寄稿エージェント:平安山 晶帆
SaaS業界は、営業職の転職先業界として近年人気が高まっている。
SaaSは「Software as a Service」の略称で、インターネット上に存在するソフトウェアやサービスをクラウド上で提供するサービスを指す。
新興産業として興隆が著しいSaaS業界には、レガシーな業界と異なる点が大きく二つある。
- 分業制の営業スタイルをとっている
- ビジネスモデルが売り切り型ではなくサブスクリプション型である
本記事では、SaaS営業の業務内容・既存業界の営業職との違いを解説する。
なぜ分業制なのか
SaaS業界では、一般的に「The Model(ザ・モデル)」と呼ばれる分業制の営業手法を採用している。
従来の営業は売り切り型が多く、その場の提案力やクロージング力、成約前の値下げ交渉で一定の結果を残すことが可能だった。
しかし、基本的にSaaS業界のビジネスモデルは売り切り型ではない継続課金型モデルであり、導入後のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が重要になる。
中長期で顧客目線に立った提案が求められることから、高いレベルでの連携・顧客とのコミュニケーションが必要なのだ。
そのため、営業が一人で全て担当するのではなく、一連の営業プロセスを分業化し、それぞれがKPIを持つことで、より専門性が高く属人化しないThe Model型を確立したのである。
The Model(ザ・モデル)の役割
The Model型の分業体制は以下の3つである。
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
インサイドセールス
インサイドセールスは、見込み顧客へのアプローチを電話・メールなどの非接触な手段を用いて行う役割を担う。
アプローチを重ねることで、商談機会の創出やナーチャリングなどを目指すことを求められる。
具体的なKPIは以下の通りだ。
- アポイント数
- 有効商談数
- コール数
- コンタクト数
フィールドセールス
フィールドセールスは、顧客の抱える課題を詳細に把握し、課題に対して自社プロダクトで正しく解決できるかを検討、そして提案するのが主な業務だ。
自社で解決できる課題と見込み顧客の課題が不一致だと、導入後すぐの解約になってしまうため、アプローチは慎重に検討する必要がある。
具体的なKPIは以下の通りだ。
- 受注件数
- 受注金額
- 受注率
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、サービス導入時のオンボーディング・契約更新・解約防止・アップセルクロスセルの提案によるLTVの向上が主な業務だ。
具体的なKPIは以下の通りである。
- 解約率
- オンボーディング完了率
- アップセル・クロスセルの金額
- 売上継続率
- アクティブユーザー数
The Model(ザ・モデル)の役割ごとに身につくスキル
The Model型の営業手法で担当する役割ごとに身につくスキルは異なる。
ここでは、そのスキルについて解説する。
インサイドセールスで身につくスキル
インサイドセールスで身につくスキルは以下の通りだ。
- ターゲティング力
- 課題発見力
- マーケティングスキル
- ナーチャリング力
- PDCAを効率よく回す力 など
インサイドセールスでは、短い時間で顧客の潜在ニーズを見つけ出し、訴求する力が求められるため、課題発見力やPDCAを回す力が自然と身につく。
また、時にはマーケティングと連携しながら、ターゲティングやセミナーの開催を行う必要があり、基礎的なマーケティングの観点も身につけられる。
成熟期には、休眠顧客の掘り起こしも必要なため、ナ―チャリング力も求められるだろう。
フィールドセールスで身につくスキル
フィールドセールスで身につくスキルは以下の通りだ。
- ヒアリング力
- 仮説構築力
- 課題解決力
- クロージング力
- ROIを想定した高い提案力 など
クラウドシステムはNice to have(なくてもよいがあると役立つもの)なサービスであるため、費用対効果の算出が難しく、ROIを想定した高い提案力が求められる。
また、費用対効果が算出しにくい分、顧客の抱えている潜在ニーズを引き出した提案が必要となり、高いヒアリング力や仮説構築力なども身につけられる。
カスタマーサクセスで身につくスキル
カスタマーサクセスで身につくスキルは以下の通りだ。
- 課題解決力
- 分析力
- 企画・提案力
- ITスキル
- プロジェクトマネジメントスキル など
カスタマーサクセスは導入支援や定着サポートを行うことで、顧客と並走し課題や要望を吸い上げて、解決策を導き出すことが重要となる。
業務を通じ、プロジェクトマネジメントスキルや課題解決スキル、分析スキルなどが身につく。
また吸い上げた顧客ニーズから、時にはエンジニアと協力し、機能改善やカスタマイズを行うこともある。
カスタマーサクセスはエンジニアとの協働を通じ、システム開発に関する知識も学んでいけるのが特徴的だ。
SaaS企業にとっては、サービスを継続的に利用してもらうことが、安定的に売り上げを上げることにつながる。
そのため、顧客満足度の向上を担うカスタマーサクセスの存在は非常に重要だ。
SaaS営業に向いている人の特徴
SaaS営業に向いている人の特徴は、一つ目が「新しいものが好き」な人だ。
情報や技術のアップデートが早いからこそ、キャッチアップ能力が高い方が求められる。
二つ目は、数字の分析が苦ではないことだ。
導入効果を定点観測してそれを資料にまとめて提案する機会も多く、確かな価値を提供し伝えていくためには、数値的な分析に強い人が向いている。
ただ、SaaS営業に興味はあっても、上記の特徴が自分に当てはまっているか不安な人もいるかもしれない。
SaaS営業への転職なら、弊社ASSIGN AGENTにご相談いただきたい。
ASSIGN AGENTなら、あなたの強みと今後のキャリア展望を明確にした上で、あなたがSaaS営業として活躍できるようにサポートできる。
相談は無料なので、ぜひ一度お問い合わせいただきたい。