寄稿エージェント:阿部 人史
デジタル化の波が広がる昨今、Web業界は飛躍的な発展を遂げている。その中で、「Webディレクター」という職種に興味を持たれる方も多いのではないか。 ここでは「Webディレクター」の具体的な役割とその後のキャリアパスを解説していく。
そもそも「ディレクター」とはなにか?
少し前提の話をさせていただく。語源は、「方向、指揮、指導」を意味する英語の「direction」である。 エンジニア、デザイナー、顧客、取引先、決裁者など、プロジェクト全体に複数の利害関係者が絡む場面で調整役として置かれるポジションを指す。
各業界により定義がことなるため、一般的なものを補足をしておく。
映画、テレビ業界・・・プロジェクト全体を監督し、全体的なビジョンを持ち、具体的な実行計画を立てる役割を果たす人物を指す。
コンサルファーム・・・クライアントのビジネス課題解決に向けた戦略策定やプロジェクトリーダーシップを担う役割。
Web業界・・・一般的には、Webサイトの企画から制作、運用まで一貫して手掛け、その成功を担当するポジションとされている。
具体的な業務内容
Webディレクターの業務は、大きく分けて「企画」「制作」「運用」の3つのフェーズに分けられる。
- 企画フェーズ
Webサイトの目標を設定し、それに基づいた構造やデザイン、コンテンツの企画を行う。企画フェーズでは、プロジェクト全体の数値目標管理を行う「プロデューサー」が全体の予算目標の策定を行い、実行部分をディレクターが検討するケースが多い。 - 制作フェーズ
企画した内容をもとに、デザイナーやエンジニアと連携して実際のWebサイトを制作する。担当するWebサイトの特性や会社の業務領域によりことなるが、一般的にはHTML、CSS等の基本的なコーディング、Adobe等を用いた簡単なデザインも担当するケースが多い。 - 運用フェーズ
制作したWebサイトが目標を達成できるように、適切な運用と改善を行う。Google Analyticsなどを用いた分析を行い、KPI達成に向けての次の施策を検討していく。
求められるスキル
- プロジェクト管理能力
複数のプロジェクトを一度に管理し、適切に進行させる能力が求められる。スケジュール遅延が起きないよう、各メンバーの進捗を確認し、遅れが出そうな場合は適切な打ち手を打つことを事前に検討するなど、高い管理能力が求められる。 - Webマーケティング知見
Webサイトがビジネス目標を達成するためには、マーケティングの視点から最適な戦略を練る必要がある。基本的なSEO対策や、Analyticsからの流入経路分析などもディレクターが兼任できると、より貢献の幅が広がる。 - 他職種への知見
エンジニア、デザイナーなど、複数の専門職を横断してプロジェクトを進行するケースが多いため、他職種の知見、理解なども求められる。
キャリアパス
Webディレクターのキャリアパスは、経験とスキルにより多岐にわたる。
- 大規模プロジェクトの管理
経験とスキルを積み重ねることで、より大規模なプロジェクトのディレクションに挑戦できるようになる。 - 専門分野のディレクター
特定の領域、例えばEコマースやデジタルマーケティングなどに特化したディレクターになる道もある。 - マネージメント・プロデューサーへの進出
チームや部門のリーダーシップを担い、組織全体のWeb戦略を担当する役職へと進むことも可能である。
Webディレクターの役割は非常に広範であり、その業務内容や求められるスキルは多岐に渡る。しかし、それだけにそのキャリアパスも豊富で、自身の強みを活かした成長が可能である。Web業界でのキャリア形成を考えている方は、ぜひともご検討をいただきたい。