寄稿エージェント:渡辺 海帆
インターネット上で集客を図るためには、さまざまな施策を行うことが求められる。
その施策のなかに、「コンテンツマーケティング」と呼ばれる手法がある。
今回は、コンテンツマーケティングの概要や、実践することのメリットなどを解説していく。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値あるコンテンツを作成・配信することで見込み顧客を醸成し、購買につなげるマーケティング手法のことだ。
例えば、商品レビューを見た見込み顧客が商品への理解を深め、購入するという流れが代表的だろう。
コンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」とは、ブログや動画などといった広告以外の媒体を指す。
コンテンツSEOとの違い
コンテンツマーケティングと似た用語に、「コンテンツSEO」というものがある。
コンテンツSEOとは、検索におけるニーズや意図を把握したコンテンツを充実させることで、サイト流入を獲得する手法のことだ。
いわゆるSEO(Search Engine Optimization)と呼ばれ、検索エンジン最適化と訳される。
その名の通り、検索エンジンに自社サイトを上位表示させることで見込み顧客の流入を促すのが目的だ。
コンテンツSEOは多くの場合、コンテンツマーケティングとセットで実施されるものでもある。
明確な違いはなく、コンテンツマーケティングに内包されている手法の一つと捉えてもよいだろう。
コンテンツマーケティングが重要視される理由
近年では、コンテンツマーケティングの重要性を唱える記事やセミナーなどが増加している。
ここでは、コンテンツマーケティングが重要視される理由について解説したい。
消費者の購買行動の変化
第一に理由として挙げられるのが、消費者の購買行動の変化だ。
インターネット普及前までは、企業側が消費者に対し、テレビや新聞などのマス広告を活用して伝えたい情報を発信していた。
消費者側は、情報を受け取る手段がマス広告しかなく受け皿は限定的であり、情報取得についても受動的であった。
しかし、インターネットやSNSの普及により、消費者が能動的に情報収集や購買行動をするようになった。
これらの要因から、旧来型の広告出稿の費用対効果が低くなってしまったのだ。
現代では、情報の受け皿が無数にあり消費者も能動的であることから「企業が伝えたい情報」ではなく、「消費者が知りたい情報」を伝えることが求められている。
そこで、コンテンツマーケティングによるコンテンツの作成、発信が注目を浴びているのだ。
インターネット広告費の高騰
能動的に情報収集を行う消費者が主に用いるツールが、インターネットだ。
当然ながら、消費者が多く集まる媒体への広告掲載料は増加していくので、ネット上での広告出稿は費用がかさむ傾向にある。
つまり、少しでも経費削減をしたい企業にとっては、痛手となる可能性が高まる。
コンテンツマーケティングであれば、広告よりも安価に自社商品やサービスを訴求できるので費用対効果が非常に高い。
費用を抑えつつも企業活動を活発化させたい企業が、重要視するのもうなずける。
検索エンジンのランキング
消費者がネット上で情報収集する際には、検索エンジンを用いることが多い。
検索エンジンは、ユーザーにとって有益な情報をアルゴリズムで振り分け、上位に掲載するサイトを決めている。
そのなかでもGoogleの検索エンジンは、ユーザーにとって有益な情報を重視しており、「E-E-A-T(※1)」など独自の検索品質評価ガイドラインを定めているのが特徴だ。
当然、E-E-A-Tに準拠したサイトであるかどうかは取り組むべき優先度も高く、Googleの評価対象として上位表示されやすい。
そのため、コンテンツマーケティングによるコンテンツの作成・発信は、検索エンジンで上位表示させるためにも効果的である。
消費者とのタッチポイントを増やすという意味でも、コンテンツマーケティングの重要性は高まっている。
※1:E-E-A-Tとは「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略
コンテンツマーケティングの効果
コンテンツマーケティングが企業にもたらす効果は多岐にわたる。ここでは、コンテンツマーケティングの効果について解説する。
リードの獲得・ナーチャリング
コンテンツマーケティングで、ユーザーニーズに応じたコンテンツを作成すれば、自社への興味関心を引くことが期待できる。
このことは、新規顧客獲得や見込み客の育成といった、いわゆる「潜在顧客」に属するカテゴリーの発掘に寄与する。
コンテンツの品質や認知が高まるほど、予想以上の集客が実現できる可能性も秘めているのがコンテンツマーケティングだ。
顧客ロイヤリティ向上
顧客ロイヤリティとは、企業への忠誠心や愛着を指す用語だ。
企業が、顧客に対し継続的に有益なコンテンツを発信することで、自然と顧客ロイヤリティは高まる。
それにより、顧客の継続購入や利用の意欲を醸成することができ、安定した売り上げが見込めるだろう。
コンテンツの資産化
一度作成・発信したコンテンツは、発信者側で非公開にしなければ原則消えることはない。
そのため、「資産」として扱うことができる。
資産の蓄積により、集客効果の高いコンテンツが検索エンジンに残り続ければ、中長期的に費用対効果の高いマーケティングを実施できる。
専門家としてのポジションを確立できる
継続的に、ある分野の情報や問題の解決案などをコンテンツとして発信することは、宣伝という意味だけにとどまらない効果がある。
具体的には、その分野におけるプロフェッショナル(専門家)という認識が、ユーザーのなかで生まれるということだ。
この認識を得られることで、企業の信頼性がさらに高まり、ブランディング強化にもつながるだろう。
SNSでの拡散が期待できる
近年、消費者が質の高いコンテンツをSNSで広めようとする動きが見られる。
消費者の「共有したい」「多くの人に教えたい」という気持ちを喚起するようなコンテンツの作成は効果的だ。
一人のインフルエンサーの拡散で、莫大なエンゲージメントを得ることも夢ではない。
コンテンツマーケティングは、初期段階ではオウンドメディアやメルマガなど、比較的安価なものから始めることもできる。
大々的な設備投資を行わず、現状のリソースと人的コストのなかから転用できる範囲で開始できるのは大きな魅力の一つだろう。
コンテンツマーケティングの効果をより高めるためにすべきこと
効果的なコンテンツマーケティングを実行していくためには、平行して行うべき施策がいくつかある。ここでは、その代表的なものについて紹介する。
効果測定
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの作成・発信は、ローンチして終了ではない。
ローンチ後、GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleなどといったツールを用いて、サイト流入の状況を分析することが肝要だ。
これを行うことで、コンテンツのブラッシュアップを図ることができ、常に市場のニーズに即したものを発信し続けられる。
情報の最新化
情報にあふれる現代社会では、毎秒トレンドが変化しているといっても過言ではない。
そのなかで生きるユーザーは、常に最新情報を求めて行動している。
トレンドを追いながら最新情報を含んだコンテンツを発信できる企業は、それだけユーザーの期待と信頼を得られるだろう。
コンテンツマーケティングは、取り組みに際して最低限の知識が必要だが、「すぐに」「お金をかけず」導入できる魅力的なマーケティング手法の一つだ。
ブランド力を高め、より多くのユーザーとつながり良好な関係を築き上げていく手段として、ぜひ実行してほしい。