寄稿エージェント:金谷 美恵子
一般的な言葉となったHRTechだが、その領域は人事評価・採用・人員配置など多岐にわたる。今回は現状のHRTechの普及状況と今後についてご紹介したい。
人材業界の技術活用は次のステージへ
HRTechと言う響きが普及する一方、まだまだ人材業界の技術活用は遅れている印象がある。これは業界の特徴として、非常に「人」に近いビジネスであるからだと考えている。
タレントマネジメントや、リクルーティングといった領域においては、人の感情や偶然も絡んでいるため、明確な結果をコミットしたり、価値を実感したりすることがなかなか難しい。
だからこそ人事評価システムがない会社が簡単に評価システムを導入できるHRBrainや、労務手続の工数を削減できる人事労務freeeなどのわかりやすい訴求を持つサービスが先んじている。
実際には、それぞれの人材の適性や経験を科学的に分析することで、より個人や組織としてのパフォーマンスを上げる事は可能であると考えられている。
実際にリクルートなどは適正診断の結果をうまく人員配置に活用しており、本アプリである『VIEW』もその可能性を信じて開発されてきた経緯がある。
AIによる分析精度の向上が進み、人材業界での技術活用が一般的になるにつれ、技術の活用範囲も広がりを見せていくと予想される。
実際にソフトバンクでは、書類選考をAIによって行うなど、採用や人員配置に関するテクノロジーの導入例も増えてきている。
転職者の方の相談に乗っていても、より前向きに力を発揮する組織や人を作っていくことに関心を持っている方も多く、今後のタレントマネジメントやリクルーティングでの技術活用には注目していきたい。
組織・人事の専門家を目指すあなたに
これからの時代を見据えた上で、タレントマネジメント等の「人」を軸とした領域に興味がある方が歩むべきキャリアについても考えたい。
本アプリを活用している20代-30代の方を想定すると、今後3年から5年の間で、2つの力をつける必要があると考えている。
1つ目は組織や人事に関する理解を得ることである。これは人材のRAやCA、事業会社の人事等を経験する中で深めていくことができる。
採用マーケットの動向や、人事・組織観点での課題感など現場で経験することにより、求められている組織の機能やその実現方法、または採用戦略等について地に足をつけて考えることができる。
2つ目は技術に対する理解である。
人への理解が深まるだけでは、今後の組織人事を担っていく人材とは言い難い。
自身で開発ができるまでの必要はないが、どのように技術が使われていて、どのようなメリットを生み出し得るのかという事は理解していきたい。
そのための有効なアプローチは、単に「人」の力でビジネスをしているだけではない、技術を活用する姿勢のある会社で働くことである。
この観点では、必ずしもHRTechこだわる必要はなく、既存の仕組みややり方を技術で描いているFinTechやPropTech(不動産Tech)の企業で働くことも有効なオプションである。
技術への距離を近くすることで、将来のタレントマネジメントを担える人材としてのキャリアを作っていくのも良いだろう。