人気職種への正しい理解がキャリアプランの実現に効果的である理由

人気職種への正しい理解がキャリアプランの実現に効果的である理由

寄稿エージェント:藤本 悠巴

転職を考える際には、どの程度職種・業界を理解できているかが重要なポイントとなる。

「なんとなく面白そう」「興味あるかも」程度のスタンスでは、面接時に正当な理由が話せなかったり、入社できてもその後ギャップにつながってしまったりする恐れがある。

また、トレンド・社会情勢の影響などで求職者が集まりやすくなった職種は、「人気」フィルターがかかり、なおさら理解がおよばないまま応募してしまうこともあるだろう。

近年でいえば、「人事」「マーケター」が人気職種に該当する。

そこで本記事では、この「人事」「マーケター」についてどのような職種なのかを解説する。

人事

新卒採用や中途採用に関わる人事職は、会社の顔として華やかなイメージがもたれやすい職種である。

人事職の一般的な業務内容は以下の通りだ。

  • 社員の採用・教育
  • 昇進・降格の決定
  • 人事異動の発令 など

上記の業務に取り組みつつ、人事職の主目標となるのは「人的リソースに対する投資のリターンを最大化する」ことである。

人事職が受け持つ人材に関する業務にはさまざまな種類の仕事があり、一般的には以下の6つの役割に分類される。

  • 採用
  • 育成
  • 評価
  • 報酬
  • 配置
  • 代謝

人事職を目指すうえでも、上記のなかでどのような分野に関わりたいのかを自己分析により明確にすることがミスマッチ防止につながる。

人事職を目指す人は、ここで解説する内容をぜひ参考にしてほしい。

採用

人事職は、会社の経営戦略を落とし込んだ年間の採用計画を策定し、会社の人材採用活動の全般を担う。

具体的な採用に関する業務は以下の通りだ。

  • 求人メディア・人材紹介会社の選定
  • 求人要件・求人票の作成
  • 学校訪問
  • 会社説明会の企画・運営
  • 書類・面接選考の段取り
  • 内定者フォロー など

人材の募集から採用・入社に至るまでのプロセス全体に関わる。

育成

社員成長をサポートするための研修の設計・実施を担う。

社内で完結する場合もあるが、社外の研修会社や講師に業務委託をして研修を実施する場合も多々ある。

社員育成は、基本的に社員が退職するまで継続的に行うのが望ましい。

そのため、社員のフェーズによって、基礎研修・管理職研修・ハラスメント研修など、実施する研修を精査して受けさせることが大切である。

評価

具体的な成果・勤務態度などの評価は、まず直属の上司が行うことが多い。

人事職は、直属の上司が行う評価制度を適切なものに整える役割を担う。

また、人事職も適宜人事面談を行い、社員一人ひとりの評価にも関与する。

報酬

人事評価の結果に基づいて、従業員に適切な報酬を支払うように整備する。

一般的には、同業種や同業他社との比較を行いながら決めるケースが多い。

ただ、社内で突出した成果・貢献を行った人材には、個別に適切な報酬を支払うように動くこともあり得る。

配置

従業員の能力やスキル、経験などを総合的に見極めて、適材適所への配置を実現する。

どの社員をどの部署・役職に配置するかは、企業の今後に関わる重要な要素だ。

また、社員側も業務内容や責任の変化が伴うため、一方的に行うのではなく、多角的な視点・意見を参考に検討すべき業務である。

代謝

人材配置と似ている業務だが、さまざまな人材が活躍できるようにポジションを用意し配置転換をすることで、社内の代謝を図る。

この配置転換を通じて、組織内の循環を行い、新たなイノベーション・事業展開などを狙うのも人事職の責務だ。

また、代謝は社員の不正・特定の個人、団体との癒着などの防止にも寄与するため、定期的に実施するのが望ましい。

マーケティング

マーケティングは、事業の根幹に関わるイメージから多くの人が興味を持ち、憧れを抱くポジションといえる。

マーケティングの主目標は、「誰に、何を、どうやって届けるか」のマーケティング活動全般を考えることだ。

マーケティング施策の大半は、デジタルで数値を計測できるため、マーケターは常に数字を追いかけ、打ち手を実行し続けることが求められる。

マーケターの業務内容は、以下の5つだ。

  • リサーチ・市場調査
  • ターゲティング
  • ブランドコンセプトの策定
  • マーケティング施策の立案と実行
  • 効果検証

リサーチ・市場調査

消費者のニーズや競合の動き、世界各国での動向などあらゆる情報を調査・分析する。

マーケティングでは、製品を基にマーケティングをスタートする「プロダクトアウト」と、市場のニーズを調査してから製品企画に落とし込む「マーケットイン」の2つの方法がある。

方法によって用いる市場調査は異なるが、いずれの方法でもまずリサーチ・市場調査は欠かせない。

場合によっては、リサーチ・市場調査を専門的に行うリサーチ会社に依頼することもある。

ターゲティング

リサーチ・市場調査によりデータがそろったら、性別や年齢層、嗜好などから市場を細分化する。

細分化の結果を受けて、どの市場を狙うか定め、市場内での立ち位置を決めるのがターゲティングと呼ばれる業務だ。

このターゲティングに失敗すると、最悪の場合商材が売れず損失を被る可能性があるため、慎重に行う必要がある。

ブランドコンセプトの策定

ターゲットに対して、どのようなブランドでどのような価値を提供するのかのコンセプト化を行っていく。

ブランドコンセプト化は、社内の企画職や外部のコピーライターなどと協働して行っていくことも多い。

マーケティング施策の立案と実行

マーケティング施策の立案では、以下のフレームワークを活用し、「誰に」「どのような価値を」「どのように届けるか」を定めていく。

  • 4P分析(Product・Price・Promotion・Place)
  • MECE(モレなくダブりなくの略語=Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)

定めたマーケティング戦略を基に、顧客のステージに合わせた以下のような施策を用いて、商品・サービスのプロモーションを行う。

  • 各種イベントの実施
  • デジタル・Web広告の配信
  • カタログの作成・配布 など

効果検証

行ったマーケティングプロセス施策に対して、どれだけ数字が取れているか、認知度が拡大したかなどを定量的・定性的に測定する。

測定結果を基に、どの点に問題があったかを明確にして改善することが効果検証と呼ばれる業務だ。

マーケティング職を志す方によくある誤解は、マーケティング=販売促進という考えである。

販売促進の意味は当然含まれているが、マーケティング職は広告を回したり、施策を実施したりするだけではない。

マーケティング職で重要なのは、顧客が価値を得られるように商品・サービスを開発し、届けることである。

まとめ

どのような職種に対してもいえることだが、実際の仕事内容への正しい理解ができていないと、感じられるやりがいも大きく違い、ミスマッチにつながってしまう可能性がある。

漠然とした捉え方ではなく、自分がやりがいに感じる瞬間やどのような仕事をしたいのかを自己分析によって明確にすることが大切だ。

そして、職種に関する概要・やりがいなどを深く理解した上で、なぜその仕事に就きたいのかを改めて考えることが今後のキャリアプランにおいて重要となるのだ。