寄稿エージェント:青木 桃子
日本の雇用形態は、従来の年功序列メンバーシップ型から、業務内容に最適な経験やスキルを生かし、採用されるジョブ型へ移行しつつある。
ジョブ型雇用が進む背景としては以下の要因がある。
- 産業のDX化により、AI・機械で代替可能なポジションの人材需要が減少した
- 上記と連動して高い専門性が求められるポジションの募集が増えた
現代では、自身の報酬や評価を上げていくためには、AIに代替されない職種のなかでスキルを磨き続け、自身で雇用を確立することが求められる。
本記事では、ジョブ型雇用の時代を生き残るために、20代で専門性を磨くことの重要性について解説する。
ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは、募集ポジションの職務内容を明確に定義し、その職務を実施するにふさわしい即戦力人材を採用することを指す。
日本でジョブ型雇用が導入された背景としては、2020年に日本経済団体連合会が発表した「2020年版経営労働政策特別委員会報告」のなかで、以下の提言があったことがきっかけとされている。
「従来のメンバーシップ型雇用だけではなく、状況に応じて適宜ジョブ型雇用を取り入れていくべき」 |
上記の提言後、ジョブ型雇用はさまざまな業界・企業で推進されるようになった。
ジョブ型雇用導入のメリット・デメリット
ジョブ型雇用は、求職者・企業双方にそれぞれメリット・デメリットがある。
求職者側のメリット・デメリット
求職者側が受けるジョブ型雇用のメリット・デメリットは以下の通りだ。
メリット | ・自分自身の専門分野に特化し、スキルを十分に発揮できる ・得意領域のみの職務を行うため、より専門性が磨かれ、仕事の効率化や生産性の向上において貢献できる ・結果主義の体制であるため、自分自身の成果に応じて報酬を上げられる |
デメリット | ・事業の撤退や縮小などの理由で自身の担当業務がなくなると、最悪の場合離職につながる可能性がある ・常に専門分野におけるスキルアップが求められる |
企業側のメリット・デメリット
企業側のメリット・デメリットは以下の通りだ。
メリット | ・自社の業務に必要な高い専門性を有する人材を迅速に確保できるため、採用コスト・工数の削減につながる ・採用時に仕事内容や勤務地など細かい条件を明示しているため、入社時のミスマッチがなくなり、早期離職の防止につながる |
デメリット | 自社より好条件を提示する企業からのオファーがあった場合、人材が流れやすい |
求職者・企業のメリット・デメリットは明確であり、双方にこれらに即した行動が求められる。
求職者側としては、専門性を強みとしてアピールできる人材になることが大切だ。そのための考え方を次項にて解説する。
専門性を強みとした人材になるためには
ジョブ型雇用で重宝される人材になるためには、自らの専門性を具体化し磨き上げることが大切だ。
ここでは、専門性を強みとした人材になるための方法や考え方を紹介したい。
1万時間の法則
専門性を高める有効な手段の一つが「1万時間の法則」だ。
1万時間の法則とは、ある分野の専門性を高めるには、誰であっても1万時間練習・努力を重ねることができれば、実現できるという理論である。
ただ、1万時間は毎日9時間練習したとしても、最低3年はかかる。また、闇雲に時間を投資するだけでは、スキルアップは困難だろう。
そのため、体力や記憶力という若さを生かしていける20代のうちに、自分自身のスキル形成に十分な時間を割き、専門性を尖らせることが重要なのだ。
AIに代替されない人材とは何かを考える
ジョブ型雇用では、AIに代替されないスキルを持ち、AIに代替される可能性が低い職種を目指すことが重要だ。
そのためには、まずどのような職種がAIに代替されやすい・されにくいのかを把握しておくことが肝要である。
AIに代替される可能性が高い職種
AIに代替されてしまう可能性が高い職種は以下の通りだ。
- サービス業
- ドライバー
- 銀行員
- 一般事務 など
上記の職種は、マニュアル化しやすく、膨大なデータを処理できるAIが代替できると予想されている。
そのため、AIの技術推進により「人が行う仕事」としては消えていく可能性が高い。
AIに代替される可能性が低い職種
AIに代替されてしまう可能性が低い職種は以下の通りだ。
- 営業職
- ITエンジニア
- コンサルタント
- 漁業・林業などの一次産業 など
上記の職種がAIに代替されにくいのは、相手の状況や気持ちを汲み取る必要性が高く、マニュアル化での一元管理が難しいためだ。
また、いずれも顧客の抽象度の高い課題特定から介在をしていき、複雑な対応が求められることから、その点でもAIにとって代わられるということは難しいだろう。
まとめ
現代は、DX化によるジョブ型雇用が進むなかで、自分自身が生き残るための明確な武器を持っているのかを常に考える必要がある。
ただ、自分自身の明確な武器と言われても、どのような経験・スキルが当てはまるのか分からないと不安を覚える人もいるかもしれない。
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