寄稿エージェント:島倉 悠斗
20代後半~30代前半のキャリアの悩みにおいて、相談の多い内容は以下の通りだ。
- 子育てのために時短勤務がしたい
- 年収を上げたいが子供のお迎えもあるため残業がない企業で勤務したい
- フルリモートの求人に応募したい など
子育てや結婚等ライフイベントを迎えている候補者からは、上記の相談を受ける機会が非常に多い。
ライフステージの変化と共に、仕事と家庭・子育てとのバランスを考えていくことは、共働きがほとんどの現代人にとって必要不可欠である。
しかし、目先の条件だけで転職をすると転職後のミスマッチが発生し、短期離職にもつながりかねない。
本記事では、子育てと仕事を両立するためのキャリア選択についてご紹介したい。
育児・介護休業法とは
そもそも育児休業が単独の法律となったのは、1992年のことである。
女性の社会進出や核家族の進行などによる家庭機能の変化、さらには少子化への対応を踏まえて同年4月1日に「育児休業法」が施行された。
その後、急速に高齢化が進んだことから、介護の問題もフォーカスされ、介護休業と育児休業を共に法律に盛り込む改正が行われたのである。(1995年に育児・介護休業法となった。)
これが、現在の「育児・介護休業法」の土台となり、その後も幾度となく改正が行われ、現在に至るわけである。
その育児・介護休業法が2021年6月に改正され、改正育児・介護休業法としてさらに働く男女の育児介護を支援する法律となった。
今回の改正内容は以下の通りである。
1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設 【令和4年10月1日施行】 2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け 【令和4年4月1日施行】 3 育児休業の分割取得 【令和4年10月1日施行】 4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け 【令和5年4月1日施行】 5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 【令和4年4月1日施行】 |
今回の改正で、これまでよりもさらに出産・育児などによる労働者の離職を防ぎ、希望に応じて仕事と育児などを両立できるようにすることを目指している。
なかでも特徴的なのは、産後パパ育休制度の創設・育児休業の分割取得であり、その概要は以下の通りだ。
産後パパ育休制度 | ・男性を対象にした育休制度であり、これまでの育休制度とは別に制定された ・子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能で、一定の条件を満たせば休業中に就業も可能 ・通常の育休制度と併用可能 |
育児休業の分割取得 | ・改正前は育児休業を分割して取得できなかったが、改正後は2回に分割して取得できる ・産後パパ育休制度にも適用されるため、4週間を2回に分割して取得することも可能 |
上記の内容からも、国としても育児と仕事の両立を推進しようとする姿勢が垣間見える。
特に、産後パパ育休制度・育休取得状況の公表義務化に代表されるように育休制度を取りやすい環境の整備に注力しているといえる。
現に、産後パパ育休制度が開始されてからは、2019年と比べて2023年は平均で23.4日と2019年の10倍以上に増え、男性が育休を取得しやすい環境が整ってきた。
しかし、取得期間が女性の9割が6ヵ月以上であるのに対して、男性は約半数が2週間未満と短期であり、まだまだ女性への負担は大きいことに変わりはない。
また、男性の取得日数は増加したとはいえ、企業が育休を推進する動きは2019年が41.3%で2023年が43%といまだ微増である。
育休取得への不安度も2019年は77%で、2023年は70.2%と減少傾向ではあるが依然として高い水準にある。
改正間もない時期ではあるが、今後さらに官民一体で女性だけでなく男性の育休取得を推進していくことが、結果的に女性のキャリア支援につながるといえる。
産休育休中のリスキリングは可能なのか
産休育休期間のキャリア形成では、リスキリング(新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること)についても注目を集めている。
キャリアデザインセンターが女性617名に実施したアンケートによると、リスキリングの必要性を感じると答えた人が88.5%と、多くの人が必要性を感じていることが判明した。
一方で、「産・育休期間中のリスキリングは可能だと思うか」の質問に対して、「可能だと思わない」が最多の37.1%。
さらに、子供がいる方に限定するとその割合は45.9%と約半数を占める結果となっている。
つまり、復職後に向けてスキルを身につけたいが、実態としては産・育休中だと難しいと感じている方が多い。
そのため、産・育休に入る前のキャリア戦略が重要となるのだ。
逆算してキャリアを考える重要性
共働きが主流となってきている現代において、家庭と仕事を正社員として両立したいと考えている方は増えている。
現に厚生労働省の調査によると、1980年と比較して2019年では共働き世帯数は約2倍となっている。
だからこそ、将来仕事とキャリアを両立するためには20代の若手のタイミングでしっかりと検討することが肝要だ。
また、このキャリアプランの検討と並行して、そもそも結婚・子育てを望むのかどうかの大まかなライフプランも設計する必要がある。
キャリアプラン・ライフプランについては、ぜひとも転職エージェントに相談していただきたい。
弊社、ASSIGNでは、キャリアに対する向き合い方から選考対策まで、一貫したサポートを強みとしている。