人材紹介業界が伸びている理由と、人材紹介業界でのキャリアについて

人材紹介業界が伸びている理由と、人材紹介業界でのキャリアについて

寄稿エージェント:小林 美優

近年、人材業界の中でも特に成長が著しいのが人材紹介業である。

人材紹介業とは、人材を採用したい企業と、就職や転職をしたい求職者の間に入り、双方のニーズを引き出しながらマッチングを行い採用へと導くサービスや事業のことを指す。

急激な業界の成長に伴って転職市場でのニーズも拡大しているとともに、業界に入ったあとのキャリアパスの幅が広いこともあり、転職活動において注目すべき業界の一つとなっている。

本記事では、そんな人材紹介業の業界の成長の背景や、人材紹介業での職種、キャリアパスについて解説していく。

人材紹介業が発展した背景

江戸時代から日本国内では、民間の事業者による職業紹介を自由に行うことができない状態だった。特に1919年には営利職業紹介の禁止が公的に制限されていたのだ。

その後、1999年の職業安定法改善により、民間事業者も人材紹介業を行えるようになった。つまり、日本の人材紹介業は、約20年の歴史ということになる。

なお、2008年のリーマンショックによって大きな打撃を受けながらも、2010年以降人材紹介の市場は急成長しており、今後も成長していくことが予想されている。

人材紹介業のマーケットが成長する要因としては、「終身雇用の崩壊」やメンバーシップ雇用から「ジョブ型雇用」への雇用形態の変化があげられる。

これらの結果として、個人個人が「自分に何ができるのか」という専門性を考える重要性が高まっているのだ。

従来では「転職=現職からの逃げ」などといったネガティブなイメージが浸透していたが、転職そのものに対して、専門性を高めるための転職や身につけた専門性を活かして、より高い年収を得るための転職などポジティブなイメージへと変わってきているのも人材紹介業が伸びている理由だろう。 

人材紹介業の役割と適正

人材紹介業の職務は、「リクルーティングアドバイザー(RA)」「キャリアアドバイザー(CA)」の大きく2つに分けられる。

 リクルーティングアドバイザー(RA)

リクルーティングアドバイザーは、人材紹介業の営業職にあたり、クライアント企業の採用をサポートする。

仕事内容は新規クライアントの開拓と、既存のクライアントに対するサポートの2種類がある。

既存のクライアントサポートは、課題を持つクライアント企業に対して人材を紹介したり、採用活動の提案を行ったりするのが主な業務だ。

また、求める人材を採用まで導くために、クライアントが抱える悩みや課題をヒアリングし、会社や仕事の魅力を最大限に伝える求人票やメディアの求人原稿も作成していく。

そのため、リクルーティングアドバイザーには、企業側の適切なニーズや課題を汲み取った上で、適切なコンサルティングとアドバイスによって採用を成功に導く役割がある。

よって、コミュニケーション能力や、契約につなげる交渉力が鍵をにぎるだろう。

さらに、相手に認められなければ契約を取れず、アドバイスなども聞いてもらえないため、企業経営者や人事担当者と信頼関係を築く力も求められる。

キャリアアドバイザー(CA)

キャリアアドバイザーは、リクルーティングアドバイザーが、企業からヒアリングで得た情報をもとに、マッチングした求職者へアプローチするのが主な業務だ。

また、求職者への求人情報の提供、履歴書や職務経歴書の書き方を指導し、面接日程のセッティング、条件の交渉などの業務も行う。

また、「この人に自分のキャリアを任せよう」と思ってもらう必要があるため、コミュニケーション能力に長けていることが求められる。

さらに、親身な姿勢と真の実力を兼ね備えている必要があり、さまざまな業界や企業、職種のビジネスモデルについて、常に学び続けなければならない。

これらの理由から、知的好奇心が旺盛で勉強熱心であることも重要である。当然採用を成功させるためには、リクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーの連携が必須となってくる。

人材紹介業におけるキャリアパス

人材紹介業は、企業の採用サポートや個人のキャリア支援など決まった答えがない領域であり、重要な課題に対して提案をする仕事であるため、レベルの高い提案営業力を身につけることができる。

そのため、人材紹介業で実力をつけた後のキャリアパスは、豊富な選択肢から選べるだろう。 

人事

キャリアアドバイザー(CA)は、求職者と良質な関係を構築するために、希望を踏まえた上で候補企業を提案する力や、企業の魅力を十分に伝える訴求力を身につけられる。

また、リクルーティングアドバイザー(RA)は、企業の採用設計のプロセスについて知見を得ることが可能だ。

そのため、CAとRAの両方を経験した後に、人事としてのキャリアを積む人も多い。

フリーランス

個人としての高い実力や実績を身につけた上で、さらに企業や求職者のネットワークを拡充し、そのつながりを活かして採用代行や人材紹介として独立することが可能だ。

今後は、より自由な働き方や年収アップを目的として、独立またはフリーランスになる人も増加するだろう。

セールススペシャリスト

人材紹介業は、無形商材であるがゆえに、商材に依存しない営業を展開しやすく、かつ、課題やニーズのさまざまな顧客層にも対応可能だ。

よって、汎用的なセールススキルを取得できるため、他業界のセールスとしても活躍が見込めるだろう。

特にリクルーティングアドバイザー(RA)は、経営者と深く関わる機会も多いため、法人営業として重宝されるなど、セールススペシャリストとして活躍できる。

事業開発

成長市場であることに加え、特定のプロダクトを必要とせずに事業展開が可能であるため、他業界と比較しても事業開発としてのキャリアに到達しやすい。
また、社内での新規事業立ち上げなどの経験を積める機会も多いのも特徴である。

このように、人材紹介業からのキャリアパスは多様なものである。
だからこそ、人材紹介企業でどのような経験、スキルを身に付けていきたいかをよく検討したうえで、本記事を人材紹介業界でのキャリアの参考としていただきたい。