Withコロナの時代におけるハイブリッド型の働き方とは?

Withコロナの時代におけるハイブリッド型の働き方とは?

寄稿エージェント:宗万 周平

新型コロナウイルスが日本中に拡散し始めて約半年が経過した。コロナのピーク時と比較するとオフィスへの出社割合が増えている人も多いと思うが、このまま元のようなオフィスでの働き方に戻るのだろうか。今一度、Withコロナ時代の働き方を振り返ってみたい。

リモートワークがもたらした思わぬ収穫

2020年の4月16日から5月25日まで緊急事態宣言が発令されていたため、この期間をきっかけに、普段リモートワークをしたことがなかった人も強制的にリモートワークに移行した人もいるだろう。

各企業がリモートワークへの急な対応を求められる中、不幸中の幸いだが、強制的にリモートワークに移行したことでもたらされたメリットがいくつかある。

企業側では、リモートワークに対応するために新しいコミュニケーションツールの導入が進んだ。これまでメールや電話が主なコミュニケーションツールだった企業も、例えば、Microsoft TeamsやZoomなどweb会議ツール・チャットコミュニケーションツールの導入が進み、リモート環境でも気軽に社内の連絡ができるようになった。

また、複数のweb会議ツールを導入する企業も増え、社外との会議で会社標準ツールがかみ合わず実施できないというケースはかなり減り、取引先や営業先との会議もオンライン化が進み、物理的な移動時間が減り、効率的になった。

また、働く人にとってもリモートワークのメリットが調査からわかっている。コロナ以前とコロナ渦の働く人のストレスを比較調査した結果によると、リモートワークによって仕事に対するストレスが減ったと答えた人は増加している。

具体的な背景としては、通勤がなくなったことで朝の満員電車に乗らなくてもよくなったことや苦手な上司と直接会う機会が減ったことなどがストレス軽減の主な原因となっている。

仕事のストレスの多くは職場の人間関係とも言われているが、リモートワークによって対人関係の物理的な距離が生まれたため、以前よりも働きやすくなったと感じている人も多い。

見えない不安との戦い

一方で、リモートワークによって失われてしまったものもある。やはり職場の人とコミュニケーションを取る機会はかなり失われてしまったといえる。ちょっとした雑談がリモートワークではかなりしにくい。

対面で会っているときはちょっとした雑談や質問などが気軽にできていたが、リモートワークで話そうと思ったら電話するしかなく、急ぎではない用件はチャットなどで代替しているのが実態であろう。

また、タスクの進捗が見えにくくなってしまったため、上司からすると部下がちゃんと働いているのか、逆に部下からすると自分の成果をちゃんと上司は見てくれているのか、といった不安が双方に発生してしまう。

進捗が見えにくくなってしまうとマイクロマネジメントに陥るケースがあるが、これも上司部下どちらにとってもストレスが大きく、かえって非効率になってしまうことのほうが多い。

別の観点だが、2020年4月入社の新入社員は同期入社の人たちと直接会ったことがないという人もいる。日系の大手企業などは毎年新入社員に集合研修や泊まり込み合宿形式のプログラムを設けている場合もあるが、今年はそれらの多くは実施できず、リモート研修がほとんどであった。

同期の繋がりは不安なことが多い新入社員時代に大きな支えになることもあり、同じ境遇の仲間たちと切磋琢磨しにくい環境になってしまったことは新卒一括採用主義の会社にとっては大きな痛手だろう。

ハイブリッド型の働き方を目指す

ここまではリモートワークのメリット・デメリットについて述べてきたが、結論としては、今後オフィスワークとリモートワークを融合させたハイブリッド型の働き方を企業も働く人も目指すべきである。

現在では、オフィスへの出社割合が増えつつあり、元の働き方に戻りつつあるが、オフィスワークの中にリモートワークは効果的に取り込むべきだ。例えば、移動時間や会議室のキャパシティに依存せず会議ができるのはオンライン会議の最大のメリットであり、十分機能することは立証済みだ。

また、チームメンバーが常にリモートワークというのはコミュニケーション不足による認識齟齬やタスク進捗の見えない不安が発生するため、オフィスに出社するタイミングを意図的に合わせて対面でコミュニケーションを取るようにし、オフィス出社を計画的に実行していくのが良いだろう。

オフィスに出社するのはやはり気持ち的に働くモードに切り替えるきっかりになり、チームメンバーと顔合わせることはちょっとした雑談も含めて、チームの雰囲気作り、モチベーション維持には必要なことだと考える。

加えて、集合研修などもオンライン化対応を進めるべきであり、大学の講義のような一方通行の研修ではなかなか当事者意識が持てないかもしれないが、オンライン会議上で少人数グループに分けたり、オンラインでできるグループワークツールも増えているため、参加型のコンテンツをどんどん増やしていくべきである。

研修のあとにそのままオンライン飲み会に移行するパターンもあるため、オンラインだからといって社内のネットワーキングができないということはない。

このようにWithコロナの時代の中で元のオフィス勤務に戻りつつあるが、リモートワークにより気づくことができたメリットもしっかりと振り返ってみて欲しい。

オフィスワーク・リモートワークどちらにもメリットがあるため、どちらかに偏った働き方ではなく、それぞれの良いところ取りした働き方改革が今後必ず必要になるため、コロナ渦で働き方が大きく変わったこの半年間をぜひ振り返ってみて欲しい。