コンサルで得られる能力とは?

コンサルで得られる能力とは?

寄稿エージェント:枝野 陽

新卒就活人気ランキング上位にコンサルティングファームがランクインしたり、中途入社でも多くの人がコンサルティングファームに転職している。このような時流の中、コンサル業界で得られる能力、特に駆け出しコンサルタントの時期に身に付けられるスキルにフォーカスしてご紹介していきたい。

キャッチアップ能力

まずは、高いキャッチアップ能力が求められ、担当業界に対する理解が必要となる。中途入社でコンサルティングファームに転職している場合、前職と同じ業界にアサインされるケースが多いが、それでも体系的に業界のビジネスモデル・トレンドを抑える必要があり、新卒/第二新卒であればゼロベースでのスタートとなる。

また、クライアント理解が求められる。前述の業界知識をベースとし、その業界内でのクライアントのポジション・強み・中期経営計画など、クライアントの状況・方針を正しく理解し、なるべく同じ目線でコミュニケーションできるようにしておくことが求められる。クライアントのキーパーソンを抑えるというソフト面での理解も非常に重要だ。

加えて、自分がアサインされるプロジェクト情報もアサイン初期には必ず理解する必要がある。コンサルティングファームのアサイン方法は大きく分けると2つあり、1つ目は完全な新規プロジェクト、2つ目は既存プロジェクトへのアサインである。多くの場合、後者の既存プロジェクトへのアサインに該当するため、自分がアサインされるタイミングではこれまでのプロジェクトの積み上げがあり、プロジェクト限りの機密性の高い情報はアサイン初期に集中的にインプットを行う必要がある。

プロジェクト情報の具体的なキャッチアップ手段として、プロジェクトの提案資料から定例MTG資料、各マイルストーン毎での成果物など多くのドキュメントがプロジェクトで管理されているため、このような資料を読み込む作業を行う。資料について細かく説明してもらえることは少ないため、自身で読み込み、疑問点があればまとめ、プロジェクトリーダーに質問して確認するなどの作業が必要である。

近年のトレンドとしては、デジタルトランスフォーメーションなどのITの高度化はどの業界・企業にとってもメインアジェンダとなる。日本国内の他業界のベストプラクティスのみならず、海外の最新ソリューションのインプットが非常に重要となっており、自分の言葉で語れるようになれるとコンサルタントとしてバリューが出てくる。

このように業界知識・クライアント情報・プロジェクト概況などを短期間でインプットする必要があるため、駆け出しコンサルタントには学習時間が多く必要になり、継続的なインプットが必要になる。

しかし、コンサルタントになってすぐにこれらの知識がすぐに身に付くわけではないので、学習する習慣を継続しつつ、プロジェクトに参画しながら知識を高度化させ、自らの武器へと変えていく。そして、コンサルタントとしての経験が積み上がってくると抑えるべきポイントの勘所がついてくるため、インプットの効率は上がっていく。

ドキュメンテーション能力

次に、ドキュメンテーション能力が求められる。ここでのドキュメンテーション能力は主にExcel・PowerPoint・Wordを使いこなすことを指す。

筆者の感覚だが、Excel5割、PowerPoint4割、Word1割、といった比率でプロジェクト業務で使用する。それぞれの具体的な使用場面と合わせて説明していく。

1つ目のExcelについて、プロジェクトの特徴にもよるが、Excel・PowerPoint・Wordの中で使用頻度は1番高い。特にシステム構築のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)では課題管理表、仕様変更(チェンジリクエスト)管理表などプロジェクトメンバー全体で管理・更新していく場合もあるので運用できるフォーマットで作成する必要がある。

また、データ分析や財務諸表・会計分析などデータ整理・数値整理の場合もExcelを多用する。駆け出しコンサルタントはよく使う関数を覚えたり、ショートカットキーを覚えたりと、早く・効率的にアウトプットを出すスキルを身に付けることが必須である。

2つ目のPowerPointについて、これもExcelの次に使用頻度は高い。特にプロジェクト提案書、リサーチ報告書などプレゼン資料はPowerPoint資料となる。

PowerPointスキル上達のポイントはとにかく「パクる」ことだ。コンサルティングファームの中には提案書やレポートを社内資源として共有している場合が多い。そのような社内資源を活用して、徹底的に資料の構成・オブジェクトの使い方など真似をして「パクる」のだ。

「パクる」ことのメリットとして、コンサルの実業務の中ではPowerPoint資料を全くのゼロベースから作ることは少ない。既存資料をインプットにしたり、他メンバーの資料を引き継ぐことが多い。その際、自分の中で使いやすいオブジェクトや綺麗なPowerPoint資料のストックを持っておくことでゼロベースで資料を作らず、多少の修正で品質の高いアウトプットを出すことができる。

3つ目のWordについて、使用頻度は3つの中で1番低いと考えて良い。しかし、議事録、プレスリリース、リサーチ報告書などで使用され、金融機関や官公庁などは社内文書がWord標準である場合もあるので、業界・クライアントによっては使用頻度は高くなる。

また、特に駆け出しコンサルタントは議事録作成タスクは必須と考えたほうが良い。求められるクオリティはプロジェクトに依存するが、決定事項、課題、Todoを議事録に整理して次のアクションに繋げる必要があるため、アナリストやアソシエイトクラスなどの駆け出しコンサルタントが議事録を作成することが多いが、非常に重要なタスクになる。

以上、キャッチアップ能力とドキュメンテーション能力について説明してきたが、どちらも最初から完璧に備わっている人はいない。プロジェクトにアサインされ、徐々に現場で身に付けていく。コンサルティングファームに限らず、ビジネスパーソンとして必須のスキルであり、汎用的なスキルとなるため、自身の血肉となるようにスキルを高めていって欲しい。