寄稿エージェント: 杉江 佳純
昨今、未経験からコンサルティングファームにチャレンジする若手が増えている。また、実際に事業会社においてコンサルタントの仕事を見ることや、友人・知人から話を聞くことも多いはずだ。
しかし、どのような価値観で仕事をしているのかまでは、イメージがつかない人が多いかもしれない。
さらに、自身の価値観に照らし合わせた際に、そもそもコンサルティングファームに合っているのかどうかの判断が難しい場合もあるだろう。
そこで、具体的な価値観にスポットを当てて、コンサルタントを目指す上で鍵となってくる3つの価値観を紹介していく。
ぜひコンサルタントへのキャリアが自分に合っているのか検討するための参考にしていただきたい。
顧客志向
コンサルティングファームへの就職・転職を希望する人のなかには、自己成長を目的として志望する方も多く見られる。
もちろん自己成長を叶えることができる環境ではあるが、その考え方は完全に正解とはいえない。そもそもの自身の成長という前に、必要となってくるのが、顧客志向なのだ。
顧客志向とは一般的に、自社のニーズや利益よりも、顧客のニーズや利益を最優先するという考え方である。
現在、日本だけでなく、海外にある法人企業もさまざまな課題を抱えている。
例えば、中長期的な戦略というような抽象的なものから、組織・人事制度、既存システムを変革していこうと考える具体性の高い経営課題まで山積み状態だ。
また、その課題は、日々変化し続けるものでもある。コンサルタントは、このような多種多様なクライアントの課題や、市場のトレンドなどを的確に捉えた上で、クライアントを支援していかなければならない。
さらに、数字に強くなくては務まらないのがコンサルタントという職業だ。いわゆる「計数感覚」、要するに企業活動と数字の関係性を理解できる力が求められる。
だからこそ、コンサルタント自身が市場のトレンドや、ソリューションの知識などを吸収しながら、日々成長し続けることが必須なのだ。
よって、クライアントの力になるために自分自身の成長が必要というスタンスや価値観を持ち合わせていて、かつ相手のためになりたいという想いを持っている人がコンサルタントに向いている。
つまり、クライアントに対して価値を発揮できたときに、一番の喜びを感じる。こういった価値観がコンサルタントには必要なのだ。
主体性(当事者意識)
コンサルタントに必要なものとして挙げられる2つ目の価値観が、主体性(当事者意識)だ。
コンサルタントは、クライアントの事業を成功に導くために、クライアント以上に主体的、かつ当事者意識を持ちながら支援していかなければならない。
なぜなら、クライアントは高い報酬をコンサルティングファームに払いながら、コンサルタントに大きな期待を寄せているからだ。
そのため、その報酬に見合った、あるいは報酬を超えるようなバリューを提供する必要がある。
よって、これまでのコンサルタントとしての経験や、前職での経験だけで、すべて解決するほど甘くはない。
この瞬間に必要なもの、また、2〜3ヵ月先やプロジェクトの終わりを見据えた上で、クライアントの期待を超えられるバリューをしっかりと提供していく必要がある。
こういった意味でも、クライアント以上に責任感と当事者意識を持って業務を遂行できる人が、コンサルタントに向いているといえるだろう。
スピード重視
コンサルティングファームに向いている人の特徴といえる3つ目が、スピード感を持って仕事に取り組めることだ。
なぜなら、クライアントの課題を解決するために当事者意識を持ち、業界のトレンドや知識をインプット、そしてアウトプットするサイクルを素早く回していくことが、コンサルティング業界のもう一つの特徴であるからだ。
例えば、コンサルタントとして転職後1年までの期間は、リサーチ力やドキュメンテーション力が徹底的に求められてくる。
具体的にはWord やExcel、 PowerPointを使いこなしながら、的確かつ正確なアウトプットで成果物をクライアントに提出する。
よって、知識のインプットだけが好きなだけでは、コンサルタント業界ではやってはいけない。
市場のトレンドなどをインプットして理解した上で、それをもとに、具体的な戦略や施策にまで落とし込む段階までできてこそ、顧客の事業を成功に導くことが可能になるからだ。
そのため、スピード感を持ってインプットとアウトプットのサイクルを回していきたいと考えている方にとっても、コンサルティングファームというのは魅力的な選択肢になるだろう。
以上、3つの価値観を説明してきた。
コンサルティングファームでのキャリアは、プレッシャーや緊張感もありながら、同時に達成感ややりがいも大きいものである。
ぜひ、今回の記事がコンサルティングファームでのキャリアを描く一助になれば幸いである。