就職や転職活動の流れと違い、必ず押さえておくべきポイント

就職や転職活動の流れと違い、必ず押さえておくべきポイント

寄稿エージェント:瓜生 遼馬

2017年にリクルート研究所が実施した「全国就業実態パネル調査2017」では、65歳以上で転職経験がない人は男性1.9%、女性が0.9%とわずかな数字だった。

つまり、それ以外の人は、最低1回は転職経験があるということだ。

また、総務省統計局の労働力調査(https://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/nen/dt/pdf/2020.pdf)では、2020年のデータにおいて過去1年間で離職を経験した者は約596万人、そのうち転職した者が約319万人と発表している。

転職者数の推移では、前年比で約32万人の減少ではあったものの、2010年からの統計と比較すれば過去3番目となる。

その背景には、終身雇用の崩壊の影響による、ジョブ型雇用や成果主義が影響しているだろう。なお、日本の新卒市場は特殊であり、転職市場と異なる点が多い。

そのため、初めて転職活動を行う人は、「新卒時に行った就職活動とは異なる」と認識をして準備を進めることが望ましい。

今回は、以下の内容を軸に、転職と就職の異なる点を紹介していく。

  • 求職者のスタートライン
  • 企業側が重視するポイント
  • 選考の流れ
  • 内定後の進め方

求職者のスタートライン

新卒の就職活動においては、各企業の新卒者向けの募集が、大学3年生の後半から始まる。このスケジュールに合わせて、学生もいわゆる「就活」を行うのが基本だ。

そのため、日程もある程度把握しやすく、進め方も分かりやすい。一方、転職活動のスタート時期は、就職活動のように明確なスケジュールはない。

個人であれば、転職をしようと思い立ったときが活動のタイミングになる。また、募集する側の企業であれば、採用活動を事業状況に応じて進めていくときがスタートラインだ。

また、転職活動は、就職活動のように企業からの情報提供やスケジュール設定などはないため、主体的に進めていく点に注意が必要といえる。

企業側が重視するポイント

就職や転職において、企業が重視するポイントとは、具体的にどのようなことなのだろうか。

新卒の場合

就職活動は、社会人経験のない学生を対象とするため、即戦力としての能力ではなく、ポテンシャルの要素を企業は重視している。

具体的には、「コミュニケーション能力」「入社意欲や成長意欲がどの程度あるか」「学生時代に熱心に取り組んだ活動」「学歴」などから、幅広い視点で総合的に判断されるだろう。

転職活動の場合

転職活動は、社会人経験者を対象としているため即戦力としての活躍が求められる。よって、営業・経理・法務・制作など、明確なポジションを特定して募集されることが多い。

選考では、前職で行ってきた業務内容や経験、実績から必要とされるポストに適応できるか、また、企業の発展に貢献でき、利益を生み出せる人材であるかどうかについて、判断されることになる。

そのため、転職活動では履歴書のほかに、新卒時の就職活動時には存在しなかった「職務経歴書」を提出することが特徴だ。

企業に対しては、実務経験をしっかりとアピールする必要もある。自身がこれまでに携わってきた仕事内容を具体的に転職先に伝えることが大事だ。

さらに、志望先の会社に入社できたら、「自分はどのように活躍できるのか」を具体的に表明しなくてはならない。

それは書類だけではなく、面接においても的確に伝えていく必要がある。

第二新卒の場合

同じ中途採用でも「第二新卒」では、採用基準が少し異なる。

なお、第二新卒とは、一般的に大学などを卒業後、一度就職をしたが数年の内に離職し、転職活動をする若手求職者を指す。

そのため、若年層ではあるが、社会人経験があるため、社会人としてのマナーや業務の基本的な知識は評価され、ポテンシャルの要素を重視されることが多い。

選考の流れ

就職活動は、年間を通して採用活動を行いながら、多くの学生と接触し、自社の採用基準を満たす学生を絞り込んでいく。

よって、選考期間が数ヵ月から1年近くかかることが多い。

就職活動の一般的な流れは、まずエントリーシートを提出する。なお、エントリーシートは、企業の説明会に参加しなければ提出できないパターンもあるため、注意が必要だ。

エントリーが完了すると、その後の本選考の流れが、企業から連絡されるようになる。一般的には、筆記試験・グループディスカッション・1次面接・2次面接・最終面接と進んでいく。

一方で、転職活動は、特定したポジションの即戦力人材を単発的に募集することが多いため、選考期間が短い。

企業へ応募してから、2〜3回の面接で内定が出る場合が多いだろう。 

内定後の進め方

内定後の進め方も、就職活動と転職活動では違いが生じる。 

新卒時

就職活動では、内定から入社までは数ヵ月から1年近くの期間があることが多い。そのため、内定取得後でも、入社するかどうかを検討することが可能である。

さらに、内定承諾後は、入社前にオリエンテーションや研修などで会社の理解を深めて、準備をする機会がある。

転職時

転職の場合、なるべく早く適切な人材がほしいと考えている企業が多い。そのため、内定取得後はスピードが重視される。

結果として、内定承諾の返事も、数日〜1週間以内に行わなければならないことが多い。

また、在職中に転職活動をしている場合、勤務先の会社への退職交渉で、引き留めにあうこともある。さらに、業務の引き継ぎに追われるケースも存在する。

なお、引き継ぎ作業が期限内に完了しないときには、内定した転職先企業に迷惑をかけることになるため、慎重に行う必要があるだろう。

このように、就職と転職は異なる点が多くあるため、注意すべき点を事前に把握をしたうえで、納得いくキャリア設計を行ってほしい。

転職サイトと転職エージェントの違い

最後に、転職時に利用する「転職サイト」と「転職エージェント」の違いについても述べておく。

転職サイト

転職サイトは、企業の求人情報をまとめて掲載した情報サイトだ。求職者は、その情報を検索し、自分自身で応募を行うことができる。

幅広い業界、幅広い地域の求人情報を気軽に探して、簡単に応募できるのが特徴といえる。

また、プロフィールを登録しておけば、企業側がそのプロフィールを検索して、気になった相手に対してオファーメールやスカウトメールを送信する機能などもある。

転職エージェント

転職エージェントは、転職希望者一人ひとりに対して、専任のキャリアアドバイザーがつくのが特徴だ。

また、転職エージェントを利用することで、応募書類の添削や面接対策、スケジュール調整などといったさまざまなサポートを受けることができる。はじめて転職活動をする人には、特に適したサービスといえる。

転職活動で何か不安がある場合には、転職エージェントに相談してみてはいかがだろうか。