寄稿エージェント:安達 飛希
2019年にSaaSスタートアップは大きな躍進を遂げ、このトレンドは2020年も続くと考えられている。今回はその注目されているSaaS企業の未来について考えていきたい。
SaaSの本質とは?
テクノロジーへの馴染みがない方には、
「SaaSやPaaSは聞いた事はあるが、いまいちよくわからない」
という方も多いと思う。
簡単に言ってしまえば、
契約さえすれば社内でシステム開発をすることなく、機能を利用できるもの、と考えていただけるとわかりやすい。
例えば、Sansanを契約すれば、社内で名刺管理システムを開発することなく、「名刺管理機能」を利用できるといったようにである。
よって、SaaSの本質とは、SaaS企業が作った機能をいろいろな企業に配布すると言う見方をすることができる。
直近のSaaSスタートアップの業績を見ると明らかだが、この形態では、大手企業から高額の売上を作ると言うよりは、中小も含めていかに広く普及させるのか、ということが重要になる。マネタイズもサブスクリプションであり、少額の月額課金と言う性質が強い。
こう言った背景の中で、SaaSが台頭した初期では、社内の仕組みが弱いor無い企業に一定のクオリティーの仕組みを導入するといった傾向があった。
・名刺管理の仕組み→Sansan
・人事評価の仕組み→HRBrain
・マーケティング管理の仕組み→フロムスクラッチ
といった具合だ。
大企業はこのような仕組みを既に持っていることが多いが、中小企業では月額数万円である程度の仕組みを手に入れられるため、導入メリットが高くなりやすく、タクシー広告などを活用しながらシェアを広めて成長を実現している。
2020年以降のSaaSの進化を考えると、それはデータ活用や投資力の向上による仕組みのアップデートである。
名刺管理やMA(マーケティングオートメーション)の領域では想像にたやすいが、最初は単に管理するだけ、KPIを簡単に見られるだけといった状態から様々な企業の利用データを集め、手に入れた資金でサービス改善を行うことによって、より優れた仕組みに進化させることができると考えられる。
導入した企業により高い利益を生み出せるようになると、当然単価も上がってくる上に、既に仕組みがある大企業相手にも導入メリットが出てくるかもしれない。
様々な企業の名刺管理、マーケ管理を一手に担う中で、その専門家として優れたノウハウを提供できるようになっていく。
2020年以降のSaaS企業のキーワードは「提供価値の進化」であり、今後も益々存在感を増していくと考えられている。
SaaS企業で求められる人材とは?
SaaSはその本質を考えると、どうしても顧客企業との間にリテラシーの差が生まれる。
例えば、マーケティングノウハウがない企業に対してマーケティングオートメーションを投入するといった形になるからだ。
だからこそ、サービスの実用性と価値をきちんと伝え、活用方法まで提案できるような営業スタイルを持つ人材が求められる。
また、まだまだ普及段階にあるSaaSの状態を考えると新規営業の経験がある人材も歓迎される傾向にあり、開拓力と提案力がキーワードになっている。
開拓後のフォローアップも重要であり、月額課金だからこそ、クライアントの活用を促し、価値に結びつけていくカスタマーサクセスの採用も積極的だ。
近年でSaaSスタートアップの人気は高まっており、経験できる幅の広さから個人的にもオススメできるキャリアである。
今後AI活用やデータ活用でより優れたサービスが登場していく中で、サービス提供主とクライアントのリテラシー差は更に大きくなると予想される。ニーズとソリューションへの深い理解に基づき、提案ができるセールス人材の市場価値は、高まっていくだろう。
企業成長をリードする人材になりたい、セールスとしての市場価値を高めていきたいという方は、ぜひ選択肢の一つとして考えるのが良いだろう。