寄稿エージェント:米田 泰盛
「やりたいことが分からない」は、キャリアの停滞ではありません。日々、キャリア相談の場で求職者様と相対していると、20代の方から、よくこんな言葉を聞きます。
「今の仕事を続けていて、この先どうなるのか不安で…」
結論からお伝えすると、これはキャリアに迷っている“弱さ”ではありません。
むしろ、真剣に自分の将来と向き合い始めた健全な状態だと私は考えています。
ただ一つ問題があるとすれば、その違和感の答えを「やりたいこと探し」に求めてしまうことです。
もし今あなたが、「やりたいことが分からない」という感覚を抱えているなら、
その違和感こそが、次のキャリアに進むための重要なヒントかもしれません。
この先で、その正体を一緒に整理していきましょう。
多くの人が誤解している「やりたいこと探し」の落とし穴
世の中ではよく、
・好きなことを仕事に
・ワクワクする仕事を見つけよう
と言われます。
しかし、これまで多くのキャリア支援をしてきた中で断言できるのは、
最初から明確な「やりたいこと」を持ってキャリアを築いている人はほとんどいないということです。
多くの人は、
- 目の前の仕事に一定の負荷をかけ
- 試行錯誤を繰り返し
- 気づいた時には「それが自分の強みになっていた」
というプロセスを辿っています。
仕事選びの本質は「続けられる負荷」にある
私がキャリア支援で重視している視点は、
「この人は、どんな負荷なら長く耐えられるか」です。
仕事には必ず負荷があります。
- 数字に追われるプレッシャー
- 顧客から断られ続けるストレス
- 成果が出ない期間の焦り
- 正解のない中で考え続ける負担
重要なのは、負荷があるかどうかではなく、
その負荷を“意味のあるもの”として受け止められるかどうかです。
プロのスポーツ選手が自主練を続けられる理由
プロのスポーツ選手は、誰に言われなくても自主練習をします。
走り込み、基礎練習、反復トレーニング。
決して派手ではありませんし、楽なものでもありません。
それでも続けられるのは、
- 成長に直結していると分かっている
- 努力しない自分を許せない
- 昨日の自分を超えることが基準になっている
こうした価値観と行動が一致しているからです。
私自身が大学までサッカーを続けて感じたこと
私自身、大学までサッカーを続けてきました。
正直、毎日の練習が楽しかったわけではありません。
- 走り込みはきつい
- ミスをすれば叱られる
- レギュラー争いで結果が出ない時期もある
それでも、不思議と「やめたい」とは思いませんでした。
振り返ると理由は明確で、
- 努力すれば成長が実感できた
- 競争の中で自分の立ち位置が分かる環境だった
- 苦しさに意味を見出せていた
この感覚は、今キャリア支援をする中でも非常に重なります。
仕事における「負荷 × 価値観 × 成長構造」
夢中になれる仕事とは、
単に「好き」「楽しい」という感情ではありません。
- 自分の価値観とズレていない
- 成長が分かる仕組みがある
- 続けた先に自分の市場価値が積み上がる
この3つが揃った時、人は自然と努力を続けられます。
逆に、能力があってもこの構造が崩れると、
仕事は一気に苦痛になります。
やりたいことが分からない時に見るべき3つの軸
やりたいことが分からない時こそ、
これまでの経験の中に、すでに答えのヒントがあります。
次の3つを振り返ってみてください。
① 苦しい中でも「やってよかった」と思えた経験
→ そこには、あなたが自然と力を注げる“納得感のある負荷”があります。
② 自分らしく力を発揮できたと感じた環境
→ 心地よさや手応えを感じた瞬間には、あなたの価値観が表れています。
③ 成長した自分で、誰にどんな価値を届けたいか
→ キャリアは「何をするか」ではなく、
身につけた力をどこで、誰のために使うかで広がっていきます。
おわりに|キャリアは才能ではなく設計で決まる
やりたいことが分からないこと自体は、何も問題ではありません。
大切なのは、
自分がどんな負荷なら納得感を持って続けられるのかを理解することです。
キャリアは才能や運で決まるものではありません。
価値観に合った負荷を選び、積み上げていくことで、
後から「これが自分のキャリアだった」と言えるものになります。