寄稿エージェント:寺内 浩斗
企業が扱う商材には、大きく分けて「有形商材」と「無形商材」があります。有形商材は実際に形がある商品であり、無形商材は形のないサービスやソフトウェアを指します。それぞれの企業が抱えるビジネスモデルやマーケティングの特徴は異なり、マーケターに求められる役割や成長機会も大きく変わります。本記事では、有形商材と無形商材を扱う企業の特徴を比較し、マーケターにとってのキャリア選択について解説します。
有形商材を扱う企業の特徴
具体的な商品をベースにしたビジネス
有形商材を扱う企業は、物理的な商品を製造・販売するビジネスを展開します。自動車、家電、食品、アパレルなどが代表例です。商品の品質や機能が目に見えるため、消費者の手に取る実体験が購買の決め手になります。
特徴:
- 商品が広告になる:実際に商品を見せることで、価値を伝えやすい。
- 競合との差別化が難しい:同じカテゴリの商品が多いため、価格やブランドイメージの競争になりやすい。
- マーケティングと商品企画の分業:多くの場合、商品企画は開発部門や商品企画チームが担当し、マーケターが直接携わることは少ない。
- 新卒文化が強い:有形商材を扱う大手企業は新卒採用を重視する文化があり、プロパー社員(新卒入社者)がマーケティング部門に配属されやすい傾向があります。そのため、中途採用者が大きな役割を得るのは難しいことがあります。
マーケティングの施策
有形商材では、視覚や体験を通じて商品価値を訴求するマーケティングが中心です。具体的には以下のような施策が挙げられます:
- 広告(テレビCM、紙媒体)
- 店頭ディスプレイやPOP
- 販売促進キャンペーン
無形商材を扱う企業の特徴
形のない価値を提供するビジネス
無形商材を扱う企業は、サービスやソフトウェア、情報を提供するビジネスモデルが中心です。例えば、SaaS(Software as a Service)、コンサルティング、教育サービス、金融商品などが含まれます。商品の形がないため、顧客に価値を正確に伝えるマーケティングが重要になります。
特徴:
- アイデアや戦略で差別化が可能:形のない商材だからこそ、企業の提供価値やブランドイメージで競争力を高められる。
- マーケターの役割が大きい:無形商材では、価値を正しく伝えることが収益に直結するため、マーケターが商品設計や企画段階から深く関与することが多い。
- 成長市場が多い:特にSaaSやデジタルサービスは、現在の市場で急成長している分野です。
- 中途採用の活躍が期待される:無形商材を扱う企業では、専門スキルや経験を持つ中途採用者が積極的に登用される傾向があります。
マーケティングの施策
無形商材では、顧客に価値を理解してもらうために、コンテンツやデジタルマーケティングが重視されます。具体的には以下のような施策が中心です:
- SEOやオウンドメディア運用
- ウェビナーやデジタルイベント
- SNSを活用したブランディング
- 顧客データ分析による施策立案
有形商材と無形商材:マーケターにとっての比較
比較項目 | 有形商材 | 無形商材 |
商材の形態 | 実際に形のある商品 | 形のないサービスやソフトウェア |
差別化のポイント | 商品の品質、デザイン、価格 | 提供価値、ブランド、顧客体験 |
マーケターの関与度 | 限定的。商品企画は別部門が主導 | 高い。商品設計や戦略に深く関わる |
市場成長性 | 安定しているが成熟市場が多い | 成長市場が多く、新しい挑戦が可能 |
採用文化 | 新卒文化が強く、プロパー社員優先 | 専門スキルを持つ中途採用が活躍 |
まとめ
有形商材と無形商材はそれぞれ異なる魅力と特徴を持ち、マーケティングにおけるアプローチや求められる役割も大きく変わります。有形商材では商品の実体験やブランド力が重視される一方、無形商材では提供価値を理解してもらう戦略やコミュニケーションが重要です。
マーケターとしてキャリアを考える際は、自分がどのような分野で力を発揮したいか、またどのようなスキルを身につけたいかを軸に選択することが大切です。それぞれの商材が持つ特性を理解し、自分に合った企業や役割を見つけましょう。