寄稿エージェント:安達 飛希
本日は立教大学を卒業後、楽天株式会社に入社しマネージャーを務めた後にITコンサルティングファームへ転職された三橋さんにお話をお伺いしてきました。
「現状に満足していてはダメになる」という理由で転職された三橋さんは、どのようなビジネス観をお持ちなのでしょうか
――――自己紹介をお願い致します
三橋 慧と申します。
立教大学卒業後、楽天株式会社に入社してチームマネージャーを経験した後、IT系コンサルティングファームへ転職し、現在はシンガポールに住んでいます。
本日はどうぞ、宜しくお願い致します。
――――色々とお伺いしたいことはあるのですが、まずは学生生活について教えて頂けますでしょうか?
大学生活は塾講師やホテルのレストラン、アパレルなどでアルバイトをしていて、時間があれば海外旅行に行っていました。
その他には異文化交流のサークルにも入っていました。海外学生の受け入れや外国人観光客のアテンドなど、様々な文化に触れる経験をしていました。大学2年生のときには、アメリカに留学にも行きました。
――――なぜ留学に行かれたのでしょうか?
私が12歳の時に同い年のオーストラリア人をホームステイとして受け入れた経験が影響していると思っています。
その子が自分と同い年であったにも関わらず、将来の夢や自分の国の事などを凄くしっかり考えていて、幼いながらに「こんなにも素晴らしい人が世界にはいるのか」と感銘を受けたんです。
こういった経験もあり、小さい頃から心のどこかに留学したいという気持ちがありました。
会話から全てが生まれる
――――留学先でのお話をお聞かせいただけますか?
アメリカのオハイオ州にある立教大学の姉妹校へ留学に行ったのですが、周囲に娯楽といった物が何もない環境でした。ですが、その『何も無い』というのが本当に良かったと思っています。
何も無いが故に、何かが生まれるとしたら全て人との会話がベースとなっているんです。向こうで勿論勉強はしましたが、パーティをしたり友人宅で遊んだりとにかくコミュニケーションの量が多い一年間でした。
こういった経験もあり、『将来はいろんな価値観の中で働いてみたい』、『ダイバーシティの中で働きたい』と考えるようになりました。
――――就職活動を経て楽天に就職されていますが、どういった軸で選ばれたのでしょうか?
大きくは2つあります。
一つ目は、国内でビジネスが終わっていない企業という軸です。
やはりビジネスの面で海外に携わりたいと考えていましたので、この軸は最重要視していました。
二つ目は、様々なバックグラウンドを持った方が在籍しているという軸です。
私は色々な人とコミュニケーションを取ることで価値観が広がると考えているので、ダイバーシティも重視していました。
当時楽天は公用語を英語にしたり、外国籍の方を積極的に採用していたり、そういう意味で価値観は合致していたと思っています。
――――楽天ではどのような業務を担当されていたのでしょうか?
楽天では楽天市場の事業部でEコマースコンサルタントとして働いていました。
ざっくりと業務内容をご説明すると、楽天市場に出展している店舗様に対する広告の提案営業とその店舗様の売上拡大のコンサルティングです。
3年目で同期の部下を持つことになった
――――楽天で働いてみていかがでしたか?
私は自他ともに認める負けず嫌いなので兎に角がむしゃらに努力しました。
先輩も後輩も同期も非常に優秀な方が多く、良い刺激を沢山いただき今でも本当に感謝しています。
そしてありがたいことに、入社2年目でサブマネージャー、3年目でチームマネージャーとして大勢の部下をマネジメントするポジションを任せて頂きました。年上の部下も居ましたし同期の部下もいました。時に難しい関係性ではあったのですが、本当に様々な事を身に着けることが出来たと感じています。
ただ今では、当時感じていた難しさというのもやはり日系企業ならではのものだと感じています。外国で働いていると年齢などは本当に関係のない実力主義ですので、こういった点でも大きな違いは感じますね。実力がある人が上に立ち、部下は成果を出す為にその人のマネジメントを受ける、本当にそれだけなんです。
このままでは退化する一方
――――お話を伺っている限り順調に成果を残されているように感じるのですが、転職された理由を教えて頂けますでしょうか?
