寄稿エージェント:山崎 達也
消費財・日用品業界は、根強い人気を誇る業界だ。
その背景としては、以下のような理由がある。
・ 身近な製品が多く馴染みが深い
・ グローバルに展開しているため、海外経験も積めそう
・ マーケティングに強い
本記事では、就活生・転職者から人気の消費財・日用品業界について、業界概要や業界課題、身につくスキルやキャリアパスを解説する。
消費財・日用品業界の特徴
消費財業界とは、食料や薬など生活のなかで消費するものを開発・生産・販売する業界である。
「日用品」は、洗剤やティッシュ、トイレットペーパーやシャンプーをはじめとする食料品・医療を含まない生活に用いられる品物を指す。
消費財・日用品業界を理解する上で重要なポイントは、以下の3点だ。
競争が激しい
多くの企業と同じ市場で競い合うため、価格設定やブランディング、マーケティング戦略が競合優位性となる。
消費者嗜好の重視
消費者のニーズや嗜好をしっかり理解して製品サービスを提供する必要がある。
市場分析や口コミ、SNSを含めた消費者のFB収集を通じて、主要トレンドやマーケット動向に対応していくことが求められる。
グローバル市場との折衝
多くの消費財企業は、グローバル市場で事業を展開している。
そのため、グローバル市場での事業展開に際し、東南アジアや米国、欧州も含めた地域の文化や経済的なフェーズに対応していく必要がある。
このように消費財・日用品業界は、多数の競争が存在するなかで、消費者やグローバル市場への対応を求められる業界だといえる。
消費財・日用品業界が抱える課題
消費財・日用品業界は、主に3つの課題を抱えている。
環境問題への配慮
SDGsを含めた持続可能性への関心が非常に高まっていて、環境に配慮した製品やプロセスの開発が求められている。
デジタル化(DX化)
非常にレガシーな業界のため、ECチャネルやSNSなどに対するデジタルプロモーションへの対応は業界全体を通して求められている。
人口構成の変化
少子高齢化や家族構成の変化によって、顧客のニーズが細分化して複雑になっている。
そのため、適切な広告戦略を検討し、顧客のニーズに的確に応えていくことが業界全体として求められている。
このように消費財・日用品業界は、SDGsやDX化など近年注目を集めるトレンドへの対応と、日本特有の人口構成変化によるニーズの把握が必要である。
消費財・日用品業界で身につくスキル
消費財・日用品業界に転職することで、さまざまなスキルや知識が身につく。
そのなかでも代表的なスキルは、以下の4点だ。
対人リレーションスキル
既存顧客に長期的に相対することが多いので、対人スキルや人間関係構築能力が習得できる。
プレゼンテーションスキル
特に営業職では、製品やサービスを効果的にプレゼンテーションする能力が習得できる。
価格交渉力
消費財・日用品業界では、価格交渉や売価の調整といった顧客との契約条件の改定が頻繁に行われる。
自社の利益を担保しつつ、顧客にメリットがあるようなWin-Winの交渉を実現する能力が習得できる。
マーケット分析
市場のトレンドや競合も考慮し、消費財の価格・プロモーションの内容・顧客ニーズなどを分析する能力が習得できる。
このように消費財・日用品業界では、取引先企業・マーケット・社会情勢などを予測しながら、自社の利益拡大のために邁進することで、上記のようなスキルが身についていく。
どのようなポジションに就くかで身につくスキルは異なるが、経験年数が増えていけば広範なスキルを身につける機会に恵まれるだろう。
消費財・日用品業界のキャリアパス
消費財・日用品業界で勤務していく上で叶えられるキャリアパスには、社内と社外で内容が一部異なる。
ここでは、社内と社外に分けてキャリパスの候補を解説する。
社内のキャリアパス
社内で叶えられるキャリアパスは、以下の通りだ。
営業マネージャー
営業として成績を出した後、マネジメントの立場で部下の育成や営業戦略の策定に関与することで目指せる
マーケティング担当
・ 営業経験を活かして、マーケティング部に異動するケースはよく見られる
・ 製品開発やブランディング、市場分析や広告プロモーションが主な業務である
海外事業担当
・ 海外に展開しているメーカーも多いため、海外でのビジネス戦略やマーケティング活動に携わるチャンスがある
・ 海外支社・現地法人の設立にかかわることもある
特に営業職の場合、そのまま営業マネージャーとしてマネジメントに従事したり、経験を活かしてマーケティングや海外事業の担当に異動できたりする。
社内でも、これまでの経験を活かした新たな職種へと挑戦できるキャリアがあるのが、消費財・日用品業界の魅力の一つだ。
社外のキャリアパス
社外で叶えられるキャリアパスとしては、以下のようなものが挙げられる。
同業他社に転職
業務プロセスやフローは似通っているので、親和性を活かして転職可能
マーケティング会社に転職
営業経験を基にして広告、プロモーション、SNSマーケティングといった企業や領域に転職可能
小売業にキャリアチェンジ
営業経験を活かして店舗管理やバイヤーとして転職可能
このように消費財・日用品業界は、専門知識や経験を活かして、多彩なキャリアパスを選択できるのが魅力だ。
それゆえに、キャリアの進め方に悩む人もいるかもしれない。
キャリア形成に不安や悩みがある人は、まず自身の強みやスキルが最も活かせるキャリアを検討してみてほしい。