新卒・第二新卒が本当に意識すべきファーストキャリアの選び方とは

新卒・第二新卒が本当に意識すべきファーストキャリアの選び方とは

寄稿エージェント:多田 有花

キャリア形成において、ファーストキャリアで何を選ぶかは重要である。

終身雇用の終焉が叫ばれる昨今では、本当の意味で個人の実力が求められる世の中に変わりつつある。

このことは、キャリア形成に対する個人のスタンスにも影響をおよぼしている。

また、ジョブ型への移行や働き方の変化を契機に、キャリア形成のオーナーシップも個人に求められているのが現状だ。

このような潮流のなかでは、これまでとは異なるファーストキャリアの選び方が肝要となってくる。

本記事では、新卒や第二新卒におけるファーストキャリアの選び方を考察していく。

キャリア形成を取りまく環境の変化

日本のキャリア形成を取り巻く環境は、現在大きな転換期のなかにいる。

終身雇用が終わりを告げるなか、新型コロナウイルス感染症の拡大で働き方が多様化した。

このような社会構造の変化は、人々のキャリア形成への意識にも変化を与えている。

転職サイト「ビズリーチ」のキャリアに関する調査では、「主体的なキャリア形成が重要」であると考える人は9割以上であることが判明した。(※参考1)

参考1:即戦力人材の約7割、約1年続くコロナ禍を経て「キャリア観が変化|PR TIMES

現在の日本の労働観・キャリア観について

現在の日本の労働観・キャリア観には、一つ大きな特徴がある。

それは、「他人からどう見られているか」を軸に意思決定をしているということだ。

具体的には、以下の通りである。

  • 就職偏差値
  • 年収ランキング
  • 福利厚生
  • 企業知名度

このように、「他人の価値観」によって意思決定をしていることが多いと予想される。

人生100年時代と言われる現代においては、一生の労働時間はますます長くなるだろう。

定年退職年齢は10年前と比べて5歳引き上がり、今後も平均寿命に比例して労働年齢が伸びていく可能性も高い。

仕事は、一生の大半を占めるものであり、単なる労働という枠に収まらない概念だ。

だからこそ、他人から認められることに重きを置くのではなく、自己実現としての側面も大切にすべきだろう。

メンバーシップ型からジョブ型へ

日系大手企業のジョブ型雇用への転換が活発化している。(※参考2)

ジョブ型雇用への変化は、個人の実力が求められる時代をさらに推し進めている。

日本で長らく主流だったメンバーシップ型雇用は、新卒一括採用を行い、就社という概念の上に成り立ってきた。

しかし、職務内容に値札が付けられるジョブ型雇用では、「その仕事において、いかに成果を上げるか、いかに活躍するか」が重要である。

職務に求められる成果基準を満たせるかどうかで、個人の評価・処遇が決定されるのだ。

参考2:ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いとデメリット・メリット|PERSOL

キャリアの構造

キャリア形成の特性上、年齢を重ねるとともに選べる選択肢は狭くなり、求められるスキルや実績の観点では深くなっていく。

一般的に第二新卒と呼ばれるような年齢層であれば、転職においてもポテンシャルをみて採用される場合もある。

そのため、1社目で成果を残してさえいれば、未経験領域への転職も実現できる可能性はあるだろう。

しかし、それ以降はたしかな実力が無いと難しい。

ポテンシャル採用が可能な年齢とそれ以降では、転職面接においても聞かれる内容が大きく変わる。

とくに、30代以降となれば企業への貢献プランが明確に問われるようになる。

つまり、年齢を重ねるにつれ、会社のブランドではなく個人の実力がなければ、転職市場では見向きもされなくなるのだ。

ファーストキャリアの選び方

これまでの内容で、早期からキャリア形成を行っていくことの重要性を理解いただけたと思う。(※参考3)

新卒や20代の意思決定や経験が、その後数十年のキャリアを左右することになる。

それでは、ファーストキャリアではどのような仕事を選べばよいのか考えていきたい。

参考3:若手のキャリア形成を「人」と「テクノロジー」の両輪で支援する。若手ハイエンドの転職支援で存在感を高めるアサインとは|Forbes JAPAN

価値観から選ぶ

仕事を選択する際は、自分が「好きで得意なこと」で「価値観に合っているか」という「自分軸」に合致するかどうかが大切になる。

同じように努力をしたとしても、その仕事が好きで得意な人とそうでない人とでは、アウトプットに明確な差が生まれる。

成果を残せなければ、マネジメント職への登用や昇給はもちろん、社内で重要なミッションを任されることはないだろう。

大手vsベンチャー

どのような規模感の企業を選ぶかも重要である。

この問題が議論される際は、大手とベンチャーどちらを選ぶのが正解かという二項対立で切り取られることが多い。

しかし、実際は自身の価値観と将来像から考えたときに、自分にはどちらが合っているのかを判断基準にして検討すべき問題だ。

たとえば、大手ではどのような業務にも幅広く対応できる社員を育成すべく、画一的な育成カリキュラムが採用されている。

しかし画一的であるからこそ、個の能力では劣る場合も多いわけだ。

一方、ベンチャーでは裁量権や成長できる環境をうたわれているが、裁量権が大きければ成長できるかというとそういうわけではない。

このように、大手・ベンチャーそれぞれに特性があるため、自分自身が望むスキルや知見を身につけられる環境を見つけられるかどうかが、その後のキャリアにも影響を与えるだろう。

将来像から逆算して選ぶ

誰一人同じ答えのないキャリアにおいて、正解にたどり着くことは容易ではない。

目指す将来像までの道筋から逆算したスタート地点を選ぶことができなければ、望まない方向へ進んでいくことになる。

もしも、ファーストキャリアを他人の価値観で選んでしまったとしたら、どうなるだろうか。

おそらく突出した成果は出せず、本当の意味での成長もできず、その後のキャリア形成は絶望的になるだろう。

20代のうちに、自分の目指す姿へ向かってどれだけ成長し実力をつけられるかで、その後のキャリア形成が決まる。

だからこそ、ファーストキャリアは「他人軸」ではなく、「自分軸」で選ぶべきなのだ。

「価値観に合うか」「将来なりたい姿へつながるキャリアパスを描けるか」が明確な自分軸を形成する上で重要である。

ぜひ意識して、今後の社会人としてのキャリアを積んでいってもらいたい。