理由は大きく三つあります。
一番大きいのは、今の仕事を続けることに不安を感じた、という理由です。
ふと入社してからこれまでの自分の仕事を振り返り、『何が出来るようになったのか』を考えたんです。これ考えた時に、精一杯脳をフル回転させなくてもルーティンで仕事を回せるようになってしまっていることに気付いたのです。勿論ルーティンで回せるというのは、それまでの自分が努力したから、というのはあるとは思うのですが、頭を使わずにこのまま働いていては退化してしまうという若干の不安も感じました。
二つ目は国内ビジネスにとどまっていた、という理由です。
入社同期のメンバーは300名程いて、海外生活が長い方がいたり、日本で生活した事が無い方が居たり、ダイバーシティに富んだ同期に恵まれました。しかし、実際の個人の業務は国内ビジネスが多く元々やりたいと考えていた働き方が実現できていませんでした。
三つ目は現状に満足できてしまっていた、という理由です。
もちろん今ある状況に満足するというのはとても素晴らしいことだと思います。優秀な人たちに囲まれて仕事をし、ポジションや待遇にそれなりの満足をしながら日々タスクをこなすのはとても恵まれていることだと思うのですが、それ以上に知らないことや見たことないものに対してハングリー精神を持って学び続けたい、という思いがありました。
こういった三つの理由があり、違う会社も見てみたいという思いから転職を決意しました。
――――転職活動ではどのような軸で企業を探していらっしゃいましたか?
大きくは二つあります。
一つ目はITに携わるという軸です。
世の中の最先端に携わりたいと考えた時に、最も伸びている業界であるITの領域に挑戦したいと考えました。
もう一つは海外、特にシンガポールという国では色々な国の様々なバックボーンを持った方達と仕事が出来る、という軸です。
また東南アジアというまだまだ成長幅の大きい国々でシンガポールをハブとしながら色々な国のプロジェクトに携われるのはの非常に魅力に感じていました。
――――なぜシンガポールなのでしょうか?
シンガポールというのは、様々な価値観によって形成されている国だからです。
例えば、国籍という観点で見ても中華系、マレー系、インド系という様々な人種で構成されています。ですので、文化だけでなく、宗教、考え方までも本当にカルチャーミックスの国なんです。
加えて、金融のハブになっている国でもあるので世界中の銀行が集まっていることもあり、欧米諸国の方々も沢山いらっしゃいます。一個の価値観で生きていない国で、どんな人がどこにいても良いとされている国なんです。私が個人的に初めてシンガポールに行った時に強く、『生きやすい国だ』と感じたのはここに起因します。
また、シンガポールはスマートシティというのを掲げているITの先進国でもあるんです。生活の全てをスマートフォン一個で完結出来るようなそんな効率的で合理的な国です。IT最新技術に非常にウェルカムな国なので、いち早くITの最先端を肌で感じる事が出来ると感じました。
――――楽天市場では営業職かと思いますが、今の仕事で必要とされるようなIT系の知見は元々お持ちだったのでしょうか?
仰る通りで、楽天で経験した業務というのは大きく言えば広告の提案営業なので、ITの知識はほぼ不要でした。なので言ってしまえば全く知識はない状態した。
私の現在の業務内容としては、簡単に言うとITエンジニアと顧客を繋げることです。私が両者の内容をしっかりと理解して咀嚼し、媒介することでビジネスを上手い方向に進めていく、というのが主なタスクです。
ですので、ビジネスサイドの話を理解しながら、現場のエンジニアたちの話も理解するという、とてもチャレンジングな仕事をさせてもらっています。こういった観点では、ルーティンではない、毎日新しい事を学んで仕事に活かしていくことにやりがいを感じています。
――――まったくの専門領域外の業務に挑戦する事に不安はありませんでしたか?
