テレワークでは「PREP法」が求められる

テレワークでは「PREP法」が求められる

寄稿エージェント:三辻 宏弥

緊急事態宣言は解除されたものの引き続き新型コロナウィルスの対策として在宅勤務・テレワークを継続している人も多いだろう。今回は対面でのコミュニケーションよりも難しいテレワークで効果を発揮する「PREP法」についてご紹介したい。

「PREP法」とは、話す順番のフレームワーク

既にご存知の人も多いかもしれないが、「PREP法」とは「結論(Point)⇒理由(Reason)⇒具体例(Example)⇒結論(Point)」の順番で話を展開するフレームワークのことである。

それぞれの英語の頭文字を順番に並べると「PREP」となるので「PREP法」と呼ばれる。「結論ファースト」とよく言われるが、最も重要なこと、つまり結論を最初に提示し、最後にもう一度強調する順番になっている。

普段の会話ではあまり意識することはないかもしれないが、プレゼンや面接では、短い時間で相手にわかりやすく物事を伝える必要があるため、結論から話すことを意識することが重要になる。

加えて、エントリーシートや志望動機書も文字数制限がある中で相手に自分の志望動機、学生時代頑張ったこと、業務内容をわかりやすく、簡潔に伝える必要があるため「PREP法」は話す場合だけでなく、文書においても効果を発揮する。

Web会議こそ言いたいことにフォーカスせよ

「PREP法」はWeb会議こそ活用してもらいたいと思う。皆さんも経験があるかもしれないが、Web会議は会議の空気感や相手の表情などを読み取ることが難しく、自分の言いたいことが相手に十分伝わっているか手応えを感じにくい。

対面の会議であれば、相手の反応を見て補足をしたり、再度説明したりと対策が打てるが、Web会議はこちらから問いかけをしても、会議参加者から返答をもらうことが難しい場合もあり、大人数の会議ではマイクミュートのまま特に反応なし、というのはWeb会議あるあるだ。

また、Web会議の特徴として、会議室の空間的キャパシティの制約を受けないため、人数が多い会議も実施可能となる。会議参加者が多くなると自分が話せるタイミングや持ち時間が限られていることもあるため、短い時間の中で論点を明確にして、的を射た発言が求められる。

それゆえ、Web会議では自分が伝えたいことにフォーカスして、短時間ですべて相手に伝えきることが非常に重要であり、「PREP法」が効果を発揮する。

短時間かつ記憶に焼き付ける

最後に「PREP法」のメリットを2つ挙げよう。メリットを意識した上で、面接、プレゼン、Web会議など様々な場面で活用していただきたい。

1つ目は、結論を最初に持ってくる話し方をすると、話す時間が全体的に短くなり、言いたいことを短時間で伝えることができる。

仮に、理由⇒具体例⇒結論の順番で話したとすると、聞き手は最後の結論にならないと何が言いたいのかわからないため、前半部分の理由と具体例の理解がしにくくなり、論点がぼやける。

また、結論次第で話の展開が変わる場合は究極的には結論だけわかればよい。例えば、結論が「Yes」は次のステップに進み、「No」は次のステップに進まない、というシチュエーションのとき、理由と具体例を話した上で結論が「No」ならば、理由と具体例を話した時間が無駄になる。

2つ目に、重要な結論が相手の記憶に残りやすい。主張したい結論が最初に来ているため、聞き手は結論を頭の中に置きながら、結論をサポートする理由と具体例を聞くことができる。最終的に結論で終わるため、「なるほど、そういうことか」と腹落ちしやすくなる。

また、人間の脳は物事の最初と最後を強く記憶するような性質を持っているため、この性質からも重要な結論を最初と最後に持ってくることは相手の記憶に焼き付けやすい。例えば、他人のプレゼンの中盤部分がうろ覚えになることは脳の性質から来ている。

補足だが、日本人は日本語の言語的特徴から結論を最後に話すことが自然になってしまっている。小学校の作文でよく言われた「起承転結」で話すと結論が一番最後に来るため、日本人は結論から話すことが苦手なのだ。

このようにビジネスシーンでは、相手に自分の伝えたいことを短時間かつ効果的に相手に伝えることは非常に重要であり、Web会議ではさらにその重要性が増している。

頭ではわかっていても、結論から話すことは意外と実践できないため、ぜひこの「PREP法」を日頃から意識し、面接、プレゼン、Web会議などで実践してもらいたい。