寄稿エージェント:石井 秀平
不動産市場は国内でも屈指の市場規模を誇ることもあり、技術的な革新が注目される。実際にAIやVRによる変革を主導するような企業も生まれており、今回は不動産業界の今後の革新を考えていく。
AI・VRへの注目が高まる
非対面での重要事項説明等、国と連携しながら従来のやり方を変えていくという動きも見られているが、今後特にキーワードになるのがAIとVRである。
アメリカではAIによる買い手と売り手のマッチングプラットフォームが注目を集めており、今後の取引のデファクトになっていくと考えられている。
また国内でもVRによる体験は一般化してきており、中期的には、一般の賃貸に対してもVR内見が基本となることが予想される。
音声認識や、自然言語処理などの基本技術にあたるAI研究はGAFAを中心に進んでおり、APIを介して多くの企業が使えるようになっている。
今後それらの技術を使いながら、不動産業界に特化したAIが開発されていく中で、従来のやり方とは大きく異なるようなサービスが期待される。
AIを正しく理解する
漠然とAIと言う言葉がトレンドになっているが、実際にできることの把握をしていくことで今後どのような動きが起きるのかを考えることができる。
AIができることは、精度は不十分とは言え人間の代わりに何かの活動をするという定義ができる。
自然言語処理は人に代わって自然な言葉を理解することを意味しており、画像処理技術は人の代わりにものを見て判断するということを意味している。
そのため今後不動産に機能を特化したAIが開発されることによって、人の代わりに何かをしたり、より高い精度で代替したりといったことが可能になる。
例えば、重要事項の説明などは、現段階の記述でも読み上げることが十分に可能であり、将来的には質問も含めて対応することが可能になると思われる。
また実際にGA technologies社などが開発しているが、仕入れ活動をより精度高くAIによって代替するという取り組みも行われている。
そのため大きなトレンドとして、省力化の方向に進んだり、やや不透明な側面もある不動産業界の取引が適正化、高精度化されたりということが想定される。
不動産業界におけるAI変革とは
AIやVRを活用したサービスの台頭によって、より消費者や不動産関係者の時間を消費することなく取引を成立させることができるようになってくる。
鍵の受け渡しや掲載写真の撮影など、非効率ながら業界に根付いている仕事の仕方は大きく変わることが想定され、より少ない時間で取引が成立するようになってくる。
IoTなどによるスマートホーム化が進むと、より消費者の生活自体も変わることになるが、3~4年スパンで見るのであれば、不動産関係者の仕事の仕方や取引方法などが大きく変わっていくことが想定される。
だからこそ人に寄り添って意思決定をサポートすることを磨いたり、そもそもAIサービスやVRサービスなどの提供側に不動産知見を活かしたりといったキャリア形成も検討する必要がある。
これからの時代の変化を考えたときに、5~10年前のキャリアとは同じ作り方をすることを前提とせずに、柔軟な考えのもと、ご自身のやりたいキャリアに向かって進んでいただけると嬉しい限りである。