販売・サービス職から転職を成功させるポイントと面接対策

販売・サービス職から転職を成功させるポイントと面接対策

寄稿エージェント:小林 美優

販売職は主に実店舗で有形商材を販売する仕事である。それゆえ、消費者購買行動がWeb中心となった現代では、将来に不安を抱き転職を検討中の方も多い傾向だ。

なかでも、販売・サービス職からの転職でよく候補に挙げられるのは「マーケティング職」「企画職」「事務職」「営業職」などである。

しかし、マーケティング職や企画職は中途採用の場合、高いスキルが求められるため未経験からの挑戦は難しい職種といえる。

そのため一足飛びに移るのではなく、営業職を経由するなど、キャリアを段階的に考える必要がある。

今回は現実的な転職として、選択肢に挙げられる事務職と営業職について、転職の可能性や転職のポイント、意識すべき面接対策についてご紹介したい。

事務・営業職への転職可能性と傾向について

まずは、販売・サービス職から事務職、営業職へ転職する場合の可能性と傾向について話していきたい。

事務職への転職

事務職は、販売・サービス職が転職先の候補として挙げることの多い職種である。

特別なスキルを必要とせず、未経験からの転職においても比較的ハードルが低いため、選択肢の候補としてあがりやすいのだ。

しかし、事務職については近年バックオフィス業務のDX化と、人事労務管理システムや請求書管理システムなどSaaSの導入が進んでおり、専門人材の確保と共に希望者数と比較した募集枠が少ないのが現状だ。

さらに、正社員ではなく契約社員や派遣社員としての採用が多いのも特徴だろう。

ITでは代替えできない一部の仕事を中心に、事務職の需要は一定に確保されると予想できるものの、今後も企業のIT化・AI化が進むなかで事務職の将来性はあまり期待できない。

つまり、自身のキャリアを中長期的に考え慎重に選択する必要がある。

 営業職への転職

営業職は比較的求人が多く、未経験でも採用されやすい職種である。また、サービス業と同様に人と接する仕事でもある。

そのため、販売・接客業で培ったコミュニケーション力や傾聴力、クレームに対する忍耐力などを活かし、キャリアチェンジすることも可能だろう。

また、営業職に挑戦することで生涯年収アップや不規則なシフト勤務からの脱却が期待できる。

ただし、一括りに営業職と言っても、どの業界に進むかによって将来性やビジネスモデル、身につくスキルは多種多様だ。

よって、自身の価値観やキャリアプランをもとに、業界選びは慎重に行う必要がある。営業職への転職難易度は、決して低いわけではないので、しっかりと転職するための急所を押さえる必要があるだろう。

転職の成功確率を上げるために

転職の成功確率を上げるためには、ずばり、ポテンシャルを評価してくれるうちに転職することが重要だ。

というのも、販売・サービス職から営業職にチャレンジする場合は、これまでの傾向から他業界への営業職に転身となるケースが多い。

つまり、業界や業種のどちらかを変えキャリアチェンジするよりも、ポテンシャル要素の多い挑戦となるのは間違いないだろう。

特に年齢を重ねるにつれて、企業は即戦力となるメンバーを求めるため、できるだけポテンシャルを評価してもらえる早いうちに挑戦することをおすすめしたい。

また、余談ではあるが、販売職と営業職との差分を理解しておくことも、業界理解を深め戦力として活躍するためには重要だ。

具体的には、販売や接客業の場合、来店したお客様に対するサービスやおもてなしが主な業務となる。

もちろん、店長や副店長など一部売り上げの管理を担う役職もあるが、そのほとんどは売り上げなどの数値を個人単位の目標としては扱わないだろう。

一方、営業職はというと毎月の売り上げ管理など個人の目標設定はもちろん、新規開拓のため能動的に顧客にアプローチする行動力が求められる。

このような背景から、販売やサービス職が営業職へ転職する場合、顧客思考やコミュニケーション力は一定の評価を得る反面、目標から逆算した営業プロセスの構築や能動的な顧客獲得については、弱点になりやすい。

いかに転職選考時に弱点を克服した対策を打ち出せるかが鍵になるだろう。

販売・サービス職の面接対策 

販売やサービス職の面接においては、進む業界の営業スタイルによって対策は異なるが、以下3つの観点を押さえてほしい。

  • 自ら顧客を獲得する馬力があるか
  • 目標から逆算した営業プロセスの構築ができるか
  • 個人に課される数字目標を追っていく素質や志向性があるか

営業経験者であれば、これまでの営業経験をもとに、具体的なエピソードベースでアピールすることができるが、販売・サービス職からの転職となると、業務内容が大きく異なるため、これまでにやってきた業務の親和性で勝負することは難しい。

では、面接における人事担当者は具体的にどのような話から、転職希望者のポテンシャルの高さを判断するのかについて、例を挙げていきたい。

  • 現職において、課題に対して自ら考え能動的に行動した経験
  • 何かしらの目標のためにやるべきことを明確にし、粘り強く努力した経験
  • 実力主義な環境で成果を出すために工夫して取り組んだ経験
  • 数字を追う、より実力主義な環境に挑戦し成長していきたいという強い意思

上記は一例だが、このような話を面接で上手く伝えることができれば、営業におけるポテンシャルの高さを感じてもらうことができるだろう。

また、営業職に対する理解と、そのうえでなぜ営業職に挑戦したいかを言語化し伝えることも重要である。

特にこれから歩む業界の営業職に対する理解は、面接通過のためのみならず、入社後のギャップをなくすためにも欠かせない。

現在、販売・サービス職から営業職への転職を検討中の方は、本記事が参考になれば幸いである。