終身雇用の崩壊とキャリアの関係性とは。転職エージェントを活用する重要性も解説

終身雇用の崩壊とキャリアの関係性とは。転職エージェントを活用する重要性も解説

寄稿エージェント:吉見 良太

「現職を続けていくこと」に明確な理由がなくとも、漠然とした不安を感じる人が増えている。

この不安を感じる人の増加が、転職市場が活性化する一因にもなっているのが現代の特徴だ。

本記事では、まず現職を続けていくことに不安を感じている方々に向け、なぜ今キャリアを客観的に考え、向き合う必要があるのかを解説する。

そして、転職活動を前向きに視野にいれるメリットについて、時代背景やキャリアの特性から説明する。

キャリアに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。

キャリアの概念を大きく変えた「終身雇用の崩壊」について

終身雇用の崩壊と叫ばれて久しいが、多くの人が意識するようになったのは2019年以降だろう。

2019年4月に経団連の元会長である中西宏明氏から「日本経済再生のための成長戦略」のなかで、「終身雇用の維持は困難」との話が発表された。

その翌月には、トヨタ自動車の元社長である豊田章男氏(現:代表取締役会長)からも同様の発表がなされたのだ。

発表の背景には、少子高齢化やグローバル化による経済環境の変化が挙げられる。

前述の理由から企業は競争力を高めるために、人材を流動化させ、柔軟な組織体制の構築を急いでいる。

経団連だけでなく、日本を代表する企業が終身雇用の限界を説くことで、多くの会社員も雇用に対する見方が変わってきた。

国内では富士通やNTTグループなどで「ジョブ型雇用」がスタートしており、個人のスキルセットを軸に評価やポジションが提示されている。

つまり、これまでは一社で勤め上げることが当然の時代であったが、これからは社会から求められるスキルや経験を主体的に身につけられるか否かで、その後のキャリアも変わっていく。

年齢別のキャリアの特性

キャリアは、20代から年齢を重ねるごとに選べる選択肢の幅は狭くなるが、保有するスキルや経験、知見はより深くなっていく構図である。

特に30代以降では保有するスキルや経験の親和性が見られ、30代後半では企業に対する明確な貢献プランがないと転職は難しくなる。

そのため、20代から足元の興味関心だけでなく、中長期的なキャリアを見据えてスキルや経験を主体的に獲得していく必要性が出てきている。

ただ、終身雇用が崩れた現代では、どのように自分がキャリアを築いていくべきなのか迷っている人もいるかもしれない。

そこで次項では、現職に悩まれる人が転職活動を通じて情報収集を行うメリットについて解説する。

転職活動を通じて情報収集を行うメリット

転職活動は、現代社会では前向きに捉えられる活動である。

転職をするかしないかはおいておいて、転職活動には自分の市場価値を客観的に見つめ直す側面と、価値観や将来像、なりたい姿を考えるうえでの情報収集としての側面もある。

転職活動を通じて情報収集を行うメリットやキャリアのヒントは以下の通りだ。

・自分が今行っている業務内容・経験に対する転職市場からの評価が得られる
・自分のスキル・経験から目指せるキャリアの展望や選択肢がイメージできる
・上記を基に現職が最適か、もしくは転職が理にかなっているか判断できるなど

上記のような情報を基に、現職を続けるか転職を試みるかを検討するのが最も望ましい方法だ。

転職で重要になるのは、自分がどういったキャリアを築いていくのかを想定したうえで意思決定することである。

それを考えるきっかけになる転職活動は、キャリアにおける「健康診断」のようなものといえる。

現職を続けることも、転職で新しい仕事に挑戦することも大きな意思決定だ。

それゆえに「なんとなく」で決めることは一番避けるべきである。

転職エージェントを活用する重要性

現代では、情報があふれいることに加え、技術の発展による各業界・業種の変化も著しい。

そのため、自分にとって必要十分な情報を整理することが難しいと感じる人は多いだろう。

自分のキャリアを棚卸したり、将来を見つめ直したりするうえで、キャリアのプロである転職エージェントを活用するのは有効なオプションになる。

転職エージェントから情報収集を行う際には、以下の2点を意識すると、よりよいキャリアを描くチャンスにつながる。

意識すべきポイント意識すべき理由
中長期的な目線を踏まえたうえで、足元で取るべきスキル/経験を言語化してもらうキャリアにおいて、足元のスキルや経験からどのような選択肢が広がっていくのかを認識しておくことが重要だから
自分自身のステータスや、興味関心だけでなく、パーソナリティ(価値観)にも触れてアドバイスをもらうモチベーションを感じる環境を理解して
いるかどうかは、継続的に結果を出すうえで重要だから

信頼できる転職エージェントと転職活動を進められれば、自分にあったキャリアが見つかり、キャリアの実現に向けて努力していくことが可能となる。

まとめ

終身雇用が崩壊した現代では、自律的なキャリア形成が求められている。

現職に残ることも、転職で新たなキャリアを築いていくことも、キャリア戦略においては大きな意思決定の一つだ。

だからこそ、明確な将来像から逆算したキャリア戦略を持つことが肝要である。

ただ、情報源やキャリアそのものが複雑化している現代では、明確なキャリア戦略を持つことは容易ではない。

人生とキャリアを見つめ直すうえでも、周りの人に相談してみたり、キャリアに詳しい転職エージェントを活用したりして、キャリア戦略を描いて欲しい。

一人ひとりが自分の価値観を大切にしながら活躍できる社会を願いたい。