寄稿エージェント: 福田 尚記
事業運営を行う上で、今でも重要な概念として用いられているアメーバ経営。京セラ、KDDIを創業した稲盛氏が得意とした手法であり、ビジネスを成立させる上での基本的かつ重要な理論を今回はご紹介していきたい。
事業運営の基本は商売
アメーバ経営の内容を触れる前に稲盛氏が大事にしていた商売の基本的な考え方を知っておきたい。
売上は最大、経費は最小
この原則は、事業運営する上で様々な要素を検討しているうちに、つい見落としてしまいがちな概念であるが、どの事業にも共通する重要な考え方として認識を揃えておきたい。
目の前の工夫や努力によって、売上の最大化や経費の最小化は常に改善の余地があり、それを捉えるための手法としてアメーバ経営という方法が存在している。
稲盛和夫氏の教えとは
アメーバ経営の基本は各組織をアメーバ単位に分割し、その1単位で黒字、利益の最大化を実現するというものである。
この時どの単位に分割するのか、それぞれの単位の利益の算出式をどうするのかといった管理会計観点での細かい課題はあるものの、1単位あたりで利益を最大とする、1単位あたりでの赤字を許容しないという考え方をベースとしておさえておきたい。
日本航空の再建に取り組んだ際には、紙コップの原価まで現場に浸透させるという徹底ぶりを見せており、飛行機一便あたりの収支をリアルタイムに出せる仕組みを整えていった。
アメーバ経営は基礎理論となり得る
特にスタートアップでは、管理会計の重要性やKPI管理が浸透していない企業も多いが、事業としての収益性を高めていく上で、アメーバ経営は基礎的な考え方になる。
それぞれの単位が明確な収支を意識することによって、現場での改善が正しい方向に向かうとともに「売上は最大、経費は最小」というコンセプトが実現される。
今回は、管理会計の祖とも言える アメーバ経営についてご紹介をした。日頃の事業企画や事業運営における改善を進める手がかりとして、ぜひ稲盛氏の書籍もご覧いただくことをオススメしたい。