未経験人材が転職を成功させるためのポイントとは。転職事例を参考に秘訣を探る

未経験人材が転職を成功させるためのポイントとは。転職事例を参考に秘訣を探る

寄稿エージェント:藤本 悠巴

近年、転職の広告やCMで「未経験からチャレンジ可能」「未経験者大歓迎」などのキャッチコピーを目にする機会が多い。

実際、エージェントとして活動していくなかで、求職者から以下の相談を受けることがよくある。

  • 20代後半に差し掛かるにあたり、このままの職業で本当によいのだろうか
  • 新卒で入社した企業・職種にギャップを感じていて、別の選択肢も検討したい

上記の悩みを解決するために、未経験からの転職を考える人が非常に多いのだ。

なお未経験転職に対し、一定数が「どのような業界でも転職可能だ」と考えているようだが、実態はそうではない。

本記事では、未経験転職の実態や注意事項について解説する。

未経験転職で企業が欲しい人材

そもそも、未経験転職をうたっている企業のベストターゲットは、一般的に「異業界・異職種」へ転職する場合、上限は25歳程度だ。

理由としては、入社後の育成のしやすさや今後の伸びしろを考えた際に、企業は吸収量の高い若手を求めるからである。

25歳以上の人材に企業が求めるのは、基本的に募集職種の経験者である。

例えば、営業職の募集なら営業経験、人事職の募集なら人事経験が求められる。

なお、人事職や企画職などは人気がある職種のため、未経験からのチャレンジは非常にハードルが高い。

転職者としては、何歳からでも新しいチャレンジができると希望を抱きがちだが、実態としては、年齢が若ければ若いほど有利なのは否めない。

仮に、未経験可の求人に経験以外の条件が同一の人材が応募してきた場合、経験者のほうが即戦力になる可能性が高く、採用されやすい。

そのため、未経験者は不採用となる可能性が高く、未経験可という言葉に安心しすぎてはならない。

ただし、20代後半は現職への不満や不安、将来性の観点から未経験業種・職種へのキャリアチェンジを検討する方も一定数存在する。

では、20代後半の人材は未経験領域に挑戦してはいけないのだろうかといえば、もちろんそのような決まりはない。

20代後半が、未経験からの転職を成功させるには、どのような対策が効果的になるのかを次項以降で解説する。

業界未経験転職で受かるためには

未経験の業界へ転職するには、以下の2点が重要だ。

  • 業務の親和性
  • 一貫性

業務の親和性

未経験の業界に転職するために、まず重要となるのが「業務の親和性」である。

例えば、「接客販売→営業」の場合は、店舗で数字を追っていた経験から営業の親和性を見出すとよい。

また、「メーカーの既存営業→IT営業」のような「異業種・同職種」の場合は、「営業職」で経験をした共通項から親和性を見出すのが効果的だ。

営業職の共通項から親和性を見出す考え方は、以下の通りである。

例:深耕営業の経験がある場合は、既存顧客に対してアプローチしていくスキルや実績をアピールする

未経験業種・業界であっても、現職の経験から「想定できる活躍シーン」をアピールすることで、企業側は入社後のイメージを想像できる。

企業側の納得感につながるアピールができれば、未経験者でも採用を得る可能性が高くなるのだ。

一貫性

親和性と同様に重要なのが、未経験ながらその業界・業種にチャレンジする動機・理由・覚悟の一貫性である。

未経験可の企業に応募し内定を得るには、経験者をおさえて採用されなければならない。

そのため、面接官が納得できるような応募・転職理由がなければ難しいだろう。

例えば「年収を上げたい」「WLB(Work Life Balance)を整えたい」のような理由では、「なぜうちの企業を受けているのか」が不明瞭である。

企業側の疑問に答えるためにも、「なぜ転職したいのか」「なぜこの業界や企業を受けているのか」を自己分析を通じて明確にすることが大切だ。

さらに、明確にした退職理由・転職理由に一貫性を持たせることが必要である。

そのためにも、退職に至った経緯・自身の希望などを原体験を基に分析し、企業側が納得できる面接となるよう準備を進めてみてほしい。

未経験転職を成功させた事例から転職成功の対策を探る

未経験転職が叶った内定事例を紹介する。

【事例】接客販売→無形商材のコンサルティング営業

接客販売職からコンサルティング営業職に、キャリアチェンジできた人材の基本情報・選考対策は以下の通りだ。

プロフィール2018年大学卒・男性
就業経験店長経験(店舗管理業務/接客販売/スタッフ育成)
転職理由①長期的にお客様に関わっていきたいから
 背景:店舗の場合、来店型のため価値を提供できる幅が狭く関係性が希薄である
②商材に依存しない営業力を身につけたい
 背景:販売職は商材ありきのため、自分だから売れたという実感や、介在価値を感じにくい
希望する将来像マネジメント力を高めて、新人教育を担っていきたい
選考対策・店舗で数字を追ってきた経験をアピールする
・店長として、スタッフをマネジメントしてきた経験をアピールする
・素直に未経験から泥臭く頑張っていけるか(成長意欲)を具体的に示す

上記の人材に対し、企業側が下した評価は以下の通りである。

・高い成長意欲が感じられ、営業としてやっていく覚悟もある
・数字への意識を持ち、店舗利益に貢献している
・良好なコミュニケーション力を持っていると感じた

販売接客経験で培ったコミュニケーション力と数字へのこだわり、そして一から営業を学びたいという覚悟や素直さが評価され、内定獲得へとつながった。

まとめ

未経験での転職は、難易度が高くなるのは必至といえるため、業務親和性・持っている志向性・なりたい将来像から逆算して考えるのが肝要である。

また、受ける業界を選定せず、多くの企業に応募し続けたとしても、成功する確率は低い。

しっかり自分のスキルを活かし、志向性にあった業界に絞って準備をしてから挑むことが重要である。

ただし、親和性・志向性・将来像は、自分ではなかなか客観視できない部分でもある。

だからこそ、ぜひ転職エージェントに相談してほしい。

転職エージェントに相談すれば、自分の強みや志向性を言語化でき、将来像に向けたキャリアプランを構築する手助けとなるはずだ。