不安よりも期待の方が大きかったです(笑)
入社してシンガポールで勤務し始めた一週間後にタイでのプロジェクトにアサインされ、人生で初めてエンジニアの方達と密に関わる仕事をしました。当初は正直、お客様やエンジニアの方々が何を言っているか全く理解出来ず、ドキュメントを読んでもちんぷんかんぷん、本当にまずい、と思いました。
しかし自分がこの場で求められていることはなんだろう、と一度考え直し、ITの知識だけを身に付けることが私の強みではない、と考えたんです。ITの深い知識を強みとしているコンサルタントの方ももちろんおりますが、私の強みはそこではなく、サービスを提供する顧客企業の良さや強みを理解してニーズをくみ取るということに専念し、そこを伸ばしていけるよう注力しています。とはいえ、ITの知識は必ず必要になるので、日々のインプットや、現場のエンジニアの方々とのコミュニケーションはとても重要になります。
――――入社後は希望通り海外に携われていらっしゃるのでしょうか?
ええ、有難い事に本当に様々な国で様々な方と一緒に仕事をさせて頂いております。
簡単に時系列順にご説明すると以下のような流れになります。
・2017年の1月に現職に入社してシンガポールへ移住
・タイ バンコクにおける自動車会社向けIoTプロジェクト
・タイ バンコクにおける日系会社の物流業務の改善コンサルティング
・ミャンマーにおける政府系プロジェクト
・マレーシアにおける日系小売企業向けマーケティングシステム構築
・日本 東京における医療機器メーカ―のシステム開発プロジェクト
そして現在はMaaS*の考想化事業企画立案のプロジェクトと、タイ、バンコクにおけるモバイルアプリケーションの開発に携わっています。
自動運転やAI、オープンデータ等を掛け合わせ、従来型の交通・移動手段にシェアリングサービスも統合して次世代の交通を生み出す動きが欧州から出てきています。それがMaaS(Mobility-as-a-Service)です。
■出展:総務省HP
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000045.html
――――各国で様々な経験をしていらっしゃいますが、将来やりたいことがあれば教えて頂けますでしょうか?
ずっと働き続けて、社会と関わっていきたいです。
あとは、最先端を見続けたいと思っているので、ITの業界にずっと居たいとも考えています。
ワークライフバランスという観点では海外で働きたいとは思っていますが、自分が生まれ育った国である日本に、微力ながらも自分のできることを還元したいとも考えています。ですので、まずはここシンガポールでいろんな経験をし学び、どんな未経験のプロジェクトにも飛び込んでいく力と、未知の領域であったとしてもいち早くキャッチアップしていける力をつけたいと考えています。
一方次のキャリアステップを考えた時に、強みをより活かせる仕事という軸でお客様と直接関わっていく純粋な営業職に戻るというのも選択肢にはあると思っています。
――――VIEWをやってみていかがでしたでしょうか?
営業職が多く出てきたので、適性があるのはそこなのかなと思いました。先程お話した通り、次もしも転職するとなった時には営業も視野に入れていたので背中を押してくれる感覚はありますね。
常に新しいことに触れていたい、という観点で見るとベンチャー企業という選択肢もありなのかもしれません。
あとは、VIEWは今すぐの転職を考えていない人がやっても面白いと思いました。自分に向いている職業を認識した上で現職の業務に取り組む事が出来るので、業務改善に取り組めたり、社内での動き方を変えることが出来たりするかもしれない、と感じました。
――――誰かに何か伝えたいことがあればお願いします
未経験の領域に挑戦すると言うと、周囲から心配されたり止められたりすることがあると思います。ですが、やってみたら大概のことが何とかなると思っています。
失敗というのは、自分が失敗だと思うかどうかの問題だと思っているので、自分が失敗だと思わなければ失敗じゃないんです。
やりたいことに挑戦してみたら良いと思います!