価値観からキャリアを描く重要性とメリットについて

価値観からキャリアを描く重要性とメリットについて

寄稿エージェント:諸橋 樹

現代は、「終身雇用の崩壊」「定年の早期化」などの社会的背景により、働く上で自身のキャリアについて考える機会が多い時代だ。

理想とする姿や達成したい目標が明確ではないまま働き続けると、思うようなキャリアを構築できないまま取り残されてしまう恐れがある。

しかし、だからといって闇雲に自身のキャリアを検討することは意味をなさない。

そこで、自身のキャリアを検討する際に大切なのが「価値観」である。

本記事では、価値観からキャリアを描く重要性とメリットについて解説したい。

キャリアの構築に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。

キャリアを描くことが重要視される背景

近年、若手からミドル層に至るまで、転職が一般的になってきている。

将来的な転職を見越して、1社目を吟味した上で入社する新卒社員も珍しくなく、転職はもはや一過性のトレンドではない。

転職市場の活性化は、「終身雇用の崩壊」「定年の早期化」などにより、現代社会で一つの企業に勤めることが限界を迎えた証ともいえる。

それゆえに、私たちは自らキャリアを考えて選択し進んでいく必要がある。

一昔前であれば、キャリアは会社が示してくれるものであった。

目の前の仕事に取り組んでいれば、社内で昇進する機会にも恵まれ、あらためて自身のキャリアに向き合う必要性はなかった。

また、企業が社員のキャリア形成を支援できたのは、現代よりも社会のスピードが緩やかで、事業の将来性を見通せたのが要因でもある。

しかし、目まぐるしく社会が変化する現代では、企業にも素早い変化が求められ、キャリアも多様化している。

それゆえに、企業は社員にキャリアの最適解を示すことが難しくなってしまったのだ。

現代でキャリア戦略を検討するには、個々人が自身の将来像や適性などを勘案して、キャリアを選択する必要があるだろう。

ただし、終身雇用の崩壊は決して悪いことだけではない。

キャリアが多様化し複雑化したことで、キャリアの正解がなくなり、自分の生き方を選択肢しやすい社会に変容したともいえる。

キャリア戦略を考える上で重要な「価値観」の定義

キャリアは自身の価値観から考えることが重要である。キャリア戦略上の「価値観」とは以下の通りだ。

・仕事に対してやりがいを感じる基準
・本質的な自身の強み など

価値観を検討するには、まず自分が「好きなこと」「得意なこと」は何かを明確にするのが肝要だ。

これらの「好きなこと」「得意なこと」は、仕事から離れた事柄から見つけることもできる。

そして、見つかった「好きなこと」「得意なこと」がなぜそうなのかを考えることで、自身の価値観が把握できるのだ。

以下に一例を挙げる。

好きなこと・得意なこと形成されている価値観
他人と話す他人の悩みを聞いたり、解決のために一緒に考えたりすることに生きがいを感じる
歌う、演奏する・自己表現ができる環境で活躍したい
・他人を感動させたい

ほとんどの場合、自分の好きなこと・得意なことを深堀りしていけば、自分が最も大切にしている感情や考え方が見つかるはずだ。

見つけた感情や考え方をまとめることで、それが自身の価値観となる。

ただ、多くの人が自身の価値観を理解していても、キャリアの指針に反映できていない。

価値観を正しく捉える際に、最大のハードルとなるのが世間の目やブランドである。

世間の目やブランドに当てはまる事柄としては以下の通りだ。

年収
知名度
就職偏差値
権威性 など

上記の「就職偏差値」は、各企業の入社難易度や人気度を偏差値として表したもので、ほとんど全ての若手がその存在を認知している。

ネットの掲示板で「勝ち組」や「負け組」などのワードが飛び交うのも、就職偏差値が関係している。

自分がやりたいことは何かを考える上で、自身の価値観ではなく、就職偏差値にとらわれてしまい「他人の価値観で意思決定をする人」が増えている。

キャリアは、年齢を重ねるごとに選べる選択肢の幅が狭くなっていき、不可逆的なリスクを伴う。

そのため、キャリア戦略を検討する上では、20代のうちから自分のなかに形成されている価値観を認識して、キャリアを描いていくことが肝要だ。

価値観からキャリアを描くメリット

自身の価値観からキャリアを描くことは、メリットも大きい。

価値観は人それぞれであるが、自身の価値観に合った仕事で働くことで、得られるメリットとそれが生み出す好循環は共通している。

好循環とメリットは以下の通りだ。

価値観からキャリアを構築する好循環メリット
①自身の価値観と合った仕事には自ずと熱中できる自然と仕事に対して深く集中し取り組むことで、自分や周りが驚くような成果を出せる
②成果や成長が認められれば、会社からより大きな仕事を任せられたり、裁量権が与えられたりする仕事が意義深く、楽しいものになる
①→②を繰り返すことで、仕事やキャリアに対する視野が広がり、視座も高まる自分が見ている景色が変わり、新たなステージを目指すことも可能となる

上記の循環とメリットを得られる流れを構築できれば、より自身の理想とするキャリアにもつながっていくだろう。

自身の価値観を明確にした上で、価値観に合う仕事に就けば、キャリアのみならず人生も豊かにできるはずだ。