IT人材が市場から求められる理由とは。目指せるキャリアパスも解説

IT人材が市場から求められる理由とは。目指せるキャリアパスも解説

寄稿エージェント:吉見 良太

IT人材不足が叫ばれて久しい。

経済産業省がみずほ情報総研株式会社に委託した「IT人材需給に関する調査 調査報告書」※1によれば、IT人材は2030年に最大で79万人不足する可能性があると試算されている。

また、厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」によると、2022年11月の有効求人倍率は1.35倍に対し、IT人材の有効求人倍率は15倍以上と推定されている。

少子高齢化といった働き手の不足や、終身雇用の崩壊といった時代背景によりIT転職市場全体の温度感は高まっている。

このIT人材不足の傾向をわかりやすく表現すると、現在はIT人材1人につき、10社以上の企業から内定が出る状況だ。

転職市場からIT人材が求められていることは明らかである。

ただ、転職者目線だと「どのような選択肢があるのか」「その先にどのようなキャリアパスを目指せるのか」などの不明点も多い。

本記事では、IT人材が求められる背景と、IT人材が目指せるキャリパスを解説したい。

IT人材が求められている理由

IT人材の必要性を国内企業が明確に意識するようになったのは、経済産業省から「2025年の崖」問題が提唱された2018年以降であると考えられる。

「2025年の崖」とは、2025年以降にレガシーシステムが残存する影響で発生する経済損失のことだが、年間で最大12兆円(現在の約3倍)にまで増加する可能性があるのだ。

「2025年の崖」問題は、事業の維持・存続に影響が出る可能性を指摘している。

しかし、IT技術の普及スピードに、企業内での人材育成が追いついていないのが現状だ。

それゆえに、IT人材のなかでもITシステムの刷新や、開発の推進をリードできるDX人材の需要が特に高まっている。

ただ、転職者がとりうるキャリアの選択肢は、一概に断言できるものではない。

転職者が将来的に目指したい方向性からキャリアパスを描いていき、それをもとにとるべきスキル・経験を定義していく必要がある。

IT人材のキャリアパス

IT人材が選択できるキャリアパスは多彩である。ここでは、そのキャリアパスについて解説する。

DX企画・推進

DX企画・推進は、事業会社において、経営計画から結びついた全社的なDX戦略に基づき、社内のDX企画・推進を図っていく中核ポジションだ。

現場のシステム開発、管理運用の知見だけでなく、事業ごとの業務内容を深く理解しなければならない。

求められるスキルは以下の通りだ。

・ビジネス全般への知見
・コミュニケーション力
・プロジェクト推進力

DX企画・推進で経験を積んだ人材は、DX戦略を策定する経営企画側に移るキャリアパスも検討できるだろう。

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)

PMOは、PM(プロジェクトマネージャー)をバックアップし、プロジェクトを推進するために横断的に支援する役割を担う。

PMOの主な役割は以下の通りだ。

・プロジェクトの目的、成果の合意形成・計画策定
・プロジェクト進捗の見える化
・意思決定支援
・PMやプロジェクト全体の負担軽減 など

企業文化・プロジェクト規模などに応じて、役割ごとに担当者が配置される場合や、複数の役割を一人の担当者が兼務することもある。

PMOが目指せるキャリアパスとしては、PMの経験を積んでいく選択肢や、さまざまな事業会社のPMO支援としてコンサルタントに転身する選択肢もある。

PdM(プロダクトマネージャー)

PdMは経営方針や企業戦略、ビジネスサイドの販売計画に基づき、顧客要求の分析や要求分析/定義を行い、「プロダクト」を成功に導く責任者である。

プロダクトの企画・立案では、開発やデザインと連携したロードマップ作成を担い、プロダクト戦略策定では、マーケティングや組織作りなどが主な業務となる。

プロダクトを成功に導くために、各部門を横断して連携する必要があり、全方位的なコミュニケーション力、プロジェクト推進力が求められる。

あらゆる産業がデジタル化へ移行するに伴い、PdMは多くの企業で欠かせない存在になりつつある。

PdMが描けるキャリアパスの一例は以下の通りだ。

・事業会社の最高プロダクト責任者「CPO」
・プロジェクト推進能力を活かした事業会社の企画ポジション
・さまざまな事業会社のプロダクト戦略を支援するコンサルタント など

プロダクト部門の責任者としての重圧が大きい面もあるが、そこで得られた経験・スキルを活かしてさまざまなキャリアパスを選択できる魅力もある。

コンサルタント

IT人材が目指せるコンサルタントの種類は以下の通りだ。

・経営計画に基づいた社内DX戦略の策定を行う戦略コンサルタント
・全社戦略に基づいたオペレーション改善、組織再編といった業務改革を行う業務コンサルタント
・システム化構想、PMOを担いデリバリーのスケジュール管理などを行うITコンサルタント など

直近では、総合系コンサルティングファームで上記を一気通貫でデリバリーまで担っているケースが多い。

IT人材は、IT業界で得た経験・知見をもとに、コンサルタントとしてさまざまなロールを担える観点からキャリア開発がしやすいのが特徴である。

コンサルタントのキャリアパスとしては、事業会社の経営企画でDX戦略を担う方向性や、コネクションを活かして独立を目指す選択肢もある。

IT人材としてキャリアを考える重要性

本記事では、IT人材の市場価値が高まっている背景・とりうる選択肢・キャリアパスの一例を紹介した。

転職者の価値観や目指したい方向性によってとるべきスキル・経験も変わってくる。

本記事を参考に自分自身の人生でやりたいことに向き合い、主体的にキャリアを描いていただければ幸いである。

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