インサイドセールスとは、メールや電話、Web会議ツールを用いて見込み顧客に非対面で行う営業活動のことである。内勤型営業とも呼ばれており、受注から商談まで担うケースもあれば、アポイントの獲得をミッションに掲げるケースもあり、対応範囲は企業によってまちまちだ。
本記事では、重要性が増すインサイドセールスの将来性に焦点を当て、今後の見通しを考察していきたい。
フィールドセールス(外勤営業)との違い
インサイドセールスを理解する上では、従来型の営業活動であるフィールドセールス(外勤営業)との違いについて把握しておきたい。
まず従来型であるフィールドセールスは、一人の営業担当者が見込顧客のターゲット選定からリード獲得、アプローチ、アポイント獲得、商談、契約まで一貫して対応するのが特徴だ。
しかし、近年では、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」に分け、アプローチする「The Model」が注目を浴びている。
営業プロセスを分業によって効率化し、各段階において見込み顧客の「母数」「成功率」「ゴール」を数値化するというものだ。
例えば、マーケティングプロセスにおいて、来訪者数と獲得率から算出される見込み顧客数を最大化することで、次のインサイドセールスの案件獲得数にも、大きな影響を与える。
このように、営業プロセスを分業化することで、各段階における数値を最適化でき、昨今導入が加速するSFA(営業支援システム)とも相性がよい。つまり、インサイドセールスは、営業効率を高め、各数値を最大化するための手段の1つである。
インサイドセールスの重要性が増す理由
ここ数十年の間に、実店舗中心から、オンライン型へと消費者購買行動が変化したことにより、実店舗のみならず、自社サイトやECサイト、SNSなど顧客とのタッチポイントが増加した。
当然、タッチポイントごとに数値を把握しなければならず、営業担当者の業務負担も増え、営業効率が悪化してしまったのだ。
そこで注目を浴びたのが「オムニチャネル化」である。企業と顧客のタッチポイントを全て統合するMA(マーケティングオートメーション)ツールなどの登場によって、SFA(営業支援システム)とシームレスに連携できる。
その結果、マーケティングからカスタマーサクセスに至るまで、各営業プロセスのデータを可視化でき、精緻な営業活動が可能になった。
顧客とのタッチポイントが増加した現在、従来型の営業では効率は悪いが、インサイドセールスを導入することで、オムニチャネル化との相乗効果も発揮できるのだ。
またタッチポイント増加の背景には、新型コロナウイルス感染症や働き方改革による行動変容も挙げられる。つまり、インサイドセールスは、現代のライフスタイルに適した営業活動であり、今後も需要は増すだろう。
インサイドセールスのキャリアパス
インサイドセールスは、営業プロセスの一部であることから、マーケティングやフィールドセールス、カスタマーサクセスなど前工程や後工程へのキャリアを築くこともできる。
またインサイドセールス部門のマネジャーとして、部下の育成や業務プロセスの改善に努めるのもキャリアパスの1つだろう。インサイドセールスで培った顧客から潜在ニーズを引き出すスキルは、Webマーケティング職へも相性がよい。
その他、ITコンサルタントへのキャリアパスなど、選択肢は豊富である。
本記事では、インサイドセールスとフィールドセールスの違い、現代において重要性が増す理由について言及した。顧客とのタッチポイントが増加し、営業やマーケティングなどの垣根を超え、シームレスな連携が必要な今、インサイドセールスの需要は増し続けている。
インサイドセールスのみならず、マーケティングやフィールドセールスなど、幅広いスキルを習得し、キャリアパスを模索していただきたい。