「上流」の定義とは。マーケターが考えるべきキャリアの変遷

「上流」の定義とは。マーケターが考えるべきキャリアの変遷

寄稿エージェント:沼部 亮平




一口に「マーケター」といっても、キャリアの方向性は多種多様である。

例えば、マーケターの方をご支援させていただくなかで「マーケティングプロセスの上流へ行きたい」との要望をいただくことがよくある。

しかし、この上流というワードは広義であるため、具体的なご支援をさせていただく際には、さらに深掘りして、その方に合った上流の定義を洗い出す必要があるのだ。

本記事では、マーケターそれぞれのキャリアプランを構築する際に必要な考え方について解説したい。

シンプルにマーケティングに興味をもった原体験から考える

マーケターとしてのキャリアプランを検討する際に、まず大切なのはマーケター・マーケティングに興味を持った原体験を棚卸しすることである。

マーケターとして従事する方は、ほかの職種と比較してマーケティングに興味を持った原体験が、記憶に残っていることが多い印象にある。

例えば、以下のような事柄が挙げられるだろう。

  • 学生時代にアプリの開発に携わり、認知を広げていく際に苦労した
  • 4人兄弟の末っ子で兄達からの影響が大きかったことから、人や物が与える影響に興味を持った
  • 過疎化の進んだ地域に行った際に、元からある魅力的なものをなんとか復活させたいと感じた

このように原体験は、各人の幼少期から現在に至るまでのイベントが大きく影響するため、内容も十人十色である。

また原体験そのものは普段から意識するものではないため、蔑ろになりやすい。

そこで原体験を棚卸しするのに効果的なのが、「あなたにとって、マーケティングとは何を指すのか」といった質問である。

この質問を自身に投げかけたとき、きっとマーケティングに興味を持った原体験が蘇るだろう。

「SEOのスキルを高めていきたいのか」「リサーチャーとして分析力を高めたいのか」など、ぜひ一度質問を投げかけて、原体験からマーケターとしてのキャリアをシンプルに考えていただきたい。

繰り返しになるが、マーケターや上流というワードは非常に広義であり、キャリアの方向性が見えにくくなる要因の一つだ。

そのようなときこそ、「シンプルに考えること」に徹底してほしい。

自身の要望だけでなく企業フェーズから求められる人材を判断し転職先を選定する

マーケターがキャリアプランを検討する際に意識するのが、マーケティングプロセスのどの地点に軸足を置きたいのかという点である。

例えば、以下のようなイメージをお持ちではないだろうか。

現状マーケティングプロセスにおける展望
代理店で施策の実行部分のみ(SEO記事の制作や広告運用など)担っている施策の立案にも関わっていきたい
代理店にて営業から施策の立案/実行まで一気通貫で行っている事業会社へ行き、マーケティングシステムの構築やアップデートに関わりたい

このような自身が軸足を置きたいと望むマーケティングプロセスは、転職を行うことで要望を叶えられる場合もある。

しかし、中長期的なキャリア形成においては、マーケティングプロセスのみならず企業規模・扱う商材・業務範囲などから、求められる人物像までをブレイクダウンして考えるべきである。

例えば規模が大きい企業では、「マトリクス構造」を導入している場合がある。

マトリクス構造とは、企業内の事業部と部門を縦・横の軸で掛け合わせて構造化する形態のことを指す。

具体的には、従業員が1,000名規模の企業であれば、その分マーケターの数は増えて、担当する部門も分業化されるため、専門性を高めていくことが可能だ。

一方で、100名規模の企業であれば、マーケティング担当者が1~2名となるのが一般的であり、アフィリエイト・リード・CRMなどのあらゆる分野のスキルが求められる。

そのため、単に希望するマーケティングプロセスを叶えるための転職活動をするのではなく、企業フェーズがどの位置なのかも考慮して、応募先企業の選定をしなければならない。

「この企業であれば、このフェーズだから、このような動きが必要だろう」と考えながら、転職活動を進めると、企業が求める人材の解像度を高く把握できる。

ぜひ、上記を踏まえ自身の進みたいキャリアの方向性と合致するかを検討してみてほしい。

ここで、直近ご支援をさせていただいたマーケターA様のキャリアプランの考え方・行動の一例を紹介したい。

【マーケターA様のキャリア変遷】

1. 新卒で入社された代理店でSEO記事を担当
2. 施設の立案にも関わりたいとの想いから当時のクライアント(プランニングを担当していた代理店)へ転職
3. 3年の経験を積み、ゆくゆくはマーケティング戦略に関わりたい気持ちが強まり、事業会社への転職を希望
4. 転職先でSEOのスキルを活かし、オウンドメディアのSEOディレクターとしてキャリアを検討

上記の例では、決して最初からキャリアプランが明確だったわけではない。

経験を積むなかでやりたいこと・適性が見えてきた結果、キャリアプランを柔軟に変更し、身につけたスキル・経験を最大化しようと試みている。

シンプルに自身のやりたいことを振り返り、キャリアプランについて入社後にどのように関わっていくかまで、ブレイクダウンできた結果といえるだろう。

ハード面(専門性)とソフト面(汎用性)の使い分けでアピールする

面接で、アピールしたい事柄が多くてまとめられず、適切に伝えられなかった経験がある方もいるかもしれない。

面接の時間が限られているなかで、採用に最適なアピールができなければ、内定はおろか一次選考すら不採用の可能性がある。

そのため、面接でアピールしたい事柄はハード面(専門性)とソフト面(汎用性)で使い分けて用意しておくとよい。

使い分けの例は以下の通りだ。

・業務内容に関する質問があればハード面(専門性)をアピールし、即戦力としての評価をしてもらう
・現職での工夫点や考え方に関する質問の際は、ソフト面(汎用性)をアピールし、人柄やポテンシャルを評価してもらう

上記のように使い分けができていると、面接官も論点整理がしやすく評価が容易となり、面接通過率も高まるだろう。

マーケターに当てはめて検討する場合は、以下の内容がおすすめだ。

ハード面(専門性)ソフト面(汎用性)
GA4やAhrefs 、ヒートマップツールなどの各種ツールを用いて案件に携わり、どのような成果に結びついたのかをアピールする日々の業務における目標の置き方・課題設定の粒度・自分ならではの工夫点をアピールする

ハード面とソフト面を効率的に使い分けて整理することで、面接で的確に自身をアピールできるだろう。

まとめ

マーケターの業務内容は複雑に感じる部分があるかもしれないが、実際のところはシンプルに把握できる部分も多い。

ただ、そのシンプルさに気づきマーケターとしてのキャリアプランを構築することは難しい場合もあるだろう。

マーケターとしてのキャリアプランの構築なら、弊社「ASSIGN AGENT」の利用をおすすめする。

ASSIGN AGENTでは、初回面談での求人票のご提案は行わず、あくまでもあなたの価値観を軸に目指す将来像を考えている。

それゆえ今回ご紹介したような、マーケターのキャリアに関しても、あなたにとってのマーケティングとは何かという原点から洗い出すことが可能だ。

相談は無料なので、ぜひ一度お問い合わせいただきたい。