寄稿エージェント:竹中 紫乃
モノが売れるための必要な要素として、「企業のブランド」「商材の魅力」「営業マンの実力」が挙げられる。
「企業のブランド」と「商材の魅力」の影響が大きいような商材においては、相対的に「営業マンの実力」による影響は小さくなってしまう。よって、「自身ではなく他人でも売れるのではないか」と考える人も多い。
一方で、商材の魅力が伝わりづらかったり、他社ブランドとの違いが分かりづらいような商材を売る場合は、相対的に「営業マンの実力」というのが大きく影響するため、実力の高さが求められてくる。
そのため、営業経験者が営業職としてのキャリアアップ、スキルアップを考えるにあたっては「自分の営業マンとしての実力=市場価値はどうなのか」を改めて見つめ直す人が多いのだ。
また、 「市場価値を上げるために転職したい」という希望を持つ人もいる。今回は20代営業職のキャリア形成について、詳しく解説していく。
20代営業職の市場価値
20代での転職市場での市場価値を考える視点としては、具体的に以下の2パターンに分類される。
- 専門性の高さ
- 汎用性の高さ
専門性の高さ
専門性という観点から見ると、一つの商材、特定の領域をを長く続けていくことはよいことかもしれない。一方で、長く続けているだけでは営業としての市場価値が高まることはない。年齢を重ねるにつれ、「希少性」という観点が重視されることになるのだ。
汎用性の高さ
汎用性という観点で見ていくと、「どのような会社でも求められるスキル」が必要である。つまり、現在の自分から、企業のブランドと商材の魅力を外したときに、何が残るのかということである。
では、どういった仕事をしていけばよいのか。これに関しては明確で、会社の知名度と商材の魅力に頼らないセールスに徹し続けることだ。そのような努力が、個人としての実力を高めることにつながる。
具体的には「自分ならではの仕事」 や「人が介在する余地の大きい仕事」をすることが大切だ。しかし、こういった仕事が、すべての人の価値観に合致しているわけではない。
よって、しっかりと自己分析を行い、将来像も明確化した上でキャリア選択をしてほしい。
20代営業職が必要とされるスキルについて
営業としてのスキル面でも、市場価値を考えることはできる。特に以下4つに分類できるので参考にしていただきたい。
- 取扱商材
- カウンターパート
- 営業プロセス
- 新規既存割合
それぞれについて、簡単に説明していきたい。
取扱商材
専門性という観点では、転職先と親和性の高い商材を取り扱っていることも、評価されるところではある。ただ、ここで重要になるのは、提案営業をしているのかどうかということである。商材の質や魅力で勝負が決まるわけではなく、顧客課題やニーズを正しく理解し、提案できるかという点が重視されるだろう。
カウンターパート
顧客との業界親和性や営業相手である顧客のポジションに応じて、どのように対応するのかによっても営業職としての評価が分かれる。
例えば、金融業界の営業を担当していた人は、商材が変わったとしても同じ金融業界を顧客とする限りは、一定の評価がなされるだろう。なぜなら、専門用語や具体的な業務内容の理解を、そのまま活かせるためだ。
顧客のポジションで言えば、経営者を相手に提案をしていたのか。または、窓口担当者に提案をしていたのかによって評価が変動することは多々ある。
このように、営業職であるあなたが最適なカウンターパートだと思われるためには、業界親和性や顧客ポジションとの適合性を判断していただきたい。
営業プロセス
戦略を立てることからアポ取り、クロージングまでを一貫して行ってきたのか、もしくは、商談のみをしてきたのかといったように、従事する業務の幅も一つの評価軸になり得る。
もちろん転職先の営業スタイルと、今まで経験してきた営業スタイルとの親和性がある人は評価されやすいが、営業プロセスについても同時に見直すことでキャリアの選択肢を広げることができるだろう。
新規既存割合
これから伸びていく企業や、営業力を重視する企業においては、新規営業の経験を重視する傾向が強い。
このように、既存営業と新規営業の割合など営業の中身を分解することによって、自身がどのような領域であれば通用して、転職市場でどのような評価につながるのかを理解することができる。
20代営業職のキャリアプランについて
営業職としてのキャリアプランを考える際には、 まずは、どの市場でどのような価値を高めていくかを検討することが大事だ。
また、セールスとしてのキャリアアップを目指す場合、キャリアパスが主にマネージャーとプレイヤーに分かれることを理解することも必要となる。
キャリアプランの考え方
事業に対して自分自身がマネージャーとしてリードするのか、また、プレイヤーとしてリードするのか、どのキャリアパスを歩んでいくのかは、その人の価値観によって異なる。
このように、なりたい未来から逆算して、取るべき経験やスキルを考えていくキャリアプラン作りが求められるだろう。
また、自身のやりたい領域を特定するためには、「価値観」を軸に考えることが有効だ。「価値観」の捉え方は様々あるだろうが、今回は「好きで得意なもの」として定義する。
例えば、人と話すことが好きな人は、コミュニケーション能力が高い傾向にある。一方で厳密に考えることが好きな人は、論理的思考力に優れた傾向にあるといえる。
このように、好きなことは自身が得意なことも同時に指し示す場合が多く、自分の価値観を理解することで、キャリアにおいてやりたい領域を、選ぶ際の重要な手がかりとなるのだ。
20代営業職のアクションプラン
最後に20代の若手営業マンがセールスとして成果を上げてキャリアアップしていくために、明日からの業務で実践できるアクションプランとは、どのようものがあるかをお伝えしていく。
顧客の要望以上のご提案を提示する
企業にとっての営業マンの価値とは、「その人が介在したからこそ、自社の売り上げにつながった」といえることだ。
そのため、「顧客が、〇〇という商品が欲しいというので希望通り受注した」という営業マンでは、営業マンとして介在価値が低い。ただ単に、顧客に必要な商品を届けるだけの仕事なら、その人ではなくとも代替え可能な業務になってしまう。つまり、誰にやらせても代わり映えしないわけだ。
「もう少し顧客に役立てることはないか」「さらに自社の売り上げに貢献するにはどうすればいいか」と一歩踏み込んで考えてみる。
このような視点を、常に持ち続けることが大事になってくる。
戦略性を持って、PDCAを回しながら営業経験を積む
応募先企業は、「業務においてPDCAをまわした経験」を重視する。つまり、どのような課題を見つけて、どのようにパフォーマンスを上げてきたのか。そしてそこから何を学び、改善を重ねてきたのか。そういった経験を評価して採用することになる。
これらは、20代のうちから訓練できるものといえる。そうすれば自然と実績も上がっていくため、実績ベースで見ても、市場価値の高い営業マンになれるはずだ。
利益の最大化のため、時には周りを巻き込む
営業マンに最も求められることは、売上実績という成果にコミットできる力だ。
ただ、利益を最大化させるということを考えると、何でも一人で完結させるのではなく、周りを巻き込んで仕事ができなければいけない。利益を最大化させるという目的のために、チームワークを発揮した経験は、実際にマネジメントをする立場になったときにも役立つ。
20代の営業マンが、転職やキャリアについてもし何か不安や悩みがあるなら、エージェントに相談してみてはいかがだろうか。