寄稿エージェント:北岡 大暉
急激に高齢化が進み、生産年齢人口が減少している日本社会において、中小企業のM&Aは有用な手段だ。
近年、M&Aを事業とする企業の興隆も目立ち、M&Aは転職市場でも人気を集める業界となっている。
今回は、M&A業界の概要やM&A業界において求められる人物像、転職をする際の注意点を説明していく。
M&Aとは一体何なのか
M&Aとは「Mergers(合併)& Acquisitions(買収)」の略であり、2つ以上の企業が一つになったり、ある企業がほかの企業を買収したりすることを意味する。
会社や事業の合併・買収により、企業を成長・発展・存続させていくことを目的としている。
また広義の意味としては、企業の合併と買収だけでなく、提携まで含める場合もある。
M&A増加の背景
近年中小企業におけるM&Aが増加傾向にある背景としては、以下2つの要因が挙げられる。
- 後継者不在問題
- 縮小する国内市場への対応
後継者不在問題
日本に約800万人いるとされる団塊の世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題(※)」が迫ってきている。
2025年問題によって引き起こるとされているのが、経営者の高齢化に伴う中小企業の「後継者不在問題」だ。
一般的に事業承継は、少なくとも5〜10年程度の時間を要する。
そのため、後継者が決まらないまま経営者が高齢に差しかかれば、後継者選びや引継ぎ・育成に時間をかけることが難しくなる。
そこで注目されているのがM&Aだ。
M&Aは既に経営ノウハウがある企業・個人に委譲するため、事業継承にかかる時間を大幅に減らせる。
M&Aは、早急に事業承継が行える点で支持を集めているといえる。
縮小する国内市場への対応
人口減少によって縮小する国内市場への対応も、中小企業が直面する課題の一つだ。
縮小する市場に合わせて、中小企業は以下の対応が求められている。
- 経営の合理化・統廃合
- 新規事業参入
- シェア拡大 など
上記の諸問題を解決する際に、M&Aは有用な手段だ。
例えば、新規事業に参入する場合、自社で0から立ち上げるよりも既に技術・販路・ノウハウを持つ他社をM&Aで獲得したほうが効率的かつ確実である。
縮小する国内市場で限られたニーズを応えるための有用な手段として、M&Aが採用されている。
M&A業界への転職で求められる人物像
M&A業界への転職では、以下の人材が求められることが多い。
- 金融業界での実務経験がある人
- 高い営業力を有する人
- コミュニケーション力の高い人
金融業界での実務経験がある人
M&A業界では、企業価値評価や財務分析などの財務関連データを理解している必要がある。
金融業界での実務経験がある場合は、転職を有利に進められるだろう。
なお、M&A業界で業務に就く上で必ず保有しなければならない資格はない。
ただ、公認会計士や税理士などの資格があれば、専門知識を持っていることが証明できるため、即戦力として採用される可能性が高くなる。
高い営業力を有する人
企業や事業のM&Aでは、譲渡企業と譲受企業をうまくマッチングさせる必要がある。
そのため、営業力のある人が求められる傾向が強い。
M&Aでは、譲渡または譲受を希望する企業の相手先を見つからなければ、テレアポや飛び込み営業によって相手方を見つける必要がある。
地道に努力を重ねられる営業経験者が有利になりやすく、特に法人営業の経験が評価されやすいだろう。
コミュニケーション力の高い人
M&Aは企業と直接コミュニケーションを取る仕事であり、M&Aコンサルタントの成約件数は多い人で年間10件程度である。
また、1件のディールにかかる期間は1年以上になる場合もあるため、ある程度長いスパンで物事を捉えた上でビジネスを遂行していく力が求められる。
さらに、M&Aへのニーズが高まっているのは間違いないが、そのほとんどが潜在ニーズだという特徴がある。
それゆえに、M&Aコンサルタントには、日頃の営業活動を通して顧客の潜在ニーズを顕在化させる力が求められる。
潜在ニーズを顕在化させるには、まずはお客様に会って話を聞いてみる素直さとフットワークの軽さも欠かせない。
M&A業界への転職における注意点
M&A業界に転職をしていく上での注意点は、以下の2点だ。
- ハードワークになりやすい
- 一定の社会人経験が必要である
ハードワークになりやすい
M&A業界は、成果次第で高年収を得られる環境だが、ほかの業界と比較してハードワークになりやすい傾向が強い。
ハードワークになりがちな理由には、M&A業界のビジネスモデルが関係している。
- 基本的に訪問先へ出向いて面談するため、出張が多い
- 並行して複数の案件を抱えて進める
- 収益構造が人材の成果ありきであるため、負荷がかかりやすい
また、M&A業界では訪問以外にも以下の業務も進めなければならない。
- アポイント獲得
- 株価の算出業務やロングリスト作成
- 提案資料・契約書類作成 など
上記の業務を基本的には一人で行うことになるため、自ずと長時間労働が常態化し、ハードワークとなりやすくなる。
さらに、案件によっては休日対応を求められる場合もあり、休息が取りにくい期間があることに留意しておく必要がある。
一定の社会人経験が必要である
近年、M&A業界では新卒採用を行う会社が増えているが、それでもまだ中途採用の割合が高いことには変わりない。
業界特性として、M&Aは金融業界・コンサル業界などの経験者を多く採用していて、即戦力になりうる人材を求める傾向がある。
また、M&A業界では経営者から信頼を勝ち取れるかどうかで支援の可否が大きく左右される。
それゆえに、圧倒的な営業力・コミュニケーション能力が求められ、一定の社会人経験は積んでおくことが望ましいといえる。
まとめ
M&A業界は実力次第で高い収入が見込める反面、財務や営業力など高度なスキルを必要とする。
転職を検討するには、自身のこれまでのバックグラウンドを含めて、戦略的なキャリアプランが必要だ。
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