『吃音だからこそ分かる「言葉」の重み』メルカリのマーケ担当 兼 副業コピーライターが語る仕事観

『吃音だからこそ分かる「言葉」の重み』メルカリのマーケ担当 兼 副業コピーライターが語る仕事観

対談エージェント:安達 飛希

慶應義塾大学を卒業後、リクルートホールディングスを経て現在はメルカリのマーケティングチームに所属している長廻さん。

大学の時からコピーライターとしても活動されている彼は、幼い頃から吃音に苦しみ、今もなお吃音と付き合い続けているという。そこから感じたことや考えたことが今の職業選択の一つの軸になっているとのことですが、詳細を伺ってきました。

――――早速ですが、自己紹介をお願いします

長廻 悠人と申します。

慶應義塾大学を卒業後、新卒でリクルートホールディングスに入社し、現在はフリマアプリを運営している株式会社メルカリのマーケティングチームで働いています。

――――現職での業務内容を教えて下さい

メルカリを使っていただける方を増やす目的で、オンラインオフライン問わず施策を考えて実行しています。

いわゆる4マス広告と呼ばれるものから、新規媒体、キャンペーンなどの企画や実行、そして効果測定の調査の推進も担当しています。

――――1社目にリクルートホールディングスを選んだ理由を教えてください

もともと『コミュニケーション』というものに興味があったので、就職活動の初期は広告代理店を見ていたのですが、

『データを自分たちで持っている』

『(広告代理店という)提案をするだけではなく、自分で案件を推進出来る』

という2つの観点から事業会社を検討し始めました。

そして、リクルートホールディングスに決めた理由としては大きく3つあります。

一つ目は、『社風』です。

色々なベンチャー企業も見ていたのですが、なんとなく違う、と感じることが続いてしまっていました。そんな中でリクルートの方とお話ししている時に、

「押し付けて進めるのではなく、共有のゴールに向かって、各々が考え、能動的に動いていこうとするような方」が多く、それが魅力的に感じました。

二つ目は、リクルートでやりたい事が見つかったから、です。

これまでリクルートはTVCMをかなり強く放映し、一気にマインドシェアを高めていくようなパターンが多いと思っていました。でもこれからはそういった方法以外の手法も取るべきだと考えていたんです。『WEB上でのブランディング』など、そういうまだまだ未開拓に思えるようなものも含めて考えて実行したいと考えていました。

三つ目は、副業でコピーライターをやっていたいという事もあって、副業可能という軸もありました。

――――コピーライターもやられているんですか?

はい、大学の頃からやっています。

np.無料広告学校という広告クリエイティブの学校に通っていました。

コピーライターとしての活動としては、いままで合計70案件くらい携わってきたと思います。コピーをつくる際には何時間もカフェにこもることもあり、白い紙に案をぎっしり書いています。

【コピーライティング用の作業ノート】

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吃音だったからこそ、言葉を選ぶクセがついた

――――コピーライティングに興味を持ったきっかけを教えて下さい

まだ完治はしていないのですが、小・中学校くらいまで吃音にかなり苦しんでいたんです。自分では喋りたいと思っていても、その言葉を発音することができない、ということが多々起きていました。

こういった過去もあり、『言葉』という物に小さい頃から興味がありました。中学生の時はテキストサイトが凄く好きで、大喜利などにものめり込んでいました。

そして大学生の時にコピーライティングに興味を持ちました。このコピーライティングを誰かの下で学びたいと思っていた時に小霜和也さんという方の「欲しいほしいホシイ」という本を読んで『この人に習いたい』と思い、この方が講師をやっているnp.無料広告学校に入って色々な勉強をさせて頂きました。今では小霜さんとお仕事をさせていただくこともあります。

吃音ということもあり、私は喋る量より考える量の方が多いタイプだと思っています。ですので、コピーライティングのように考えに考え抜いて一撃で決めるような仕事が凄く面白いと感じています。

――――そうだったのですね。少し話が戻るのですが、リクルートホールディングスでの担当業務を教えて頂けますか?

1年目は、様々な業務を幅広くおこなっておりました。

そんな中で部署の先輩がサービスのリブランディングのプロジェクトを担当していて、そこに入りたいと思ったんです。

その為にこれまでの業務も一生懸命遂行した結果、2年目のタイミングで先輩にそのプロジェクトに入れてもらえることができました。そのプロジェクトではまず最初に、コピーライティングの経験が活かせるような、サービスのタグラインの変更を担当しました。数十年間続いているようなサービスのタグラインを変更することになり、非常に重要な業務を担当させて頂きました。 

タグライン(tag line)

ターゲットに対して、企業やブランドが持つ優れた点を分かり易く伝えるもの

3年目からはアプリ広告やTVCM、ウェブCMなど、色々経験させて頂きました。3年目は本当に大変でした。ただ、その年次でCMなどの案件に携れる人は決して多くは無いので、非常に貴重な経験が出来、凄く感謝しています。

