安易なキャリアチェンジがもたらす危険性とは。キャリアチェンジに必要な要素を解説

安易なキャリアチェンジがもたらす危険性とは。キャリアチェンジに必要な要素を解説

寄稿エージェント:清水 駿

現代では、転職が当たり前になりつつある。

キャリアアップとして、同業他社に転職する方もいれば、自身が積んできた経験とは別の職種へのキャリアチェンジを考える方も増えている。

キャリアチェンジは、同業他社へのキャリアアップと比較して以下の項目により難しくなる場合がある。

  • キャリアチェンジしたい業界・職種の特性
  • 年齢
  • 保有するスキル・経験 など

上記の項目がキャリアチェンジに悪影響をおよぼす可能性があることを意識して、キャリアチェンジに挑戦するのが望ましい。

本記事では、そのようなキャリアチェンジを志す方の一助となるよう、転職を考える際に意識すべきポイントを3点紹介する。

現在の転職市場

キャリアチェンジについて考えるにあたっては、まず現在の転職市場についても知っておく必要がある。

日本の雇用体制に対し、以下の変化が起こっている。

  • 終身雇用の崩壊
  • 定年の早期化
  • JOB型雇用
  • 副業解禁

上記の内容からも感じ取れるように、日本の勤労に関する環境は大きな転換点を迎えている。

元々は企業の知名度・安定性・待遇などを優先し企業選択をするいわゆる「就社」の考え方が一般的であった。

キャリアは社内で構築していくものという考えが強く、企業の中で出世を目指すことが第一だった。

また、転職が選択肢に上がらないほど、就職活動の段階で全てのキャリアが決定づけられる風潮が色濃くあったのも特徴的だ。

しかし、終身雇用の崩壊に伴い、「どこで働くか」よりも「何をしているのか」でキャリアが語られることのほうが多くなってきた。

同時に、労働者に一定の自由を与えるような、リモートワーク・フレックスタイム制度・副業を認める企業も増えてきている。

企業が労働者に有利な制度を導入するのは、人手不足のなかで優秀な人材を確保するために、魅力的な労働環境の構築を目指す必要があるからだといえる。

企業側の労働者確保の動きが激化している現状の転職市場は、優秀な人材に案件が集まる売り手市場がさらに進んでいる。

キャリアチェンジで注意すべきポイント

キャリアチェンジは諸刃の剣である。

なぜ諸刃の剣なのかは、まず前提である「キャリアのルール」を知ることで理解できる。

キャリアのルールとは、簡潔に述べると以下の通りだ。

キャリアのルール特徴
年齢制限キャリアの選択肢は、年齢を重ねるごとに減っていく
キャリアの一貫性を喪失すると、理想のキャリアを歩めなくなる可能性が高まる・30代以降でキャリアチェンジができたとしても、それを繰り返すことでキャリアの一貫性が損なわれる危険性がある

ここでは、上記のルールと注意点について解説する。

キャリアチェンジを行える年齢制限

新卒では、ポテンシャルを重視されるためさまざまな業界、業種に挑戦できる。

しかし、新卒後年齢を重ねるにつれて、キャリアの選択肢は自分の経験・スキルや、所属していた業界の親和性を活かしたものから選択することを余儀なくされる。

つまり、30代以降でキャリアチェンジを目指す際は、限られた条件を満たした場合でしかできなくなってしまうのだ。

30代でのキャリアチェンジが可能な場合は、業務自体の親和性が認められるときのみであり、これだと同領域のなかでのキャリアパスで描けるものに制限がある。

30代以降でこれまでの経験・スキルと関連のない業界へキャリアチェンジすることは、現実味のない行動だと言わざるを得ない。

キャリアチェンジによる一貫性の喪失

キャリアチェンジは、それを繰り返すことでキャリアの一貫性が損なわれる危険性がある。

特に何も考えずキャリアチェンジを繰り返せば、何を軸に転職活動をしているのか不透明であり、採用目線で考えても軸のない求職者と判断されてしまう。

つまりキャリアの一貫性が損なわれてしまえば、満足なキャリアを歩めなくなってしまうだろう。

キャリアチェンジは、大きなリスクを背負った上で新領域に繰り出すため、安易にしてはいけないのだ。

覚悟を持ってキャリアチェンジへの一歩を踏み出す

キャリアチェンジに踏み出すためには、次の要素を満たしている必要がある。

  • その職種に必要とされる絶対条件
  • 叶えられるやりがい
  • 獲得できる活躍環境

職種に必要とされる絶対条件とは、例えば営業であれば「数字(KPI)を追いかけること」、経理であれば「数字に向き合えること」などが代表的だ。

しかし、弊社にご相談をいただくキャリアチェンジを伴う転職では、以下のような悩みが寄せられることもある。

例)「現職で営業をしているが、残業が辛いのでキャリアチェンジをしたい」

上記の場合、営業そのものが全て辛いわけではない。

そのため、絶対条件の「KPIを追う」ことが辛くて転職したいわけではないのであれば、同職種での転職も視野に入れるべきである。

また、やりがい・活躍環境については、これまでの人生や現職での業務を振り返ることで把握できる。

絶対条件に該当しつつ、やりがい・活躍環境の改善がキャリアチェンジによって叶うと感じたのであれば、ぜひ挑戦をしてほしい。

しかし、キャリアには不可逆性が存在しており、一度踏み出すと後戻りができないこともある。

未知で新しいキャリアを歩む際には伴走するパートナーが必要だ。

自身がどのような職種に向いていて、その職種に挑戦ができるかどうかは、ぜひエージェントに相談をしてみてほしい。

一人でも多くの方がやりがいを持って仕事をできるように願っている。