寄稿エージェント:磯谷 悠
営業職は、日本の全労働者数の約10%を占めると言われている。
営業職の業務内容は、インターネットの普及やSaaSの台頭により、変化してきているのが現状だ。
営業職のキャリアパスとして、営業の経験を活かしながら、将来企画職にチャレンジしたい人は多い。
営業職に携わるなかで、企画職の創造性・アイデアを活かしつつ、上流工程から事業に関与できるポジションに憧れを抱くのは自然である。
また、企画職は総じて企業の中核を担い、今後の展望を左右する重要な部門であるため、大きなやりがいと責務を感じられる職種だ。
それゆえに、営業職の次なるキャリアパスとして企画職を選ぼうと考える営業職も多くなるのだ。
そこで本記事では、営業職が選択できるさまざまなキャリアパスを解説し、そのなかでも特に企画職について整理していく。
営業職でキャリアパスに悩む人は、ぜひ参考にしてほしい。
営業からのキャリアパスの種類
営業職からのキャリパスの種類として代表的なものは以下の4職種だ。
- 事業マネジメント
- スーパープレイヤー
- 特命担当
- 企画(営業企画、事業企画など)
事業マネジメント
事業マネジメントは、最も王道となるキャリアパスだ。
キャリアパスの流れとしては、まずチームをマネジメントする組織マネジメントを経験した後に、事業全体を統括する事業マネジメントに移っていくケースが多い。
課せられるミッションは経営目標や事業目標の達成であり、そのための方法を考え実行していくのが事業マネジメントの主な役割である。
スーパープレイヤー
スーパープレイヤーは、特に営業に優れた人材を指す。
自身がプレイヤーとして、自分または自分が所属している組織の売り上げを目標として成果を出していくのが責務である。
特命担当
特命担当は、代表取締役直下のプロジェクトを担当することが多く、都度ミッションが与えられるポジションだ。
業務内容としては、細かな業務から事業上重要なプロジェクトなど多岐にわたる。
また現状のインパクトは少ないが、将来的なインパクトが大きい事業のサポートも行うことがある。
企画
企画職は、事業の新規立案・改善・マーケティング・広報などを行う職種だ。
企画職には、実際に自社が抱える課題に対し解決策の立案や改善を行う部門や、宣伝・広報を専門とする部門など、さまざまな部門がある。
所属する部門で担当する領域は異なるが、基本的に立案・実行・検証・改善のPDCAを回しながら業務を進める点は共通している。
企画職の種類と役割
企画職の種類として代表的なものは以下の3つだ。
- 事業企画
- 営業企画
- 経営企画
事業企画
事業企画は、事業上のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標の略称)に対し、なにが重要かを考えプロジェクトを遂行していくポジションである。
主な業務内容は以下の通りだ。
- 経営戦略に応じた予算・目標の設定
- 具体的な施策の提案
- 施策実行のための計画・管理方法の検討 など
「事業」は企業の根幹となる事柄であるため、それに携わる事業企画は大きな責任とやりがいを伴うポジションである。
営業企画
営業企画は、営業職が効率よく営業活動を進めるための戦略・施策を検討しバックアップする職種である。
企業の成長に欠かせないKPIの改善がミッションになっていることが多い。
主な業務内容は以下の通りだ。
- 市場・自社の商材の分析
- 分析に基づいた戦略策定 など
上記の業務を通じて、営業職の生産性が上がる仕組みの作成・改善を求められる。
経営企画
経営企画は、経営陣の考える戦略を理解しサポートする役割だ。
経営企画そのものは、経営戦略を検討・立案しないのが特徴である。
あくまでも策定された経営戦略に沿って、経営層のビジョンや方針を実現するための経営計画の策定や管理を行う。
経営企画で活躍するには、管理・会計の知見が必要になるため、営業職からの異動は難しい。
キャリアパスとして選択したい場合は、まずコンサルティングファームで経験を積み、財務会計、管理会計の知見を身につける必要がある。
営業職から企画職へのキャリアパス
営業から企画職を目指していく際のキャリアパスとしては、以下の2つの選択肢が挙げられる。
- コンサルティングファームへの転職
- メガベンチャー企業への転職
コンサルティングファームへの転職
営業職経験者は、これまでの経験・スキルを活かせるコンサルティングファームへの転職を比較的検討しやすい。
コンサルティングファームに転職後、以下の経験を積むと事業会社の企画職に転職できる可能性が高まる。
- ビジネス戦略
- プロセス改善
- 財務分析 など
企画職に必要な上記の経験と、営業職の経験があれば、企画職へのキャリアパスが現実味を帯びてくる。
メガベンチャー企業への転職
メガベンチャー企業では、事業拡大に伴う人材不足が起きているケースが散見され、中途採用においてもチャンスは広がる。
ただ、メガベンチャー企業であっても、営業職経験者が最初から企画職に携わるのは難しい。
営業として結果を残しながら、徐々に事業企画の割合を増やしていくのが基本的な流れとなる。
なお、リクルートに代表されるような大手企業だと、事業部ごとに企画職が配置されていることも多い。
営業から企画職へ転職を成功させた実体験
私は、まず大手ハウスメーカーにて営業経験を積んだ後に、ITのメガベンチャー企業に転職した。
ITメガベンチャー企業で1年間営業職として成果を上げた後、新規事業企画のジョインに成功。
営業施策や付随サービスの検討から採用計画までの事業のグロースに携わりながら、営業としても売り上げを作っていった。
新規事業へ携わる形だったため事業に対しての手触り感を持ちながら、売り上げへの数字責任を持ち、臆せずチャレンジするスタンスが功を奏し、さまざまな経験を積めた。
私の経験上、転職の際の環境選びとして重要だと考えられる要素は以下の2点だ。
- 新規事業が生まれるフェーズの企業かどうか
- 社内の異動が活発かどうか など
上記の要素は、企画職に携わるためのプロセスとして重要度が高いため、企画を志す場合は重視したい。
キャリアパスを考える
最後に、キャリアパスを選ぶ際には、自分自身がなにに興味を持っているか・なにに向いているか・将来的になにをしたいかの言語化が重要である。
なぜなら、自分が興味を持っていない分野に進むと、やりがいを感じず、キャリアアップを阻害する要因になりかねないからである。
そのため、自分自身が成果に邁進できる環境や領域はどこなのかを考えた上で、キャリアパスを選択する必要があるだろう。