人材業界における四職種の業務内容とキャリパス

人材業界における四職種の業務内容とキャリパス

寄稿エージェント:山林 知紘

人材紹介事業は、人材を採用したい企業と転職を検討している求職者の間に立って、求人の紹介や転職活動のサポートなどの転職支援サービスを提供している。

求職者に対しては無料で転職支援サービスを提供し、転職が成功したら、採用企業から報酬を受け取るのが一般的だ。

では、人材業界にはどんな職種が存在し、具体的にどのような業務を行っているのだろうか。また、人材業界でのキャリアパスの実態についても考えていく。

人材業界の業務内容

まずは、人材業界の業務内容を四つに分けて説明していく。

リクルーティングアドバイザー(RA)

一つ目は、リクルーティングアドバイザー(RA)と呼ばれるポジションだ。

具体的には人材紹介会社における法人営業を担当し、自身が受け持つ企業の経営者や役員人事部門の責任者と商談を進めていく。

そのなかで企業の採用ニーズを細部までヒアリングしていき、求める人材の要件整理を行っていくことが業務となる。

その上で担当企業評価制度、人事制度、年収、福利厚生などを再確認して、求人票の作成も担当する。

また、キャリアアドバイザーと整理した情報を共有し、条件に合致する転職希望者の紹介へとつなげていけるような仕事をしていくのがリクルーティングアドバイザーの役割といえる。

求人広告営業

もう一つの法人営業ポジションは、求人広告の営業職だ。

具体的には、リクナビやマイナビ、中途採用でいえばdodaやリクルートエージェントなどの媒体を、企業側に営業し広告掲載の提案をしていく。

求人広告を企業側が求める背景としては、集客課題の解決につなげていく目的があげられる。

例えば新卒採用を行っている会社は、リクナビといった学生を集める媒体を使うことによって、今までにない集客の母集団形成につなげることができる。

そのため、求人広告の営業マンは、まず企業側の新卒・中途採用担当者から集客の課題をヒアリングする。

そして、媒体を使うことで、どのような課題解決ができるのかなどについて、提案営業をしていくのだ。

契約後は、その会社の特徴や強みについてヒアリングをした上で、掲載内容を考えていくことになる。

実際に掲載した後も、月ごとのデータを分析しながら、次年度の採用に生かしていく。そのため、数値を用いながらの希少価値が高いポジションといえるだろう。

数字に強くて、マーケティングに興味のある人が、求人広告の営業担当を任されることが多い。

キャリアアドバイザー(CA)

キャリアアドバイザーは、リクルーティングアドバイザーから共有された企業情報をもとに、転職希望者へ情報提供を行っていく。

また、求職者との面談で希望条件をヒアリングした後に、適性に応じて案件を紹介することが主な業務になる。

さらに、案件の紹介だけではなく、応募書類の添削や面接対策、企業との面接のセッティングなども行う。

候補者と企業の代理人として入社日や給与条件の交渉から、退職交渉まで行い、中長期的に伴走をサポートしていくようなポジションが特徴的だ。

RPO(Recruitment Process Outsourcing

RPOとは、「Recruitment Process Outsourcing」(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)の略で、採用業務をアウトソーシングすることを指し、「採用代行サービス」とも呼ばれている。

昨今、RPOのようなポジションが企業の採用活動において、利用されることが非常に多い。

採用代行サービスとは、クライアントの採用を代わりに実施することだが、実際にどこまで携わっていくかについては、クライアントのニーズによって違ってくる。

書類選考だけを代行することもあるが、年間の採用計画の策定から、母集団形成の方法、面接、クロージングまでの全てを任せられることもある。

RPOのポジションは、全ての人材会社にあるわけではなく、基本的には大手の人材会社、規模の大きい人材会社のみに存在している。

人材業界のキャリアパスについて

次にリクルーティングアドバイザー(RA)とRPO採用のキャリアパスについて、解説していく。

リクルーティングアドバイザー(RA)のキャリアパス

リクルーティングアドバイザーは、担当する企業の経営層や役員人事部門の責任者と太いパイプを持ちながら、さまざまな業界に精通していくことが可能だ。

この点は、キャリアとして非常に大きなメリットとなる。また、さまざまな業界の知見を身につけつつ、営業活動をしていくため、キャリアパスとしてもさまざまな選択肢が生まれる。

転職市場では、いわゆる無形商材の法人営業としての位置づけになる。そのため、親和性がある職種としては、最近台頭してきているITのSaaS系などがあげられるだろう。

RPO(Recruitment Process Outsourcing)のキャリアパス

もう一つ、RPOについては完全に採用のアウトソーシングとなる。そのため選択肢としては、事業会社の人事ポジションがあげられる。

なお、足元の転職においては事業会社を選ぶべきか、それともアウトソーシングへ行くべきかという点について求職者から質問をいただくことがある。

これについては一長一短があり、アウトソーシングであれば企業規模を問わず実績を積み上げられ、経験値の幅から考えれば、事業会社よりもメリットは大きいだろう。

通年で10名採用している会社と、500名を採用する大手企業を比較した場合、もちろん採用予算も採用のやり方にも違いが生まれる。つまり、必然的に経験値も上がっていくだろう。

そのため、今後人事としてのキャリアを歩んでいくには、採用人数や採用予算の親和性、具体的な母集団形成の仕方などをインプットしていくことが、キャリアの幅を広げるポイントとなる。

RA・RPOに共通したキャリアのメリット

ここまで、リクルーティングアドバイザー(RA)とRPO採用のキャリアパスについてご紹介してきたが、なぜこの二職種なのだろうか。

その答えは、以下の通り、共通項を整理するとわかりやすい。

  • 企業側の課題に対して深く入り込み、課題解決を進められる
  • さまざまな業界企業を経験することで、ナレッジがたまる

ぜひ、リクルーティングアドバイザーやRPOを経験した上で、積み上げたナレッジをアピールし、人材業界でのキャリアアップを目指してほしい。