新卒で三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社し、その後にPwCを経て現在も別のコンサルティングファームにてコンサルタントとして活躍される竹内さん。
彼女は『無敵になりたい』と言うが、なぜ『無敵』になりたいのか。そもそも『無敵』とは何を意味するのか、伺ってきました。
――――自己紹介をお願いします
竹内 里香と申します。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券をファーストキャリアとして、その後コンサルティングファームであるPwCに入社し、現在は別のコンサルティングファームでコンサルタントとして働いています。
――――現職の業務内容を教えて下さい
簡単にお伝えすると、企業のITコストの妥当性を評価しています。
クライアントに価格の妥当性をお伝えした上でベンダーとの交渉戦略などを共に考え、コスト削減やベンダーマネジメントなどのサポートをしているという感じです。
私は金融業界のクライアントをメインに担当しており、カウンターパートはシステム企画部等、情報子会社や予算の管理をしている部署の方になります。
――――ファーストキャリアに三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選んだ理由を教えて下さい
正直な所、私が行きたいと思える会社の中でそこしか内定が出なかったからです。
行きたいと思える会社というのは、4つの軸で考えていました。潰れなさそうで、世の中になくてはならない商材を扱っていて、あとは海外に行ける可能性があり、最後に年収待遇が良い、という軸です。
当時は外資系金融機関に対しては何となく怖いイメージを持っていたので1社も受けておらず、日系の銀行や保険、証券会社などをメインに受けていました。
――――なぜ金融業界をメインで受けていたのでしょうか?
当時の私は社会のことを知らず、どの業界のどの企業に就業すべきか検討もつかなかったので、ひとまず金融機関はなくならないだろう、という自分の直感に頼ったのが正直な所ですが、周囲の友人の多くが金融業界を志望していて、かつ私の姉も金融機関勤務であったことも大きく影響しています。
当時の自分は、意識を高く持って就職活動をしたいけど、なんとなくの雰囲気で就職活動をしてしまっている就活生でした。
あとは、私の両親が公務員なので『会社の選び方』に関する話を聞けなかったというのはあります。一度親に相談したら『僕やったら喫茶店やるけどなあ~』なんてのんきなことを言われ、『真剣に考えてよ!』と思ったのも今となっては良い思い出です(笑)
がむしゃらに努力した先に…
――――入社してみていかがでしたか?
いわゆるリテール営業をやっていたのですが、『この生活なら私でも生きていけそう』、『働くということでお金を頂けるのだな』、という事は分かりましたね。
当時、私は就職活動を失敗してしまったという認識が強かったので、仕事を楽しむというよりは本気で働いて次のキャリアを考えなければならない、という気持ちが強く、『良い成績を取らないと人生終わる…』くらいに考えていました。
毎朝9時の「寄り付きー!!」という営業マンたちによる掛け声から業務が始まり、一日150コールを超えるテレアポや自転車で駆け回るお客様への訪問、ビラ配りにお手紙の送付など…とにかくがむしゃらにやり切りました。
なぜなら、成績を取れなければ今後のキャリアが上手くいかなくなるだろうと考えていたからです。『なにがなんでも成績を残す』という強い気持ちで頑張りました。その結果、同期約120人の中で2番目の営業成績を獲ることが出来ました。
努力が実ったことは純粋に嬉しかったのですが、本当にこの環境で頑張り続けるのかを考えるようになりました。疲弊してしまって、お客様先に向かう高速道路でハンドルをにぎったまま意識が朦朧とすることもありましたから…。
ですので、営業ではない仕事に移ろうと考え、会社に異動希望を提出しました。
異動先のポジションは営業企画職でした。とても落ち着いた職場環境で、素晴らしい上司にも巡り合えました。
業務内容としては、ネットの口座を保有するお客様へのキャンペーンの企画・立案・推進や、コールセンター勤務のオペレーター100人のモチベーションマネジメントを行い、顧客活性化のための施策立案と実行を担当しました。
――――その後、転職されたのですね
そうですね。
異動先では営業企画のスキルが全くない中で企画を担当させてもらったことに感謝しているのですが、もう少しスキルや知識を身に着けてからやった方が良いのではという気持ちが湧いてきました。
また、働く『場所・環境』も漠然と違うと感じ始めていました。そのような状況下で、異動先の部署は割と早く退勤出来る環境でしたので転職活動を始めました。
会社選びの軸としては、『今日も仕事をしたい!』と思う人たちが集まっていて、服装等、仕事の成果とは関係のないルールに縛られることなく、多様性を受け入れてくれて、良いものはどんどん取り入れるような文化のある会社が良いと考えていました。
PwCなら希望を叶えられるかもしれない
――――その中でなぜ転職先にPwCを選ばれたのでしょうか?
