よりよいキャリアを歩んでいくための「志」の描き方

<strong>よりよいキャリアを歩んでいくための「志」の描き方</strong>

寄稿エージェント:中村 飛雄馬

終身雇用が崩壊しつつある現代日本において、よりよいキャリアを歩むためには「人生の目的」を描くことが大切だ。

今回は、自分自身のキャリアや、人生の目的を明確にするための考え方を中心に紹介していく。

終身雇用とキャリア

これまでの日本は、終身雇用制度によって雇用が守られてきた。

企業が個人のキャリアを管理し、個人は企業の命令・指示に従い、昇進を重ねることでキャリアを形成してきたのだ。

また従来は、入社から定年退職まで一つの企業に勤め続けることが多かった。

よって、企業内でのキャリアが、自分自身のキャリアといっても過言ではない。

しかし、グローバル化が進んだ現代日本においては、年功序列で昇給していくことが難しくなった。

なぜなら、能力に応じた待遇を提供する海外企業と渡り合う必然性が出てきたからだ。

つまり、自らが主体的にキャリアを形成することが、求められる時代となってきているのである。

キャリアとは、どのような意味を持つのか具体的に見ていきたい。

キャリアの意味とは

キャリアの語源は、馬車の「轍」にあるとされている。轍は、車が通ったあとに残る車輪の跡だ。

「これまでに、どのような人生を歩んできたのか」また「これからどこへ向かっていくのか」を指し示すのがキャリアであり人生の軌跡と展望のことである。

キャリアを考えることは、人生の生き方を考えることだ。また、キャリアにおいて重要なのは、自分なりの「目的」を持つことといえる。

さらに、主体的なキャリアを形成するためには、自分の人生の目的を明確にすることが重要となる。

つまり、人生の目的が明確になると、自分が目指すべき目標や取るべき行動がより具体化する。

目指すべき目標や、取るべき行動が明確だからこそ、高い成果につながり、自身の望むキャリアを描けるのだ。

次に、「目的」と「志」の見つけ方について考えていく。

「目的」「志」の見つけ方

「目的」や「志」は、自分の価値観と向き合うことで見つけられる。

具体的には、どのような人生を歩みたいのか、どのような環境で、誰と過ごしていきたいかを突き詰めることで見つけられるだろう。

簡単には見つからないかもしれないが、考え続けることが重要である。

「小志」の積み重ねで「大志」を形作る

小志と大志には、どのような違いがあるのか。一定期間、人生をかけてコミットする目標が「小志」だ。また、一生涯を通じて達成しようとするものが「大志」となる。

いきなり「志」を考えようとすると、難しい人もいると思う。そのため、「小志」を積み重ねていくことで、「大志」を形作っていく方法を紹介する。

  • 客観視→内省→新たな目標の設定→達成への取り組み→取り組みの検証

この行程を順に追っていくことで、「小志」を達成できる。その後、「大志」の達成も期待できるはずだ。

「志」を考える上で押さえるべきポイント

次に、志を考える上で、押さえるべき2つのポイントを解説していく。 

できるだけ大きく描く

現状維持や、コンフォートゾーンにとどまりたいと思うのが人間の性だ。この性を覆すためにも、既成概念にこだわらないことが大切である。

成し遂げたいことや、自身のなりたい姿を常に想い続ける。特に、既成概念を飛び越えないと、実現できないものに目を向けていくことが大切だ。

それが自身の壁を破る「限界突破」につながっていく。

他者比較ではなく自身の理想の姿を

現代では、どうしても、他者との比較を重視してしまう人が多い。いわゆる企業のブランドを重視し、名の知れた大企業を志望する就活生が多い現実がそれを物語っている。

確かに、肩書きや地位も大事だろう。しかし、肩書きや地位だけでは、相対評価に依存して生きていかなければならず、満足することはない。

それよりも、自分の価値観を軸に考えていく絶対評価が重要だ。

自分自身のやりたいことやかなえたい姿を目標とすれば、他社との比較で消耗することもなく達成感を味わいながらキャリアを積めるだろう。

「志」を持つことによるメリット

志を持つことで得られるメリットについて、具体的に紹介していきたい。

個人のメリット

志を持つことで、「取り組みを続けられる」また、「学び続ける精神的な支え」となるだろう。

さらに、ぶれない軸を持つことで困難な状況に陥った際も、困難を打破する精神力につながっていく。

志がなければ、困難な状況から逃げようとするだろう。しかし、逃げてしまえば、自分自身の成長にはつながらない。志を強く持ち、自ら困難に立ち向かっていく姿勢が大事だ。

組織のメリット

一つの大きな指針があることで、リーダーシップを発揮し、周囲を巻き込むための礎となる。

例えば、世界で最も有名な事業会社の一つであるアマゾンの理念は、「地球上で、最もお客様を大切にする企業になること」だ。

また、有名ホテルグループのリッツ・カールトンには、「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命」というクレド(信条・指針)がある。

そのクレドを従業員全員が共有している。そのため、従業員が宿泊客を感動させる、いくつものエピソードが誕生しているのだ。

このように、会社で働く従業員は、その一つの「目的」「志」を行動指針として動くため、非常に効力が大きい。志の達成のためには、周囲の環境が重要な要素となってくるのだ。

同じ目的や志を持つ人間が集まることで、目的達成の実現性は高まる。志を実現するためには達成すべき目標、乗り越えるべき壁がいくつも訪れる。

目的、志が同じ方向を向いている仲間と共に働くことで、切磋琢磨し、目標を達成できる可能性が高まるだろう。

このようなことから、自身の現在の環境が、志を満たす環境であるかについて、立ち止まって考える必要がある。

もし満たしていなければ、転職は一つの選択肢になり得るだろう。

最後に

よりよいキャリアを実現していくためには、人生の目的、志を設定することが重要である。自分自身の可能性に目を向け、実現できる階段を歩む必要がある。

自分で見いだすのは、難しい課題だが、常に考え続けることが大切だ。また、目的、志を達成するためには、目的、志が同じ方向を向いている仲間と働くことが実現への近道である。

もし、不安があるなら早期にエージェントに相談してみてはいかがだろうか。有効な解決策が、きっと見えてくるはずだ。