成長著しいSaaS業界の魅力とチャンス

成長著しいSaaS業界の魅力とチャンス

寄稿エージェント:柳場 昌弘

急成長の背景

2018がSaaS元年となって以来、SanSan、楽楽ファミリーの台頭に象徴されるようにSaaSは急成長を遂げた。現在市場規模としては、1兆5000億円と大きく、(現在も伸び続けている業界であり、今後も急成長を続けていくだろう。SaaSが急成長するようになった理由としては、従来のオンプレミスに比べて初期コストが低く、さらにオプションの追加によって会社に合わせた形にできるためである。加えて、エラーにも対応してくれるというアフターサービスも充実している。

しかしSaaSが成長した現在でも、2025年の崖という問題が懸念されている。2025年の崖とは、日本国内のDXが遅れていることから、2025年には日本規模でも企業単位でも最大12兆円ともいわれる経済損失が生まれるという予測である。具体的には、アプリケーションのサポート切れによるセキュリティの低下、新技術が導入できないことによる競争力の低下が引き起こされると懸念されている。
今後は、新たな価値を生み出す基盤構築として、DXによるレガシーシステムの刷新や業務プロセスの見直しによる業務効率化が求められる。そのため、今後はさらにDXの促進が求められ、それに伴いSaaS業界も伸び続けていくことが予測できる。

SaaS業界でのキャリア

大手企業もあれば、スタートアップ、ベンチャー企業もあるため、どの組織規模の企業を選ぶかということも重要である。

SaaS業界で得られる経験を経て、転職市場での市場価値を高めることができる。
得られるスキルとして、高単価で、無形商材、価値を図りづらく、複雑性の高いものを提案する難易度の高い営業力が挙げられる。高い営業力とは、単価など価値が高いサービス、商材にブランドがない状態でどれだけ売上を立てられたかという実績のことを指す。

SaaS業界におけるキャリアのチャンス

SaaSのビジネスモデルは、ISがリード数を確保し、見込顧客を案件化し、FSが商談を行い受注数を追う。その後CSが顧客の継続的な満足度を向上させ、LTVを伸ばす。営業フローのなかで分業しているため、営業手法が体系化されていることから、各ポジションで未経験でも挑戦できるチャンスがある。

また、企業の方向性、ミッション・ビジョン・バリューに共感できるかどうか、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスのどのポジションが合っているか、自身の強みや価値観によって行く企業やポジションを決めるとよいだろう。

SaaS業界の魅力

SaaS業界の魅力として、期待される業界自体の将来的な発達に伴い、転職機会の増加、年収アップ、高いポジションへの昇進機会が増えると予測されることが挙げられる。
歴史が浅いが故に業界経験が浅くても細かいKPIスキルを有する人材であれば活躍しやすく、実力があれば若くても高いポジションや年収を得られるだろう。そこには、成長事業だからこそ、人への投資も活性化され、年収レンジが高まる傾向にあるという背景がある。さらに、人材育成に投資する余力があるため、十分な育成制度により、成長を図れるというメリットもある。市場が堅実に伸びていることから雇用の安定が見込まれ、長期的なキャリアアップを狙いやすいだろう。また、SaaS業界ではプロダクトの領域も様々であり、医療業界の改革や高齢化といった社会問題を解決するような魅力的な事業に携わることもできる。

また、経済的なインパクトを作り出す面白さも魅力の1つだ。厳しい経済環境に対してソリューションを提供するという経済的意義に加え、これまでなかったサービスを売っていく中で、「新しい市場をつくっていく」、「特定の業界・企業の商慣習」を変えていく面白さを感じられるだろう。

SaaS業界の特異性

SaaSは、一度モノを売って終わりではないため、顧客にサービスを利用し続けてもらうため、プロダクトや機能をブラッシュアップし続けないといけない。そのためインサイドセールスからフィールドセールス、カスタマーサクセスなど、横断的にファンクションを経験した上で、現場からマネジメント層に昇格し、サービスに携わるというキャリアもある。

近年、SaaS企業への注目度は高まり、転職先としてSaaS企業を検討する人が増えつつある。但し、HR TechをはじめとしたBtoB SaaSの競争はますます激しくなっている。既存の価値提供を維持しながらも、常にスクラップ・アンド・ビルドしないと、LTVは伸びないため、スピード感を持って、顧客の再定義、プロダクトの再構築が必要とされる。SaaS企業で働く人は、こうした激しい競争環境において、何度も何度も仕組みを変え続ける必要がある。それは大変である一方、仕組みを生み出し続けるチャンスに溢れているとも言え、そこにやりがいを感じる人には最適な環境といえるだろう。