寄稿エージェント:髙道 駿
はじめに:SEからコンサルを目指す人が増えている理由
SIerやSES企業で働くシステムエンジニア(SE)の中には、「もっと上流のフェーズで価値を発揮したい」「経営や業務に近い立場で仕事をしたい」と考え、コンサルティングファームへのキャリアチェンジを志す方が増えています。
特にDXの推進が加速する中で、ITに強い人材の需要は急増しています。SEとしての経験は、コンサルタントとして活躍するうえで大きな強みになるのです。
とはいえ、転職に際して乗り越えるべき「思考の壁」があることも事実です。それが“受託開発型の思考”と“課題解決型の思考”のギャップです。
受託開発とコンサルティングの決定的な違いとは?
受託開発の現場では、顧客から提示された要件に沿って、納期・品質・コストを守りながら正確に成果物を納めることが重要視されます。そこでは「仕様通りに作る」ことが高く評価されます。
一方、コンサルティングでは「そもそも何が課題なのかを見つける」ことが出発点です。顧客自身も明確にできていない問題をあぶり出し、あるべき姿を描き、実行支援まで行う。そこには「正解のない問い」に向き合う姿勢が求められます。
SEがコンサル思考へ転換するための3つの視点
では、受託型の働き方に慣れたSEが、コンサルタントとしての思考にどう切り替えればよいのでしょうか。私が支援を通じて重要だと感じている3つの視点をご紹介します。
1.「誰が困っているのか?」という視点
「なぜその機能が必要なのか」「どの部門で、どの業務で困っているのか」といった背景への理解が不可欠です。表層の要件だけでなく、その奥にある業務課題に目を向けましょう。
2.「なぜそれが問題なのか?」という構造化思考
「現象」ではなく「原因」にフォーカスする力が求められます。たとえば「システム操作が煩雑」という声の裏には、属人化や業務の非標準化といった構造的な問題が潜んでいるかもしれません。
3.「どう良くなったのか?」という成果視点
納品がゴールではなく、「業務がどう改善されたのか」「どのような定量的成果が出たのか」を意識しましょう。これは転職時の面接でも非常に重要な観点です。
転職成功事例:経験の言語化が突破口に
SES企業で、開発から運用保守案件に従事していた20代の方は、社内業務改善プロジェクトで「手作業で行っていた障害対応フローの自動化」を自ら企画・実行。単なる実装ではなく、関係部署へのヒアリングからプロセス設計までを担いました。この経験を「課題発見→解決→効果検証」という視点で言語化したことで、コンサルティングファームのITコンサルタントへの転職を成功させました。
おわりに:思考を変えれば、あなたの経験は武器になる
受託開発で培った技術力や現場理解は、正しい角度で活かせば、コンサルタントとしても十分に通用します。
「自分の経験は通用するのか」「どのようにアピールすればよいのか」と迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。SEからのキャリアシフトを数多く支援してきた私たちが、あなたの“次の一歩”をともに考えます。