むことはできる。夢中になってはいけないと言ってくる人はいない。自分で勝手に可能性を小さくしてしまっている場合がほとんどだ。

夢中になっていることは成功も失敗も含めて能動的にトライするようになる。実験的にあれこれ試したくなり、経験を積むスピードが圧倒的に速くなる。

また、夢中になっている人は努力を努力だと認識しておらず、自分から進んでいろいろなことにチャレンジしていくため、意図的に努力している場合よりも1つの挑戦から得られるものも大きい。

このようにやりたいことは何か、という問いで悩んでしまい、考えが止まってしまっている人がいたならば、自分が継続的にやり続けられること、夢中になれることは何かに目を向け、それはどのような理由、要素、環境だったのかというふうに深堀するところから始めてみることをおすすめする。

「努力は夢中に勝てない」
ぜひ能動的にやり続けられてしまうことを見つけてみて欲しい。