20代でワークライフバランスを重視するのは正解か。若いうちに働くべきとされる理由を解説

20代でワークライフバランスを重視するのは正解か。若いうちに働くべきとされる理由を解説

寄稿エージェント:小林 真莉奈

働き方改革の推進や社会情勢の変化によって、若者のなかで「仕事ではワークライフバランスを最も重視したい」との声が増えている。

若者のなかでは「ハードワーク派」と「ワークライフバランス派」に意見が分かれているようだ。

しかし、仕事においてワークライフバランスを重視するのは、長期的なキャリア形成においてリスクが伴うことを知ってほしい。

本記事では、20代でワークライフバランスを重視するのは正解かについて考え、若いうちに働くべき理由も解説する。

ワークライフバランス派は将来的にも有効か

企業選びにおいて学生が重視する項目は、「年間休日・残業時間・勤続年数の長さ」などの条件面が多い。

また、20代の転職理由でも「残業時間の長さ」「休日の少なさ」が上位を占めている。

こういった現状からも、若者の多くがワークライフバランス派であることは明確だ。

しかし、本当に福利厚生の条件面だけを重視して、企業選びを行ってよいのだろうか。

当然ながら、心身を壊すほど働くべきではないし、残業や休日出勤がよいわけでもない。

ただ、若いうちからワークライフバランスだけを重視すると、将来的なキャリアに大きなリスクが伴う可能性があることは理解しておくべきだろう。

実際のところ、ワークライフバランスに大きな差がある期間は「20代から30代前半まで」の短い期間だけである。

30代以降の年齢になれば、個人によって残業時間の長さ・休日の多さに大きな差は生まれない。

「20代から30代前半で仕事に打ち込み、自身の経験とスキルを向上させたかどうか」で、将来的なキャリア・働き方に決定的な差が生まれるのだ。

若いうちに働くべき理由

若いうちに働くべき理由として、主に2点が挙げられる。

一つ目は、年齢を重ねるとどうしても体力が落ちてしまう点だ。

当たり前のことだが、20代は体力があり、多少の無理ができる貴重な期間である。

しかし、年齢を重ねると体力はもちろん記憶力なども減退していくため、効率的にキャリアを積み上げることが難しくなっていく。

30代以降も気合と根性で仕事量をこなす働き方をしないためには、20代である程度の仕事量をこなし、キャリア形成しておくべきである。

二つ目は、歳を重ねると仕事以外に優先すべき事柄が増える点だ。

多くの人は、ライフイベントによって、ワークライフバランスを重視しなければいけないタイミングが増えていく。

キャリア形成に影響を与えるライフイベントには、以下のようなものがある。

・結婚
・出産・育児
・親の介護
・転勤
・転職 など

一般的に上記のようなライフイベントは、20代のうちはまだ少ないため、仕事に多くの時間を割くことができる。

時間の取れる20代のうちに数々の経験を積み、企業において重宝される存在となっておくのが望ましい。

市場価値を高めるために

企業において重宝されるには、自身の市場価値を高めることが肝要だ。

ここでは、市場価値が重要な理由や高める方法について解説する。

市場価値とは

市場価値は「社会全体からみて、自分にどれくらい価値があるのか」を意味する。

市場価値が高い人材は、自社だけでなく他企業からも重宝されるため、一つの企業に依存する必要がない。

また、多様なキャリアパス・キャリアチェンジを実現できたり、独立・開業などの選択肢が広がったりするのも市場価値を高めるメリットだ。

反対に、専門性が低く保持しているスキルや経験に汎用性がないと、市場価値が低い人材と見なされる。

市場価値が低い人材は、多様なキャリアパス・キャリアチェンジの実現や独立・開業などは難しいだろう。

市場価値が重要な理由

市場価値が重視される理由としては、大きく二つが挙げられる。

一つ目は、現代がVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)と呼ばれる、先行き不透明な時代である点だ。

VUCAの時代では、「絶対に安心」といえるような業種や企業は存在しない。

ビジネスの第一線で戦い続けるためには、自分自身の市場価値を検討し、高めていくことが求められる。

二つ目は、成果主義の企業が増えている点だ。

コロナ禍でテレワークが主流になったことで、日々の業務への取り組み方を評価できなくなり、評価方法が成果主義に移行している傾向がある。

そのため、成果を出せる市場価値の高い人材が、社内外で高く評価されるようになっているのだ。

市場価値を高めるために必要なこと

市場価値の高い人材になるには、「再現性のある経験や能力があるかどうか」が大切だ。

20代は社会人経験が少ないため、まずは積極的に行動し、スキルを磨く必要がある。

積極的な行動が実り、スキル・経験を得て実績を出すことで、社内で重要な役割に抜擢されたり、他社からヘッドハンティングされたりするようになるだろう。

つまり、20代でいかに能力を磨いたかによって、30代以降の市場価値が大きく変わるのだ。

若いうちは足元のワークライフバランスを満たすよりも、働いてスキル・経験を積みキャリア形成に努めることが重要だといえる。