寄稿エージェント:島田 龍太
現在、終身雇用の崩壊によって、日本でもアメリカのような「ジョブ型雇用制度」が採用されている。
ジョブ型雇用とは、人材を採用する際に職務内容を明確にして雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価するシステムのことだ。
そのため、高いキャリアやスキルがあれば、より転職しやすい状況にある。しかし、ジョブ型雇用を背景とした転職の流動化は、よい側面ばかりではない。
今回は、転職の流動化やその課題を踏まえた上で、どのようにキャリア形成をしていけばよいのかについて考えていく。
また、第二新卒の転職活動やキャリアの優位性についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしていただきたい。
転職の流動化がもたらすデメリット
転職の流動化は、転職者からしてみると、求人数が増えていくといったメリットはあるが、一方で、このような状況から転職を安易に考えてしまう人も一定数見受けられる。
具体的には、転職を現状や環境を変えるための単なる手段として捉えているように感じられ、中長期的なキャリア形成を実現するためにはどうすればいいのかという思考が抜け落ちているようにも思える。
このような姿勢では、終身雇用が崩壊していく現代社会において、目先の転職ばかりに気をとられてしまい、中長期的に生き残っていくことは難しいだろう。
だからこそ、自分自身としっかり向き合い、キャリアを中長期的に描いていく必要がある。
特に20代は、キャリアの方向性を大きく決める重要な期間であるため、気を抜くことはできない。
豊かなキャリアを築くためには、30代だとキャリアの方向性を修正することは難しいため、20代のうちにキャリアプランやその方向性について真剣に向き合う必要があるだろう。
ただ、キャリアのルールや時代の流れを認知していない人が多い現状がある。
日本においては、小・中・高・大学全ての世代で、転職やキャリアに関して教えを受けることも、自ら学ぶ機会もほとんどないことが、理由として挙げられる。
また、就職活動においては、先輩などに就活に関する情報や知識などをインプットしてもらえるが、中長期的なキャリアについては全く教えてもらえない。
このような状態で、方向性を持たず、先を見据えることなしに転職をしてしまうことが、キャリアのミスマッチを生む最大の要因につながるわけだ。
例えば、「魅力的な企業ブランド」「大企業」といった周囲から羨ましく感じられるといった安易な理由だけで、転職の意思決定をしてしまう傾向も見られる。
結果として、キャリアが自分の目指す方向ではないところに向かってしまう可能性が生じているのだ。
この点は非常に大きなリスクになるため、エージェントを活用し、キャリア自体を考えた上で転職を決めていただきたい。
中長期的なキャリアを見据えた転職活動とは
具体的にどのように転職活動をしていけばよいのかというと、大前提として、単に求人だけを見て、「受ける」「受けない」の判断をしていくことは避けるべきだ。
ここでは、キャリアを見据えた転職活動について、踏み込んで解説していく。
自己分析
しっかりと自己分析をした上で、キャリア形成について考える必要があるだろう。また、自分の目指す姿を実現するために、どのようなスキルや経験が必要になるかを整理していかなければならない。
そのためには、転職における軸を定めていくことが大事だ。その軸は2つで、For You軸とFor Me軸がある。
For You軸
For You軸とは、人や社会、組織に対してどのような影響を与えていきたいかということだ。
自分自身を振り返ってみると、過去に組織やチームで価値を見出すことができたときに、やりがいと喜びを感じたことがあるかもしれない。
このような価値観があれば、同じような価値を体現できるような業界・企業に身をおいたほうがよい。
For ME軸
For ME軸は、自分自身がどのように成長していきたいのかという部分だ。
例えば、若手のうちにマネジメントに挑戦をしていきたいのか。
また、営業のみならず、マネジメントや企画職などに幅を広げて、多角的にキャリアパスを描いていきたいのかといった自身の成長フェーズを整理していく。
さらに、自身が将来どこに向かっていきたいのか、10~20年後に、どのような職位や立場で働きたいのか、そこに向かうために、どういった経験やスキルが必要かという観点で、業界・企業を選定していく必要がある。
ただし、これら全てを1人でやっていくことは難しいため、エージェントを利用するとよいだろう。
現職での経験や業務内容はもちろんのこと、過去の経験を踏まえて今後の目指す方向を一緒に話し合い、理想的なキャリアの方向性を描いていけるはずだ。
第二新卒キャリアの優位性について
次に第二新卒のキャリアについて考えていく。第二新卒者は、30代、40代と比較して、スキルや経験は不十分と言える。
ではなぜ企業側が第二新卒を採用するのか。その理由は、大きくわけて4つある。
育成コストがかからない
1つ目は、新卒よりも社会人としての基礎スキルが身についているため、育成コストがかからないことだ。
また、営業職の場合には、一般的な営業手法が身についているため、研修を行わなくても実務に入っていける。つまり、教育コストを抑えられるメリットがあるのだ。
会社になじみやすい
2つ目は、年齢が若いため、会社になじみやすい特徴を持っていることだ。
採用する側は、会社になじんで、社内でのコミュニケーションを大事にしてほしいと願っている。しかし、30〜40代では、個人の色が強くなってしまい、会社の色に染まることが難しくなってくる。
若いからこそ今後の成長を期待し、さらには会社に順応しやすいことで採用に踏み切ることができるのだ。
ポテンシャルが高い
3つ目は、ポテンシャルが高く将来性が期待できる点だ。20代の若手層だからこそ、会社をリードしていく人材になってほしいと考えている。
また、会社の育成によって十分な成長が見込める点も大きい。さらに、新卒採用で遅れた企業は、その部分を取り戻したいと考えている。
実は新卒時の採用だけでは、必ずしも会社が求めている人材が充足するわけではない。
現実問題として、内定を出しても実際には入社してもらえなかったというケースも存在する。
だからこそ、第二新卒で優秀な人材を集めたいという希望があるのだ。
今、将来について不安があり、転職を考えている場合、仕事においてやりがいを感じたいと願っている場合には、エージェントに相談してみるのもよいだろう。
単に転職をするという目的だけではなく、キャリアを見直す点からも、エージェントがあなたの力になってくれるはずだ。