寄稿エージェント:芦川 知史
今回は多くのビジネスパーソンがキャリアアップとして目指すマネージャー職について解説をしたい。マネージャーの仕事は管理者として誤解されがちであるが、これからの時代に求められるマネジメントとは何かという点に焦点を当てて紹介をしたい。
マネージャーの役割
マネージャーと聞いてどんな役割を想像するだろうか。イメージは様々だが、今回は前提として、定義を”組織に課せられた目標達成に責任を追う役割”としたい。
一般的にマネージャーにおいて求められる役割は以下の通り。
①目標設定
⎿ビジョンに即した組織の目標を定め、達成に向けて戦略を立案すること
②リソース配分
⎿目標達成に向けて、経営資源を最大限のリターンが得られるよう配分すること
③指揮
⎿メンバーが目標達成をできるよう、人材開発やモチベーション向上に取り組むこと
④プロジェクト管理
⎿発生した問題の解決やスケジュール管理、リスク管理に対応すること
これらの役割を全うするにあたり、求められる能力は多岐に及ぶ。プレーヤーとして高い実績を出す人材がマネージャーとしても高い実績を出すとは限らないのはそのためだ。
また、基本的にリーダーやマネージャーには、個人の力だけでは達成が困難な目標が課せられる。そのため、優秀なリーダーはメンバーの個性や可能性を最大限に引き出す能力に長けているケースが多い。特に激しい時代の変化に対応することが求められる現代においては、過去の成功事例をなぞるだけでは安定して高い成果を残すことは難しい。
そのため、メンバーの個性を最大限に引き出し、凝り固まったマネジメントではなく、変化に柔軟に対応できるチーム作りができるマネージャーが求められているのである。
ヒトの重要性
先述したマネージャーの役割の中でも特に”リソース配分”と”指揮”が影響する。ヒト・モノ・カネ・情報と分類される経営資源の中でも、ヒトは最も重要な資源とされる。モノ・カネ・情報はヒトが活用することではじめて資源となるためである。さらに唯一育成できる経営資源であることから、大きなポテンシャルを秘めているが、活用次第で成果が大きく変わる扱いが難しい資源ともいえる。
個性を引き出す手法
メンバーの個性を引き出す方法は様々だが、最も重要であることは”自走する人材”を育てることにある。今回はその手法としてコーチングと心理的安全性の2点を紹介する。
コーチング
相手の話に耳を傾け、必要最低限のアドバイスをすることで、メンバー自ら答えに辿り着くよう伴走すること。答えを教えるコミュニケーションとして対照的に語られるティーチングと異なり、メンバーの自主性を育てることができることが最大の特徴。
心理的安全性
メンバーが考えや心情を安心して表現できる状態を指し、メンバー自身が発言や行動によって拒絶や罰を受けない確信がある風土が整っている環境と定義される。自然体で仕事をすることでミーティングが活性化し画期的なアイデアが生まれたり、個々のパフォーマンスが上がるとされている。
これら2点を両立することで、メンバーは自主的に恐れることなく情報やアイデアの共有ができるようになる、マネージャーとは違った角度から発信される意見が画期的な解決策に繋がる、といった様々なメリットを得られ、メンバーの個性を引き出せている状態をつくることができる。
現在マネージャーを担っている方、今後マネージャーを目指している方には是非参考にしていただきたい。