寄稿エージェント:原口 優太
「営業職として数年やってきた。でもこのままでいいのか分からない」 そんな相談を、私はこれまで1,000名以上のキャリア支援の中で何度も受けてきました。
営業職は、事業の最前線で顧客と向き合い、会社の売上をつくる重要な役割です。一方で、「営業以外にも何かできるんじゃないか」という漠然としたモヤモヤもまた、多くの方が抱えるリアルな感情です。営業経験を活かした次のキャリアをどう選ぶべきか。今回は、私自身の支援経験に基づいた「意思決定フレームワーク」を紹介します。
■ 営業キャリアが広がる“3つの方向性”
まず前提として、営業経験者のキャリアは大きく3つの方向に分岐します。
①専門性を深める道
業界特化の営業(例:SaaS、金融、コンサルなど)や、ソリューション提案力を強化して「ハイタッチ営業」「エンタープライズセールス」などを目指す道。スキルが蓄積しやすく、年収アップにもつながりやすいです。
②領域を広げる道
営業の延長線上にある「事業開発」「カスタマーサクセス」「企画職」などへの転向です。特にSaaS業界では、セールス→カスタマーサクセスやプロダクトとの連携役など、越境する動きが珍しくありません。
③経営・マネジメント側に回る道
営業マネージャー、営業企画、さらには経営企画やスタートアップ幹部というルートもあります。人材業界やIT業界などでは、30代前半で執行役員に就任する例もあります。
■ 意思決定フレームワーク:3つの視点で整理する
「でも、自分には何が合っているのか分からない」 そうした迷いに向き合うには、以下の3つのフレームで自分を見つめ直すのが有効です。
①実績ベース思考:何をやってきたか
過去の経験は最大の資産です。どんな業界で、どのような顧客に、どのくらいの単価・工数で営業してきたのか。それらを分解すると、自分の“強み”が可視化されます。
②価値観ベース思考:何にやりがいを感じたか
たとえば、「顧客との長期的な関係構築が好き」なのか、「スピード感のある意思決定が心地よい」のか。「何をやっている時に時間を忘れるか」を深掘ると、自分にフィットする環境が見えてきます。
③市場ベース思考:これから何が求められるか
せっかくキャリアチェンジをするなら、将来性のあるポジションに踏み出したいものです。SaaS市場、再生・M&A領域、ヘルステックなど、成長産業を意識する視点も欠かせません。
■ 迷ったときは「プロと対話する」
営業職は“汎用性が高い”がゆえに、次の選択肢が多く、迷いやすい職種でもあります。
焦る必要はありません。まずは自分の棚卸しをし、どんな道に可能性があるのかを冷静に見極めること。そして、それを一人でやるのではなく、第三者の視点──たとえば私たちのようなエージェントとの対話が、思わぬ気づきをもたらすことも多いです。
転職は「次の一手」であり、同時に「その後の10年」を左右する意思決定でもあります。だからこそ、自分らしい選択ができるよう、丁寧に伴走してくれるプロと出会うことが、最初の一歩です。