寄稿エージェント:舩田 哲平
新卒時の就職活動では、第一志望に受かった人、残念ながら受からなかった人、またその当時は真剣に自分のキャリアを考えることができなかった人など様々な人がいるはずだ。
そのような現状から、「第二新卒」と呼ばれる新卒で入社し社会人経験が2~3年未満の若手ビジネスパーソンのなかにはキャリアを変えるため、もしくはリスタートするために転職を検討している方も多いかもしれない。
今回は、第二新卒と呼ばれる若手ビジネスパーソンの転職の可能性や、選考対策で押さえるべきポイントを紹介していく。
第二新卒における転職の可能性
まずは第二新卒における転職の可能性について、以下2つの観点から解説していきたい。
3年以内に離職する現状
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、現在、新規大卒就職者の31.2%は、就職後3年以内に離職するという。
過去のデータの推移を見ても、新規大卒就職者の就職後3年以内離職率は、約30%台前半となっている。
この数値からもわかるように、新卒で入社した人の約3人に1人が3年以内に転職しているのが現状だ。
第二新卒を企業が採用する訳
現代は社会構造が変化しており、組織変革に取り組む企業も多い。また、もともと新卒採用中心だった企業が、中途採用を強化する動きも活発だ。
なぜなら、これまでに社内いなかったタイプの人材や、社内に新しい風通しを求めている企業が増えているからだ。今までの新卒社員とは異なるタイプの人材を迎えることで、組織に刺激を与え、活性化したいと考えているのだ。
中途採用が活発とはいえ、若手の第二新卒の転職活動と、その他の3年以上経験を積んできた社会人との転職活動、ましてや新卒の就職活動とはそれぞれ求められていることが大きく異なってくるため、第二新卒の強みや弱み、転職市場での見られる観点を理解し、不利な点をカバーしていきながら転職活動を進めていくことが、成功の鍵となる。
第二新卒の転職のポイント
ここからは、第二新卒の転職活動の成功を高めるポイントについて整理していく。
第二新卒のメリット
第二新卒は、一度社会人としての経験を経ているため、まったく社会人経験がない新卒時よりも、自分の適性やスキルがある程度理解できているはずだ。
また自分のやりたいことが明確化され、自分の目指すべき業種、職種、企業が見つけやすくなっているというメリットもある。
すなわち、応募企業に対して、自分のやりたいことや目指したいキャリアビジョンを的確に伝えられるため、それらを実現できる可能性が新卒時よりも高まるだろう。
転職を成功させるための要件
繰り返しになるが、第二新卒者は一定の社会人経験を積み、目指すべきキャリアの方向性が明確化しやすい傾向にある。しかし当然ではあるが、自分がやりたいことや叶えたいことが明確になっていない人もいるだろう。
そのような人が次のキャリアを考えるにあたって大切になるのは、自分の強みや価値観を知り、それらに合った仕事を経験することだ。
自分の強みや価値観は、学生時代の経験や得意なことから見つけ出すことができる。例えば自身の部活動経験を振り返った際に、「自分のできることが日々増えていく状態にやりがいを感じていた」のか、「自分が成果を上げていく以上に、一緒に取り組んでいる仲間とチームとして成果を上げることにやりがいを感じていた」のかによって、目指すべき場所や個性が発揮できる環境はまったく異なってくる。
そのため、自分自身の過去を棚卸ししながら、自身のやりがいや価値観をしっかりと把握した上で、目指すべきキャリアの方向性を定めていく必要がある。
第二新卒が進めるべき選考対策
第二新卒が企業の選考を受ける場合には、具体的にどのようなことに注意をする必要があるのだろうか。
面接時に押さえておくべき二つの観点
第二新卒の面接においては、進むべき業界によって対策はもちろん異なるが、以下、2つの観点を押さえてほしい。
- 転職理由に妥当性があるのか
- 若手ならではの武器をアピールできるか
第二新卒者は企業側から見て、「採用しても早期に辞めてしまうのでは」という懸念を持たれてしまう場合もある。そのため、採用企業側が納得できるような、明確な転職理由を話すことが重要だ。
また、今までのやり方に固執せずに、新しい環境や考え方を受け入れて仕事を学ぼうとする柔軟さや、目標達成に向けた行動量などをアピールしていくべきだろう。
採用企業担当者が第二新卒のポテンシャルを判断する基準
次に採用企業担当者は、具体的にどのような話から、第二新卒転職希望者のポテンシャルの高さを判断するのかについて、説明していく。
主なポイントは、以下の2つに分類できるだろう。
- 仕事に対して熱意があるか
- 社会人としての成長具合はどうか
まずは「以前の勤務先よりも、熱意を持って仕事に取り組んでくれるのか」という部分が見られる。
そのためにも、今後成長したい方向性や、情熱、意欲をしっかりアピールする必要があるだろう。
また、第二新卒を採用する企業にとっての大きなメリットとしては、「社会人として最低限のスキル」を持ち合わせていることがあげられる。
そのため企業側からすれば、第二新卒者を採用すれば、社会人としての基本的スキルやマナーの教育に労力を注ぐ手間を減らせるメリットがあるわけだ。
もちろん、上記は一例ではあるが以上のような具体例を、面接で上手く伝えることができれば、ポテンシャルの高さを感じてもらうことができるだろう。
さらに、企業に対する理解と、なぜ挑戦したいかをしっかりと言語化し伝えることも重要だ。
特に転職先の業界に対する理解は、面接通過のためのみならず、入社後のギャップをなくすためにも欠かせない。
もし新卒時に、判断を誤って入社をしてしまったのであれば、その失敗をリカバリーできる可能性も出てくる。
現在、第二新卒の転職を検討中で不安がある場合には、本記事を参考にしつつ、状況に応じて転職エージェントに相談してみるのもよいだろう。