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自分のやりたい事でないと150%の力は出せない

――――リクルートで得たものを教えて下さい

スキルと身に染みて学んだ事がそれぞれ1つあります。

スキルは、物事を深く考えるスキルです。リクルートでは、どれだけ一生懸命考えたと思って提案しても、「もっと考えろ」と言われるので、そもそものゴールや目的、課題、オプションの整理などとにかく考える癖が付いたのは非常に今の業務でも役立っています。

身に染みて学んだ事というのは、『自分のやりたい事でないと150%の力は出せない』ということです。私が調整役をやっていたあるプロジェクトで、複数の関係者がバラバラな事を言う状況に陥ってしまったことがあり、本当に精神的に追い込まれました。なんとか全力を出そうとして、心の底から力を絞り出すようにしたものの、とうとうまともに喋れなくなってしまったりして、進められずかなり辛かったんです。周りの方になんとか助けてもらいながら遂行したものの、自分で考えて行動できているような状態ではありませんでした。

一方でコピーライティングや今の仕事のように、自分が本当にやりたいと思っている事をやっている時は、大変な状況になっても心の持ちようを変えることができているように思えます。どれだけの時間を割いても苦ではなく、自分の実感としてもめちゃくちゃ集中できていて、まわりを動かせたり、結果相手に喜んでもらえたりすることが多いと感じています。こういった経験から、無理をしている、苦しいと感じている時点で150%の力は出せていないのではないか、という事を実感しています。 

――――リクルートホールディングスでは貴重な経験をされているかと思いますが、なぜ転職をされたのでしょうか?

貴重な経験はさせて頂いたのですが、

『マーケティング施策が売上に直結するようなサービスでやりたい』

『お金を払ってそのサービスを使う方に直にアプローチしたい』

という気持ちが芽生え始め、転職を考え始めました。

――――そのような中でメルカリに決めた理由を教えて下さい

軸は大きく3つあります。

一つ目は、『マーケティング施策が直に大きな影響を与えられそう』という軸です。面接を通してメルカリではCM等による潜在顧客へのアプローチ施策などを担当出来ると聞いていました。メルカリは、使って下さるお客様が増えれば増えるほど、それだけ売上も上がっていくので、やりがいがあるのではないかと思い、魅力を感じました。

二つ目は、WEBサービスに携わっていたいという軸。

中学生の時からテキストサイトが好きでしたし、WEBという色々な人がいる空間を創り上げるサービスが面白いと思っているんです。

三つ目はtoCサービスをやっている事業会社、という軸。

吃音の経験があって、『自分の考えを人に伝えて、多くの人が考えを変える』

ということに興味があったので、toCサービスという軸は明確に考えていました。

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自分がチームの責任者だと思えるような仕事

――――メルカリに入社してみていかがですか?

まだ入社して8ヵ月しか経っていないのですが、濃密すぎて、3年分くらいの仕事をしているような感覚です。

入ってすぐにTVCMを担当させてもらえたり、webCMの企画、推進、効果測定、屋外広告等も担当させてもらえています。オンライン・オフライン問わず、とにかくメルカリの認知を変える為の施策を考えて実行に移しています。

自分がチームの責任者だと思えるくらいに大きな裁量を持たせて頂いているので、責任の重さは感じますが、同時に大きなやりがいも感じています。

――――今後のキャリア展望があれば教えて下さい

正直なところ、今後のキャリアというのは今はまだあまり考えてはいないんです。

ただ今やりたい事はあります。メルカリというサービスは、まだ実価値に対して低く見積もられている現状があると思っています。使った方からは『すごく良いね』と言って頂けるのに、まだ使ったことのない方には上手く伝わっていない。このような上手く認知されていない状況を変えたいと思っています。

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――――VIEWをやってみていかがでしたか?

『自分では気付いていないけども自分に合っている職種』が提案されるのが凄く面白いと思います。

私の結果で言えば、1位に【エンタメ×マーケティング】が表示されました。私は元々エンタメという領域には興味が無かったのですが、こうして結果で出されると、たしかに興味はあるかもしれない、と思いました。

人材業界などに所属していない限りは、世の中にどのような業界や職種があるのかは、全部は意識することができないと思うんです。

ですので、とりあえずみんながやってみるべき面白いアプリなのではないかと感じます。自分の興味のあるもの(業界・職種)が表示されれば、それはそれでいまの選択に納得感がありますし、今まで興味が無かったものが表示されたのであれば、今後の参考にできて面白いと思います。

VIEWアプリは気軽に納得感を得られると思う

「これをやりたい」と能動的に思えて動けている状態が、人にとって最も力を発揮でき、踏ん張れるのだと思っています。その環境を探すないしは、いまの環境が実は自分にとって最も良かったという強い納得感を持つためにも、VIEWというアプリは、働いている人であれば全員一度はやったほうがいいのではないかと思いました。

「今までやってきたこと」と「自分の価値観」の両軸で決まるのというのが、現実味と理想の中でうまいバランスになっている気がします。

思っていたよりも簡単に診断はできるものだったので、まだやったことがない方は是非やってみてくださいー!