20代人事が“採用のプロ”で終わらないために必要なキャリアの分岐点とは?

20代人事が“採用のプロ”で終わらないために必要なキャリアの分岐点とは?

寄稿エージェント:江城 天陽

「このまま採用ばかりやっていていいんだろうか?」
日々忙しく業務に追われる中でふと湧き上がる、“この経験は市場でどう評価されるのか?”という漠然とした不安。最近のキャリア相談では、20代で人事職に就き、採用担当として現場と並走しながら成果を出してきた方ほど、キャリアの次のステップに悩んでいるというご相談をいただくことが多くなって来ていると感じています。
これまでハイクラス領域で多くの人事職の方を支援してきた中で、「採用のプロ」で終わってしまう人と、そこから先のキャリアを拓いていく人には、明確な違いがあることがわかっています。
本記事では、採用経験者が納得いくキャリア形成をしていくために意識すべきポイントを記載します。

「採用のプロ」で終わってしまう人の共通点

転職市場では、採用の経験自体が軽視されているわけではありません。ただし、「採用しかやってこなかった」という印象を与えてしまうと、選考の途中で評価が止まってしまうことが非常に多いのが実情です。

以下のような傾向にある方は要注意です。

  • プレイヤー視点から抜け出せない
    求職者対応、面接調整、母集団形成といったオペレーションの中で成果を出していても、「どう仕組みをつくったか」「事業にどう貢献したか」が語れないと、“単なる実務担当”と見なされてしまいます。
  • “量とスピード”の成果に偏りすぎている
    「年間●名採用」「ターンアラウンド●日短縮」といった数値も重要ですが、その先にある“採用戦略”や“採用ブランディング”の視点が伴っていなければ、再現性のある力とは見なされにくいのです。
  • 他機能との接続がない
    人事の中で「採用しか知らない」状態では、今後のキャリアの選択肢が限られてしまいます。労務、制度、育成など、他領域とどう接点を持ったかが重要な評価ポイントになります。

キャリアの分岐点で意識すべき3つの視点

では、採用担当としての経験を活かしながら、キャリアの選択肢を広げるには、何を意識すべきなのでしょうか?鍵になるのは、以下の3つの視点です。

① 事業への貢献性を言語化できているか

「採用活動によって、事業のどんな課題をどう解決したか」。ポジションフィットや早期離職の改善、エンゲージメント向上など、事業成果とリンクさせた言語化が重要です。

② 人事領域の「横展開経験」があるか

そもそも人事と聞くと採用というイメージを持たれる方も多いですが、人事には6つの機能(採用・育成・配置・評価・報酬・代謝)があります。採用領域以外の接点を意図的に持ちましょう。たとえば「オンボーディングの改善」「人材要件定義のアップデート」など、“人材活用全体”を意識した関与経験が転機になります。

③ 戦略と実行を往復できる力があるか

戦略立案(企画)と現場運用(実行)を分けて捉えるのではなく、企画と現場の間に橋をかける経験を意識することが、自律的な人事としての評価を高めます。

これからの人事キャリアをつくるために

採用のプロフェッショナルであること自体は、大きな価値です。しかしそれを「どう広げていくか」「どう深めていくか」で、30代以降のキャリアは大きく分かれていきます。

大切なのは、今の自分の経験を“点”で捉えず、“線”や“面”として構造化すること。そこに新しい挑戦を積み重ねていくことで、確かなキャリアパスが描けるようになります。

私たちは、目の前のキャリアだけでなく、その先の可能性まで一緒に考えるパートナーでありたいと思っています。もし今、「なんとなくの不安」を抱えているなら、一度立ち止まって、キャリアの棚卸しをしてみませんか?

あなたの経験には、まだ言語化されていない価値がきっとあります。その価値を一緒に掘り起こし、広げていくお手伝いをさせていただけたら嬉しいです。