PwCと出会ったのは偶然だったんです。
転職エージェントの方とお会いする約束をしていて先方のオフィスで待っていたら、突然そのエージェントから「今PwCのパートナー2人とディレクターが来ている。面接予定だった方が10分程度遅れるとのことなので少し会ってみないか?」と言われたんです。
学生の時からPwCには憧れていたので、お会いしてみたんです。お話してみると、当時在籍していた三菱UFJモルガン・スタンレー証券とは全然違う雰囲気を感じました。
パートナーというと役員のような上の役職なのに、とてもフレンドリーで、上から目線ではなくて同じ目線で物事を考えてくれて…この会社良いかもと感じたんです。
その後も面接でPwCの方々とお話して、計9名の方とお会いしました。その結果『ここだったら希望を叶えられるかもしれない』と感じて入社を決めました。
――――PwCではどのような業務を担当されていたのでしょうか?
金融業界のクライアントに対するシステム構築・導入プロジェクトを担当しました。
例えば基本設計書を何百ページも読んで、システム担当者としてそれをレビューするという仕事も担当していました。
インフラ、アプリ、サーバーやネットワーク…金融業界から転職し、いきなり「君にはシステム側を担当してもらうよ」とプロジェクトマネージャーに言われましたが、当時の自分では理解が出来ず、先輩の手を借りながら何とかやっていました。
最初にアサインされたプロジェクトが最後の案件となったのですが、クライアント先にお借りしているPwC用の部屋にコンサルタント12人が缶詰になって、私はそこで1年半働きました。
先程お伝えした通り、分からない事だらけで凄く苦しかったのですが、当時は『これも修行』と考えスキルを得るためにがむしゃらに働きました。
コンサルタントに求められる能力として、例えば専門用語だらけの大量の資料を短時間で読んで、大まかに何を言っているのか把握する能力もあります。
ですので、担当していた基本設計書レビューも、これくらいできないとこの先もっと大変になるよと自分に言い聞かせて取り組みました。
実際この時の経験は今の会社で活きていると感じています。
――――そのような成長出来る環境の中でなぜ転職に至ったのか経緯を教えて下さい
転職を考え始めたきっかけというのは、入社前に認識していた事と違う点がいくつかあったからですね。
例えば、同時に2、3個の案件を担当し、グローバルな環境下で働くことを想像していたのですが、実際は全員日本人のチームで、クライアントも古き良き日系企業。そこで1年半の間1つのプロジェクトを全うすることになりました。
コンサルタントとしては経験したプロジェクトの数もキャリア上重要なので、そのプロジェクトが終わりに近づいたとき、次のプロジェクトでも長期間のアサインになったらどうしようと思い、キャリアアップの為にも転職したほうが良いのかなと考えるようにもなりました。
あとは、転職のことを考え始めた時に、以前からお付き合いがあった現職の会社でリクルーター(採用担当)をやっている女性から『当社の話も聞いてみないか』といったようなお話を頂いたんです。
カジュアル面談ということで、マネジメントヴァイスプレジデントの方とお会いし、その雰囲気が良かったので面接に進み、コンサルティング部門トップの方を含む何名かの方とお話する機会を頂きました。
20代から60代近くまで様々な立場の方々が、それぞれリラックスした様子でありながらも、バリバリとスマートに働き、無駄も無く、質の高い議論をされている雰囲気を感じ…そんな現職の会社の雰囲気が好きになり、考えた末転職を決めました。
――――今振り返ってみて、これまでの経験は活きていますか?
