寄稿エージェント:中西 悠一郎
現職よりもよい条件の企業に転職できるかどうかは、転職を検討するほとんどの人が抱えている不安である。
そして基本的には、現職よりもよい条件の企業に内定を得た人が転職を実行する。
それにもかかわらず、実際には転職は失敗だったと嘆く人・早期離職をする人・数年後に後悔している人が少なくない。
転職後に早期退職や後悔をしてしまうのは、自分にとってよい条件を本当の意味で正しく知らないまま、転職活動を進めているからにほかならない。
そこで本記事では、コーチングの手法であるバランスホイールを活用して、10年後の自身の在り方から転職を成功させる方法を紹介する。
転職を失敗しないためにも役立ててほしい。
10年後の未来から逆算する転職を失敗させない具体的なステップ
転職の成功には、具体的なステップを踏んでいくのが大切だ。
ここでは、そのステップを解説する。
Step⓪:転職で失敗する人の特徴を理解する
- 現職よりもよい条件の企業を選ぶ際、以下のような条件を重視して求人を絞り込む人が多い。
- 有名企業
- 高い年収
- 土日祝休み
- 年間休日120日以上
- 専門性が身につく
- 風通しのよい社風 など
転職する上で、上記の条件は重要な指標になるのは間違いないが、これだけで決めるのは正しい選択とはいえない。
なぜなら、上記の条件は短期的な希望を叶えるための要素が強く、将来的に叶えたい姿を満たす要件ではない可能性があるからである。
また、雇用条件を重視しすぎると、職種・業務内容を軽視し、将来像につながらない職種に就く可能性もあり得る。
転職の失敗例として、以下のようなケースがある。
- 年収UPを目的に転職し、年収は上がったものの「仕事は前職のほうが楽しかった」「2年目以降はほとんど年収が上がらない」
- 土日祝休みを目的に転職したところ、適職でなかったために社内で活躍できず、市場価値も下がってしまった
- 専門性を身につけるために、なんとなくのイメージで「エンジニア」「マーケティング」などに転職し、実際の業務内容との乖離が大きく短期離職した など
上記のような転職における失敗を無くすためには「中長期的な将来像を描き、そこから逆算して雇用条件を正しく見極める」のが肝要である。
中長期的な将来像を描くには「バランスホイール」を活用するのが効果的だ。
Step①:バランスホイールを活用して将来像を描く
バランスホイールとは、将来像を8つの項目(仕事・趣味・ファイナンス・健康・家族・学習・社会貢献・人間関係)にわけて考えるフレームワークのことである。
転職活動をする際は、まず自分自身が人生を通して、どうありたいかを考えるのが正しい将来像の描き方だ。
「年収1億円」「年間200日休み」「世界遺産を制覇する」「有名人と友達になる」など自由に描いてみて、自分自身が心の底から望む将来を探してみるとよい。
下記にバランスホイールの項目をすべて記入した例を紹介する。
■バランスホイールのフォーマット例
仕事 | 35歳までにベンチャー企業で新規事業の責任者になる |
趣味 | 年5回、家族で海外旅行にいく |
ファイナンス | 自分が楽しいと思える仕事で35歳までに年収1,000万円、45歳時点で5,000万円の資産形成をしている |
健康 | 毎日健康的な食事をとっており、週2回ジムで1時間トレーニングの時間を確保している |
家族 | 常に笑顔が絶えない家庭で、子供は経済的に不自由なく望む学業やスポーツに励んでいる。可能であれば都内の私立中学校に入学 |
学習 | 興味がある分野の本を年間100冊以上読んでいる |
社会貢献 | 慈善団体に毎年50万円の寄付をする |
人間関係 | 毎年数回、親友とイベントを企画し、そのうち1回は家族抜きで遊ぶ |
作成時の注意点は、現状の延長線上にある叶えられそうな将来像ではなく、少し現実的でないと感じるような将来像を記載する点にある。
難しい将来像を設定する理由には、人間の脳は現状維持を求める傾向があり、居心地のよい環境から脱却するのが難しいことがある。
それゆえに、叶えられそうな将来像を設定するとかえって変化を起こせず、無意識に将来像から遠ざかった行動をとってしまう。
将来像はスケールの大きいものを設定し、次のステップでそこから逆算したよい条件を探すのが効果的だ。
ぜひ、30分ほど時間をとり、バランスホイールの各項目を埋めてみてほしい。
Step②:将来像から逆算し、自分にとってよい条件を探す
なんとしても達成したい将来像を描いた段階で、実は目標の成功確率は50%まで到達している。
次は目標までの「手段」を考えるべきだ。
すべての項目を取り扱うのは難しいため、本記事では「仕事」に絞って解説する。
例として以下のような人物像・バランスホイールを設定する。
現在:25歳で銀行のリテール営業 将来像:35歳で新規事業の責任者 |
将来像の実現には、以下の業界への転職を検討するのが望ましい。
- 人材紹介業界
- IT業界(主にSaaS)
- 医療業界
- 介護業界
また、企業のフェーズでいえば、毎年120〜150%成長しているスタートアップ・ベンチャー企業、新規事業に積極的に投資をしているメガベンチャー・大手企業などに転職するのが効果的だ。
職種に関しては、業界と企業フェーズを加味すると、まずは営業職として転職していくのがよい。
その後は、社内で営業として成果を出した後、積極的にリーダーポジションに挑戦し、そこでも成果を出して新規事業の立ち上げもしくは既存事業のマネージャーを経験する。
マネージャーでも成果を出せれば、人事面談でも積極的に意思を伝えて、新規事業の責任者を任せてもらえるようなキャリアパスで進めていくと実現の可能性が高まる。
あくまでここで取り上げたのは一例ではあるが、将来像を描いた後は、それに近づくために社内でのキャリアアップや複数回の転職を重ねることを検討するのが望ましい。
また、どういう条件が自分にとってよいかを洗い出し、そこを満たす企業を現職も含めてピックアップするのも大切である。
まとめ
転職を検討する際は、足元の希望だけを重視せず、将来像を描いた上でそれを逆算した条件を検討するのが成功の秘訣と解説した。
ただ、現職から脱したい気持ちが強いなかで、将来像から逆算した条件を考えるのが難しい人もいるかもしれない。
また、そもそも将来像が自分だけでは描けない・相談したい・将来像を描いたがどういう手段をとればいいかわからない人もいるだろう。
転職について悩みがある人は、ぜひ一度ASSIGN AGENTの無料キャリア面談を受けていただきたい。