活きていると思います。
例えば、目の前の仕事をしっかりとやり切るスキルは活きていますね。
一社目(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の時で言えば、毎月の収益目標が設定されていたので、何としてでもそれを達成して数字で成果を見せようとしていました。その過程で数字を出すために、いかに業務を効率化出来るかを考えるようになりました。
また、PwCの経験は特に役立っていますね。議事録作成、日々のタスク管理、プロジェクト推進スキルなど、これらは現職では当たり前に必要とされるスキルなので、このスキルが無ければ土日も出勤しなければならないレベルかもしれません(笑)
あとは基本設計書のレビューを通してIT関連知識を身に着けられたので、今はお客さまからのご依頼に対してもこの知識を活かしてスムーズに業務を遂行することができています。
『無敵』にならなきゃいけないんです
――――キャリアについて大切にしている事があれば教えて下さい
難しい質問ですね。
私は『無敵』にならないといけないと考えています。現職で働いている理由も無敵になる為なんですけれども、もう少し経験を積むことで無敵になれると思っているんです。
無敵と聞くと、お客様の対応が上手く出来るとか、課題を解決出来るとか、イメージは色々あると思うのですが、私は『あの人にお願いすれば何とかなるだろう』と思われる状態を無敵だと定義しています。
その状態になるのに、あと数年は必要だと思っています。無敵になった後のキャリアは…まだ明確にはなっていません。
無敵になる過程で、現時点では私の中で精神的な面は徐々に築かれていっていることを感じていて、論理的思考力なども、徐々に身に付いてきていることを感じます。
ただ知識などの面がまだまだ不足していると感じます。知識に関してはIT領域で良いのかは分からないのですが、一つの領域を極めればその手法を汎用化して他の業界でも早いスピードでキャッチアップし、活躍出来るのではないかと感じています。今は兎に角そこを磨いていきたいと考えています。
バリューを出すことだけに専念できる『組織』を作りたい
――――将来やりたいことを教えて下さい
なんと表現したら良いのか難しいのですが…『組織』を作りたいと考えています。
勿論どのような方も大変な時期があることは同じだとは思うのですが、私自身も今まで凄く辛い経験をしたこともあって、そういった辛い事がなるべく起きない組織を作っていきたいと考えています。
辛い経験も含め、様々な経験をすることで人としての色々な味が出て、より素敵な人に変化していくのだとは思うんですけれども…なるべく平和で幸せな状態を保ちつつ、バリューはガッツリ出していけるような環境を作り出したいと考えています。
――――『組織を作る』というのは起業なのか、もしくは人事コンサルのような支援なのかどちらなのでしょうか?
起業だと思います。
絶対に私一人では実現出来ないと思っているので、私の考えに共感して下さる方を少しずつ集めて組織を作っていきたいです。ですので、起業ではありますが代表でなくても良いと考えています。
ただVIEWの結果を見る限り、『組織』への関心という点が当たっていると思います。
ランキングの1位に【人材】が表示されていますが、【人材】は私のこれまでの経験が全く関係無い領域ですからね。ご質問頂いた【人事コンサル】というのも人材の領域だと思いますので、当たっていると思います。
たけうち食堂始めます!
『組織』と言うと少し大袈裟かもしれませんが、あるコミュニティ作りに挑戦しています。
- それは目の前の人と向き合ってゆっくり話をして、その会話の中で何か気づきを得たり、新たなアイデアがわいたり…と質の高い関係を育めるようなコミュニティです
- ある種の”場”や”時間”のようなものをイメージしていて、そこではほっこりとするような家庭料理を囲みながら、友人・知人・初対面の人を問わず目の前の人とリラックスしてお話できる時間を提供できればと考えています
その第一歩として、知人のお店を間借りして、私が料理を作ってお出しして、食べていただく場を提供してみようと考えています。
――――VIEWやってみていかがでしたでしょうか?
凄く当たっていると感じましたね。
VIEWというのは健康診断と同じで、『とりあえずやってみる』というような感覚でやってみたら良いと思います。やって無駄なことはないとは思いますね。
転職したい方がVIEWをやってみて、希望する業界や職種が表示されれば、『やっぱり!』という安心材料にもなるとは思います。
あとはランキング上位から下位にいくにつれて何がどう変化していくのか、というのを分析してみても面白いかもしれませんね。